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アンナプルナ・ダウラギリ展望紀行(12)
タダバニへ(2)
2001年3月27日(火)(つづき)
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←これまで公開したアンナプルナ紀行(1)~(12)の記事
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<タダバニの午後>
■タダバニへ到着
11時46分,私達は今日の宿泊地,タダバニ(2,600m)に到着する。私は直ぐに辺りのスケッチを開始する。
12時27分から昼食となる。鉄平石造りの食堂で食事を摂る。主食はご飯。それにトマト,ゴーヤ,サラダ,天ぷらである。麺汁のようなスープが付いている。どことなく,一寸ばかり違和感があるが,ほぼ完璧な日本食である。
ここは標高が2,800メートルの高地である。いくら赤道に近いとはいえ,薄着のままで,ジッとしていると,すぐに寒くなる。簡単な防寒具を羽織ったまま食事を摂る。そして,食後も暫くの間,お茶を飲みながら雑談を続ける。
13時30分頃,自然解散となる。リーダーから,15時30分に,もう一度,ここに集まるように指示がある。その時に,明日の行動予定や注意事項を説明するという。
<昼食を食べた小屋>
<タダバニの昼食>
■自由時間
一旦,自分のテントに入る。そして,シュラフに潜り込んで,うたた寝をする。
20分ほどで,自然に目が覚める。ミーティング開始まで,まだ時間がある。私は,ノートを持って,テントから外へ出る。そして,テント場周辺をブラブラと散策する。広場の片隅に展望台のような建物がある。高さ数メートルの狭い階段を登ると,四方が開放された見晴らしの良い部屋にに到着する。
部屋の広さは6畳ぐらい。四隅に柱があって,屋根が付いている。周辺には,腰ぐらいの高さに木製の壁が付いている。その壁に沿って,簡単な腰掛けが作りつけられている。
腰掛けに腰掛けて,窓から見下ろすと,先ほど見物した市場が良く見えている。市場を囲む土産屋や宿泊施設の先には,シャクナゲの林が続く。さらにその先には密林に覆われた山が広がっている。集落の片隅には,高いところから吊り橋のように橋渡しされた綱が数本見える。どの綱にも万国旗のように色とりどりの小さな旗がビッシリと結びつけられている。これらの旗には何か宗教的な意味があるのだろうが,私には良く分からない。
15時24分,私は市場の様子を急いでノートのスケッチする(前回のブログに掲載)。
そろそろミーティングの時間である。私は,展望台から広場に降りる。すると,隊員のお一人が,大きなスケッチブックを広げて,辺りの風景を一生懸命スケッチして居られる。同じ趣味の方が居られるとは・・・私は大変嬉しくなる。
■ティータイム
15時30分から,食堂小屋でティータイム兼ミーティングが始まる。
最初に,リーダーのHAさんから,明日のスケジュールが発表される。
明日は6時起床。6時30分,朝食。7時00分出発。昼食はデオラリというところで摂る。食事をする場所は,峠の上または下。どちらか空いている方で摂ることになる。デオラリから一旦下り坂になるが,再び登り返して,明日の宿泊地,コラバニに到着する予定。昼食を摂るデオラリまでは,若干距離があるので,飲料水は必ず持参すること・・・等々,注意がある。
■シャクナゲの林と粗末な小屋
16時30分頃,ティータイムはお開きになる。18時30分の夕食まで,またまた,タップリの自由時間がある。一旦テントに戻るが,さきほど昼寝をしたばかりなので,また昼寝をする気にもなれない。テントで同居している仙人は,またシュラフに潜り込んで,寝てしまう。
私は再びノートを持って,テント場周辺をブラブラと散策する。食事小屋の裏手に廻ってみる。辺りは薄暗くなるほど鬱蒼と茂るシャクナゲ林になっている。むせるような濃緑の中に,とても粗末な小屋が建っている。今にも潰れそうである。物置かなと思っていると,ボロボロな着物を着た老婆が小屋から出てくる。この潰れそうな小屋が現地の人の住居だったとは・・・何となく辺りをスケッチしていた私は,かなりのショックを受ける。
<食事小屋の裏手はシャクナゲの林:粗末な小屋(右端)が住宅>
散策を続けていると,どこからともなく5~6才の子供が寄ってきて,だまったまま私の方に手を出す。何かくれとのボデーランゲージである。事前にHAガイドから,
「現地では,旅行者に子供が寄ってくるが,可愛いからと言って,ものを与えないでください・・・」
と強く言い含められている。そこで,私も何となく彼の側から離れて,テント場の方へ戻る。
17時30分,私は自分のテントに戻り,シュラフに潜り込んで,30分ばかりうたた寝をする。
<タダバニの夜>
■夕食
18時30分から夕食である。場所は食事小屋。
主食はご飯。カレー,肉の煮付け,マカロニ,酢の物,サラダ,ナスの漬け物,昆布巻き,ニンジンやジャガイモの煮付け。それにハツポツ(パリパリした薄い焼き物),シチュー。シチューには細かく刻んだネギ,ニンジンなどが入っている。大変美味しい。
夕食は大満足。
<タダバニの夕食>
■お誕生会
団員のKAさんは,今日が満73才の誕生日だという。そこで,夕食後,広場の片隅にある食事テントで,引き続きKAさんの誕生会を開くことになった。まずは,19時09分に,KAさん以外の全員が,食事テントに集まる。19時15分に,皆の拍手に迎えられながら,KAさんが登場する。現地のコックさんまで全員がテントの前に立って拍手で迎える。
大きなバースディケーキが会場に運ばれる。このケーキは現地キッチンボーイの手作りだというから驚く。ケーキの真ん中には,Mr. KA****と書いてある。
HAガイドの話だと,キッチンボーイ達は,平素,ケーキなど食べないそうである。しかし彼らはとても器用なので,見よう見まねで,バースディケーキを作ったのだという。それにしては大変良くできている。とても美味しいケーキである。彼らの器用さには恐れ入る。
<バースデーケーキ>
■満天の夜空
20時30分に,お誕生会が終わる。すぐテントに戻り就寝。
私は,平素,一旦寝てしまったら,朝までトイレに行かないのが普通である。でも,今日は,日中に2回も昼寝をしたためか,23時30分に,めずらしくトイレに行く。真っ暗な中をヘッドランプの光を頼りにトイレテントへ向かう。
見上げると満天の夜空である。北斗七星がギラギラと輝いている。日本で見慣れた北斗七星よりも随分と低い位置で光っている。こんなに素晴らしい夜空を見上げるのは,本当に久々のことである。
こうして,トレッキング第4日目は終わった。
<夜中。低い位置で北斗七星が輝いている>
(つづく)
アンナプルナ・ダウラギリ展望紀行(12)
タダバニへ(2)
2001年3月27日(火)(つづき)
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<タダバニの午後>
■タダバニへ到着
11時46分,私達は今日の宿泊地,タダバニ(2,600m)に到着する。私は直ぐに辺りのスケッチを開始する。
12時27分から昼食となる。鉄平石造りの食堂で食事を摂る。主食はご飯。それにトマト,ゴーヤ,サラダ,天ぷらである。麺汁のようなスープが付いている。どことなく,一寸ばかり違和感があるが,ほぼ完璧な日本食である。
ここは標高が2,800メートルの高地である。いくら赤道に近いとはいえ,薄着のままで,ジッとしていると,すぐに寒くなる。簡単な防寒具を羽織ったまま食事を摂る。そして,食後も暫くの間,お茶を飲みながら雑談を続ける。
13時30分頃,自然解散となる。リーダーから,15時30分に,もう一度,ここに集まるように指示がある。その時に,明日の行動予定や注意事項を説明するという。
<昼食を食べた小屋>
<タダバニの昼食>
■自由時間
一旦,自分のテントに入る。そして,シュラフに潜り込んで,うたた寝をする。
20分ほどで,自然に目が覚める。ミーティング開始まで,まだ時間がある。私は,ノートを持って,テントから外へ出る。そして,テント場周辺をブラブラと散策する。広場の片隅に展望台のような建物がある。高さ数メートルの狭い階段を登ると,四方が開放された見晴らしの良い部屋にに到着する。
部屋の広さは6畳ぐらい。四隅に柱があって,屋根が付いている。周辺には,腰ぐらいの高さに木製の壁が付いている。その壁に沿って,簡単な腰掛けが作りつけられている。
腰掛けに腰掛けて,窓から見下ろすと,先ほど見物した市場が良く見えている。市場を囲む土産屋や宿泊施設の先には,シャクナゲの林が続く。さらにその先には密林に覆われた山が広がっている。集落の片隅には,高いところから吊り橋のように橋渡しされた綱が数本見える。どの綱にも万国旗のように色とりどりの小さな旗がビッシリと結びつけられている。これらの旗には何か宗教的な意味があるのだろうが,私には良く分からない。
15時24分,私は市場の様子を急いでノートのスケッチする(前回のブログに掲載)。
そろそろミーティングの時間である。私は,展望台から広場に降りる。すると,隊員のお一人が,大きなスケッチブックを広げて,辺りの風景を一生懸命スケッチして居られる。同じ趣味の方が居られるとは・・・私は大変嬉しくなる。
■ティータイム
15時30分から,食堂小屋でティータイム兼ミーティングが始まる。
最初に,リーダーのHAさんから,明日のスケジュールが発表される。
明日は6時起床。6時30分,朝食。7時00分出発。昼食はデオラリというところで摂る。食事をする場所は,峠の上または下。どちらか空いている方で摂ることになる。デオラリから一旦下り坂になるが,再び登り返して,明日の宿泊地,コラバニに到着する予定。昼食を摂るデオラリまでは,若干距離があるので,飲料水は必ず持参すること・・・等々,注意がある。
■シャクナゲの林と粗末な小屋
16時30分頃,ティータイムはお開きになる。18時30分の夕食まで,またまた,タップリの自由時間がある。一旦テントに戻るが,さきほど昼寝をしたばかりなので,また昼寝をする気にもなれない。テントで同居している仙人は,またシュラフに潜り込んで,寝てしまう。
私は再びノートを持って,テント場周辺をブラブラと散策する。食事小屋の裏手に廻ってみる。辺りは薄暗くなるほど鬱蒼と茂るシャクナゲ林になっている。むせるような濃緑の中に,とても粗末な小屋が建っている。今にも潰れそうである。物置かなと思っていると,ボロボロな着物を着た老婆が小屋から出てくる。この潰れそうな小屋が現地の人の住居だったとは・・・何となく辺りをスケッチしていた私は,かなりのショックを受ける。
<食事小屋の裏手はシャクナゲの林:粗末な小屋(右端)が住宅>
散策を続けていると,どこからともなく5~6才の子供が寄ってきて,だまったまま私の方に手を出す。何かくれとのボデーランゲージである。事前にHAガイドから,
「現地では,旅行者に子供が寄ってくるが,可愛いからと言って,ものを与えないでください・・・」
と強く言い含められている。そこで,私も何となく彼の側から離れて,テント場の方へ戻る。
17時30分,私は自分のテントに戻り,シュラフに潜り込んで,30分ばかりうたた寝をする。
<タダバニの夜>
■夕食
18時30分から夕食である。場所は食事小屋。
主食はご飯。カレー,肉の煮付け,マカロニ,酢の物,サラダ,ナスの漬け物,昆布巻き,ニンジンやジャガイモの煮付け。それにハツポツ(パリパリした薄い焼き物),シチュー。シチューには細かく刻んだネギ,ニンジンなどが入っている。大変美味しい。
夕食は大満足。
<タダバニの夕食>
■お誕生会
団員のKAさんは,今日が満73才の誕生日だという。そこで,夕食後,広場の片隅にある食事テントで,引き続きKAさんの誕生会を開くことになった。まずは,19時09分に,KAさん以外の全員が,食事テントに集まる。19時15分に,皆の拍手に迎えられながら,KAさんが登場する。現地のコックさんまで全員がテントの前に立って拍手で迎える。
大きなバースディケーキが会場に運ばれる。このケーキは現地キッチンボーイの手作りだというから驚く。ケーキの真ん中には,Mr. KA****と書いてある。
HAガイドの話だと,キッチンボーイ達は,平素,ケーキなど食べないそうである。しかし彼らはとても器用なので,見よう見まねで,バースディケーキを作ったのだという。それにしては大変良くできている。とても美味しいケーキである。彼らの器用さには恐れ入る。
<バースデーケーキ>
■満天の夜空
20時30分に,お誕生会が終わる。すぐテントに戻り就寝。
私は,平素,一旦寝てしまったら,朝までトイレに行かないのが普通である。でも,今日は,日中に2回も昼寝をしたためか,23時30分に,めずらしくトイレに行く。真っ暗な中をヘッドランプの光を頼りにトイレテントへ向かう。
見上げると満天の夜空である。北斗七星がギラギラと輝いている。日本で見慣れた北斗七星よりも随分と低い位置で光っている。こんなに素晴らしい夜空を見上げるのは,本当に久々のことである。
こうして,トレッキング第4日目は終わった。
<夜中。低い位置で北斗七星が輝いている>
(つづく)