<堀山付近の紅葉>
山麓の紅葉が見頃の丹沢:塔ノ岳(今年46回目)
(単独山行)
2011年11月9日(水)
■痛いっ・・!
今朝はヤケに寒い.昨日の内から,今日こそ丹沢へ出掛けるぞと決めてはいたが,なかなか寝床から起き上がれない.何回も,何回も,どうしようかと考える.遂に今日行かなくて何時行くんだと踏ん切りを付けて,登山用の着物に着替える.すると不思議なもので,衣装さえ着れば,今度は積極的に行く気になる.ちょうどサラリーマン時代,背広を着ると,気持ちがしゃんとしたのと同じである.
モノレールに乗る.大船駅に到着する.
手許のノートにメモをしながら,ホームを歩いていると,いきなりモノレールの支柱に正面衝突する.帽子の庇が少しは衝撃を和らげたが,目から火が出るほどの衝撃を受ける.痛いのなんのって・・・今日は,これで調子が狂ってしまうなと予感する.
■平日なのに登山者が一杯だ
例によって小田原駅で駈けっこをして,たった3分の乗り換え時間で,小田急電車に乗り換える.渋沢発大倉行のバスは,平日にしては大変な混雑で,結構何人もの立ちんぼに登山者が居る.韋駄天のTさん,三角髭のTさん,F田女史など軽く1500回登頂組をはじめ,U村さん,Y川さん,N村(弟)さん,F女史などご常連が多士済々.
例により,また,私は何となく,ぐずぐずしていて,他の人より登山開始時間が10分近く遅くなってしまう.
7時12分,ようやく私もバス停大倉から歩き出す.バス停に残っている人は,ほとんど居なくなっている.
天気予報では晴の筈だが,上空にはかなりの雲が垂れ込めている.ただ,路面はまあまあ乾いているし,気温も15℃とやや低めで,登山条件は良さそうである.
先ほどのゴツンで,おでこが,まだ,少し痛い.
■美しい四十八瀬川左岸の紅葉
韋駄天組をはじめとするご常連の皆様の姿は全く見えない.もう,とっくの昔に私より遙か先に行ってしまっている.
私の目の前には,平素全く見掛けない方々が列になって連なっている.私も常連の端くれに居るが,一般のご常連の方々に比較すれば,脚力はからっきしダメ.それでも,平素殆ど山歩きをしていない方々に比較すれば,いくら何でも少しは早く歩ける.そんなわけで,次々に何人かの登山客を追い越させて頂く.
中には汗ビッショリになって,私を再び追い越していく方も居られるが,勝手にして下さい.私は競争するつもりはありませんと無言で話す.
7時31分,観音茶屋を通過して,山道らしいジグザグ道に入る.この辺りで同じバスに乗車していた登山客の列は,大体,途絶える.これから暫くの間は,私の前後に人影がなくなる.従って静穏な気分で登山を楽しむことができる.
一人旅になると嬉しい.ノンビリと煩わされずにマイペースで登り続ける.
7時48分,見晴茶屋を通過する.大倉から歩き始めて36分.前回と全く同じラップである.私はまるで機械人間のように,毎回,ぴったりのラップで通過する.
すぐに急坂に差し掛かる.遙か上の方に人影がある.紅葉坂のモミジはまだ青々としているが,四十八瀬川に向かう斜面の木々は綺麗に紅葉し始めている.いよいよ紅葉前線が山麓まで下がってきている.
多少ラップタイムが気にはなるが,美しい紅葉を見過ごすわけにはいかないので,あちらこちらの写真を撮りながら登り続ける.
1枚の写真を撮るには,
1.撮影場所を決める
2.カメラケースからカメラを出す
3.カメラの電源をONにする
4..構図を決める
5.シャッターを押す
6.予定通り写せたかどうか確認する
7.電源をオフにする
8.カメラをケースに収める
の8段階の動作が必要だが,この一連の動作に要する時間は,平均して15秒ほどである.
ということは,写真を4枚撮る度に,ラップタイムは1分ほどロスることになる.
私は,今日も,もうこれまでに20枚程度の写真を撮っている.ということは,塵も積もって,5分ほどロスって居ることになる.でも,まあ,いいや.
■冠雪がない富士山が見える
8時16分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間04分.前回よりも1分ほど余計に掛かっている.これは途中で道草をして写真を撮っていたからであろう.
気温9.8℃.歩くのに丁度良い気温である.
堀山の尾根で富士山の写真を撮る.定点観測である.一昨日辺りの雨で,富士山にも白くなっているかと思ったが,残雪は全くないようである.
■堀山周辺の紅葉は正に見頃
とにかく紅葉が美しい.この辺りの紅葉は今が見頃.
手当たり次第に写真を撮る.デジカメだからこんなことができるが,これで良いのか,ふと疑問に思う.でも,まあ,どうでもいいやで,すぐまた,手当たり次第に写真を撮りまくる.
前回登ったのが4日前.たった4日間の間に,この辺りの紅葉は随分と艶やかになっている.
撮影した写真の一部を,ここで披露することにしよう.
■堀山の家が平日に開店している
8時33分,堀山の家を通過する.
今日は平日なのに,堀山の家に
「やってるよ」
と書いた昇り旗が立っている.
この小屋の300円のコーヒーは値打ちもの.下山の途中で,堀山の家に立ち寄って,コーヒーでも馳走になろうかと思いながら通過する.
丁度そのとき,ご常連のY沢さんが「ダダダッ・・」と下ってきて,堀山の家に入っていく.
■大きなあざみが頑張る萱場平
周囲の紅葉を眺めながら,長い急坂に差し掛かる.何時も同じことばかり言っているが,堀山の家から花立山荘までの急坂が,一番山らしくて,私の好きなところである.
8時52分,萱場平を通過する.人影がない萱場平は静まりかえっている.
■ご常連のKさん
萱場平からの階段道を過ぎて岩稜地帯に入る.この頃は,沿道の石の形まで,すっかり覚えてしまったので,実に気楽に登り続けることができる.
先ほどから,ご常連のH女史の姿が見えているが,段々と近付いている.別に追い抜くつもりはないが・・・
9時01分,上の方からご常連のKさんが降りてくる.最初にH女史と一言二言雑談.次いで,私がKざんと立ち話.
「・・山頂のすぐ下にる赤い実の木があるけど綺麗でしょう.あれ,カマツカって言うらしいよ・・・」
と私に説明する.花オんちの私はチンプンカンプン.
赤い実の名前を,H女史の名前かかと勘違いして,
「あの女性,カマツカさんっていうんですか」
と聞き返す.
「違うよ,違うよ・・・端の名前だよ.あの人はHさんっていうんだよ」
実は,この女性のお顔は良く存じ上げているが,名前があやふやだったので,私はついつい早合点する.
「・・カマツカは木の実のことですよ・・」
と笑いながら訂正する.
Kさんは,時々私のブログも見て頂いているとのこと,嬉しい限りである.
そんな雑談をしている間に,Hさんの姿は,ずっと上の方に消えてしまった.
■花立山荘
後7分坂に差し掛かる.また,Hさんの後ろ姿が見え出す.
後7分坂を,もう少しで登り切る頃,上から降りてくるN村(弟)さんとすれ違う.同じバスに乗り合わせていたのに,N村さんは,もうここまで下山してきている.相変わらず驚異的な韋駄天振りである.私もN村さんにあやかりたいなと心底から思う.
9時14分,花立山荘を通過する.富士山が良く見えている.大倉を歩き出してから2時間02分.途中,紅葉の写真で道草をしたのが少しばかり響いている.
そして,申し訳ないと思ったが,Hさんを追い越させて貰う.
■ご常連とすれ違う
9時22分,花立山を通過する.今日は雲が多いが,遠目が良く利く.すっかり冬景色になった鍋割山稜周辺の風景が素晴らしい.
馬の背を通過して,9時27分に金冷シに到着する.
時計を見ながら,この分だと,山頂まで2時間30分を切れるかも知れない.
俄然やる気が出る.ここまで登っていれば,山頂はすぐそこだ.頑張っても途中でへばることもないだろう.そこで,私は思いきって全力で歩き出す.
たちまちの内に,体中が汗ばんでくる.
9時29分,下ってくる韋駄天のTさんとすれ違う.今度の忘年会に参加したいというT添さんのことを依頼する.
9時32分,山頂に近付いた頃,下ってくる三角髭のTさんとすれ違う.
「おや・・今日は汗をかいていますね・・」
とTさんが私に話しかける.
そういえば,真夏は別にして,私は極力汗が出ない速度で登っている.私はドギマギして,
「・・・今日は1枚余計に重ね着しているんで・・・」
と訳の分からぬ言い訳をしてしまう.
今日は一寸寒いので,薄い肌着を1枚余計に着ているのは事実だが,本当の理由は,少しピッチを上げて歩いているからだ.その本当の理由をとっさに思い出せないところが,私がぼんくらになった証拠である.またまた,加齢の悲哀を感じる.
<金冷シ付近から富士山を垣間見る>
■塔ノ岳山頂
9時41分,塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間29分.たった1分とはいえ,2時間30分を切った.満足である.最後に一寸急いだ甲斐があったというものだ.
山頂の気温は7.9℃.冷たい風が少し吹いている.立ち止まると,たちまちの内に,少々寒くなる.
山頂から,富士山が良く見えている.山麓に雲が水平に棚引いている美しい風景である.
例により,山頂からの風景を一回り撮影してから,尊仏山荘へ向かう.
<塔ノ岳山頂からの富士山>
■ボンちゃんとチャイちゃん
山荘入口で,丁度山荘から出てきたばかりのボンちゃんとチャイちゃんにバッタリ出会う.
暫く立ち話.チャイちゃんは,温和しくしている.
「(チャイちゃんに)触っても大丈夫ですか・・」
とボンちゃんに伺う.大丈夫だというので,一寸ばかり頭を撫でさせて貰う.
チャイちゃんは温和しくしている.なかなか利発な犬である.
<チャイちゃん>
■尊仏山荘
尊仏山荘に入る.今日の小屋番はオーナーのHさんとW林さん.
先客は,私と同じバスに乗っていたM田女史とU林さん.300円也のお茶を所望する.
雑談の成り行きで,丹沢の大杉山から矢七の頭を経由してヤブ沢の頭に出るコースは如何ですかと提案する.
このコース,山学校の同級生と地図読みで行ったことがあるが,大変なところだった.後日,このコースの資料を,U村さんにお渡しする約束をする.
頃合いを見て,U林さんにお願いして,2階で昼寝をしているミー君を呼んで貰う.
W林さんがミー君を呼ぶと,ミー君は素直にコトコトと階段を降りてくる.この素直さがとても良い.私がミー君の頭や首筋を撫でると,私の手をペロペロとなめる.こんなこと,今までミー君は,したことがないのに・・・・猫可愛がりしたOさんが居なくなってから,ミー君は少しばかり愛想が良くなったような気がする.
ミー君は,大きくあくびをして背伸びしながら,石油ストーブの前にしゃがみこむ.立派な毛皮を持っているのに寒いのだろう.この仕草ミー君の仕草が,実に良いね.
その内に,話題は山ヒルと,山ガールに移る.
先週も山ヒルにやられた人が居ると噂に聞く.さすがに,冷え込んでいる今週は,もうヒルも居ないとは思うが油断禁物である.
大倉尾根に,こんなにヒルが出るようになったのは,ついここ1~2年のことである.
「・・ここんところ,めっきり増えたのは,山ヒルと,山ガールだね」
と私が悪い冗談を飛ばす.
何人かが
「ハハハ・・」
と笑う.
山ヒルと山ガールを一緒にしては失礼である.申し訳ない.
それにしても,最近の山ガールは,とても格好いい.山ヒルは勘弁願いたいが,山ガールは大歓迎である.山に登られる女性は,皆,溌剌としていて良いですね.
■ユックリと下山
10時11分,下山を開始する.急いで下山すれば,大倉発12時22分のバスに十分に間に合うが,途中の紅葉をユックリ楽しんで,12時52分のバスに乗るつもりである.
さすがに,行楽シーズンである.平日にもかかわらず,結構,沢山の登山者が登ってくる.これらの方々とすれ違いながら,ゆっくりと下山し続ける.
10時32分,花立山で,登ってくるY川さんとすれ違う.
「・・そういえば,T添さん.思い出しましたよ・・・何時か,尊仏山荘で雑談をして,知り合って,単行本を贈って貰いましたよ・・・」
「では,私,今週は中山道歩きに出掛けてしまいますので,T添さんから,忘年会の問い合わせがありましたら,宜しくおねがいします・・」
でお別れする.
10時38分,花立山荘を通過する.山荘前のベンチは登山者で満席になっている.
坂道を下っていると顔見知りの女性が登ってくる.マコさんである.来週の塔ノ岳懇親会に出席されるメンバーのお一人である.ちょっとだけ立ち話.
その後も,時計を見ながら,なるべくユックリペースで下山し続けて,12時40分に,無事,バス停大倉に到着する.
その後は,電車の中でうたた寝しながら,15時頃,無事帰宅する.
気分最高.良かった.良かった.
<ラップタイム>
7:12 歩き出し(15.0℃)
7:31 観音茶屋
7:48 見晴茶屋
8:16 駒止茶屋(9.8℃)
8:33 堀山の家
9:14 花立山荘(10.5℃)
9:27 金冷シ
9:41 塔ノ岳山頂着(7.9℃)
=======================
10:11 塔ノ岳山頂発
10:23 金冷シ
10:38 花立山荘
11:15 堀山の家
11:34 駒止茶屋
12:02 見晴茶屋
12:18 観音茶屋
12:40 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:12
塔ノ岳 着 9:41
(所要時間) 2時間29分(2.48h)
水平歩行速度 7.0km/2.48h=2.82km/h
登攀速度 1269m/2.48h=511.7m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:11
大倉 着 12:40
(所要時間) 2時間29分(2.48h)
水平歩行速度 7.0km/2.48h=2.82km/h
下降速度 1269m/2.48h=511.7m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/206c1e93feff2e968f323020a5fd5482
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b4ba934d5ffe999de6bc519af27bd3a0
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