
<早朝,テントなどを積み込む>
ペルー訪問記(49):第14日目(1):ピスコ山を目指して(1)
2008年7月14日(火)
<コフップ山荘の朝>
■メガネが大変
体質的に高度順応が遅い私でも,大分,高所に馴れたようである.昨夜は何とかよく眠ることができた.
所が,真夜中の夢うつつのとき,寝返りを打った途端に,枕元で「ボキッ」と,何かが折れる尾とがする.慌てて,ヘッドランプを点けて確かめると,寝がけに何となく枕元に置いてしまったメガネが鼻に当たる所から見事に二つに折れている.どうやら寝返りを打った途端に,頭の重さでメガネを押しつぶしたようである.
このメガネは,冬山山行用に特別に作ったもので,凍傷を防ぐために,蝶番以外の部分,つまり肌に当たる部分には全く金属を使っていないフレームである.もしフレームが金属製ならば,フレームに多少の力が加わっても,変形するだけで済んだと思うが,プラスティック製のフレームだったために,見事に割れてしまった.
こんなこともあろうかと思って,バックアップ用のメガネを持参しているので,大勢に影響はないが,普段,おろそかに扱っているメガネも,なければ大変苦労するので,大切に扱わなければいけないなと反省する.
ピスコ山登頂中にメガネが割れたら大変なことになるだろう.そう考えると,メガネが割れたのが出発前で良かった.明るくなってから,荷物の中に入っている予備のメガネを取り出そう.そう考えて,もう少し眠ることにする.

<毀れたメガネのフレーム:これには参った!>
■悪夢,高度障害のためか
再び眠ると,今度は妙な夢でうなされる.
「・・・(夢の中で)私は,とある料亭で会食を終えて,同僚と今夜の宿舎に向かっている.途中から同じ会社の連中が次々と合流する.宿舎の受付が大混雑している.受付の順番を待っている内に,退屈してしまい,近くに駐車している車に乗り込む.ところが,いつの間にか,この車が,もの凄い勢いで走り出す.何故か,私はパンツと下着だけの姿である.仕方なく隣席の人に2000円を拝借,名刺をもらう・・・いつの間にか自動車道を歩いている.近くの家から聞き慣れた奥さんの声がする.通りに出ると褌姿の男性が沢山立っている.向こうの煙突からは白煙が登っている・・・」
ここでまた,目が覚める.まだ,外は真っ暗である.また,無理に眠る.
突然,同室のどなたかが持っている目覚まし時計が「ピッ,ピッ,・・」と鳴り出す.5時丁度である.
この時計の音に促されるように起床する.
妙な夢を見てうなされていたのも,高度障害のためではないかと思う.
■朝食
6時50分から朝食である.食堂小屋に向かう.まだ薄暗い.
余り食欲はないが,多少無理をして,食べ物を流し込む.
メニューは,白菜,スクランブルエッグ,豆,肉などの炒め物と,ご飯に豚汁である.食後,コカ茶を数杯飲む.
朝食後,パルスオキシメーターで血中酸素飽和度を測定する.飽和度は89%,脈拍は79回/分である.かなり高度の影響が出ているようなので,体調は絶好調とは言い難い.

<コフップ山荘の朝食>
<2台のリムジンでいよいよ出発>

<ルートマップ>
(出所)フェリッペディアス(著);三井(訳),1989,『ブランカ山脈ワイワッシュ山脈』
(出版社不明),p.16から地図を引用した.
■2グループに分かれる
私達はピスコ山登頂グループとトレッキンググループの2班に分かれる.それぞれが別のトヨタ製のリムジンに乗って出発する予定である.
ピスコ山登山グループは,Sさん,トーマスさん,KOさん,KAさん,それに私の5名である.全員男性である.一方,トレッキンググループはドッジさん,Iさん,トーマス夫人の3名.全員女性である.幸いなことに,横田さん,K国際ガイドがトレッキングループに参加することになる.その結果,トレッキンググループは男性2名,女性3名,合計5名のバランスの取れた構成になる.
■コフップ山荘を出発
7時11分,私達は2班別々のリムジンに乗り込んで,コフップ山荘を出発する.
まずは,ワラスを目指して,砂利道を下り始める.リムジンは上下左右に激しく揺れる.道路の両側には,民家が点在している.日干し煉瓦で作られた粗末な家である.電気がない家も多い.子供達と犬が戯れている.屈託のない子供達の笑顔が印象的である.ロバと犬をつれた女性が歩いている.こんな情景をどこかで見たことがあるなと思うが,どこで出会ったかが定かでない.
私達の前を,トレッキンググループを乗せた車が走っている.その車が,もうもうと砂埃を枚上げている.私達の車は,耐えられないほどの砂埃の中を走っている.狭い道路の路肩を,家畜をつれた人達が通っている.
自動車が急に止まる.前を見ると10頭ほどの牛の集団が,ノンビリと歩いている.ここでは牛が優先なので,自動車は,牛の群が通り過ぎるのを,ジッと待っている.

<民家の玄関先>
※子供と犬が一体となって遊んでいる.屈託のない子供の姿が印象的.
■シュラフやテントを積み込む
7時35分,リムジンは街外れに建っている家の前で停車する.道路には牛糞が散らばっている.私は,牛糞を見て,昔々の生活を思い出す.道に落ちている牛糞や馬糞を拾い集めて,肥やしにしていたことを回想する.
ここは登山用品のレンタルをしている所のようである.店からシュラフやテントを持ち出して,リムジンに積み込む.
7時40分にレンタル店を出発する.

<沢山の荷物を積み込む:クラウディオさんの家の前で>
■クラウディオさんの家
暫く進むと,舗装道路になる.急にガタガタと音を立てていた車が静かになる.
7時55分,リムジンがまた停車する.今度はクラウディオさんの家の前である.道路に面して,立派な2階建ての家が建っている.向かって左隣には増築中の家が並んでいる.
元々大工さんであるクラウディオさんが自分で建てた家だという.クラウディオさんの多才ぶりには驚かされる.
ここで,食料品など色々な資材がリムジンに積み込まれる.10人以上の人達が集まって,盛んに積み込み作業をしている.沢山の荷物がリムジンの屋根にも載せられる.当の私達は,ボンヤリと作業を眺めているが,三井さんを始め,現地のスタッフの方々に,大変な労力が掛かっていることを,今更ながら気が付く.
8時27分,私達5人と,三井さんを筆頭に7人の現地スタッフ,計12人が小さなリムジンに乗り込んで,クラウディオさんの家の前を出発する.リムジンの屋根にも膨大な量の荷物が積み込まれている.有り体に言えば,大変な過積載の状態である.でも,トヨタ製のリムジンは,実に快調に走る.
私達のリムジンはワラス(Huaraz)に向けて,快調に走り出す.

<クラウディオさんの家:とても立派である>
(つづく)
前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/25bb2b1989081e9dc4d7627b3def5c4d
次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5ab06ad0effadd4e632f1d52fc13b4dc
このシリーズ最初の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/6fee0e316085f32cce0c47a424821346
ペルー訪問記(49):第14日目(1):ピスコ山を目指して(1)
2008年7月14日(火)
<コフップ山荘の朝>
■メガネが大変
体質的に高度順応が遅い私でも,大分,高所に馴れたようである.昨夜は何とかよく眠ることができた.
所が,真夜中の夢うつつのとき,寝返りを打った途端に,枕元で「ボキッ」と,何かが折れる尾とがする.慌てて,ヘッドランプを点けて確かめると,寝がけに何となく枕元に置いてしまったメガネが鼻に当たる所から見事に二つに折れている.どうやら寝返りを打った途端に,頭の重さでメガネを押しつぶしたようである.
このメガネは,冬山山行用に特別に作ったもので,凍傷を防ぐために,蝶番以外の部分,つまり肌に当たる部分には全く金属を使っていないフレームである.もしフレームが金属製ならば,フレームに多少の力が加わっても,変形するだけで済んだと思うが,プラスティック製のフレームだったために,見事に割れてしまった.
こんなこともあろうかと思って,バックアップ用のメガネを持参しているので,大勢に影響はないが,普段,おろそかに扱っているメガネも,なければ大変苦労するので,大切に扱わなければいけないなと反省する.
ピスコ山登頂中にメガネが割れたら大変なことになるだろう.そう考えると,メガネが割れたのが出発前で良かった.明るくなってから,荷物の中に入っている予備のメガネを取り出そう.そう考えて,もう少し眠ることにする.

<毀れたメガネのフレーム:これには参った!>
■悪夢,高度障害のためか
再び眠ると,今度は妙な夢でうなされる.
「・・・(夢の中で)私は,とある料亭で会食を終えて,同僚と今夜の宿舎に向かっている.途中から同じ会社の連中が次々と合流する.宿舎の受付が大混雑している.受付の順番を待っている内に,退屈してしまい,近くに駐車している車に乗り込む.ところが,いつの間にか,この車が,もの凄い勢いで走り出す.何故か,私はパンツと下着だけの姿である.仕方なく隣席の人に2000円を拝借,名刺をもらう・・・いつの間にか自動車道を歩いている.近くの家から聞き慣れた奥さんの声がする.通りに出ると褌姿の男性が沢山立っている.向こうの煙突からは白煙が登っている・・・」
ここでまた,目が覚める.まだ,外は真っ暗である.また,無理に眠る.
突然,同室のどなたかが持っている目覚まし時計が「ピッ,ピッ,・・」と鳴り出す.5時丁度である.
この時計の音に促されるように起床する.
妙な夢を見てうなされていたのも,高度障害のためではないかと思う.
■朝食
6時50分から朝食である.食堂小屋に向かう.まだ薄暗い.
余り食欲はないが,多少無理をして,食べ物を流し込む.
メニューは,白菜,スクランブルエッグ,豆,肉などの炒め物と,ご飯に豚汁である.食後,コカ茶を数杯飲む.
朝食後,パルスオキシメーターで血中酸素飽和度を測定する.飽和度は89%,脈拍は79回/分である.かなり高度の影響が出ているようなので,体調は絶好調とは言い難い.

<コフップ山荘の朝食>
<2台のリムジンでいよいよ出発>

<ルートマップ>
(出所)フェリッペディアス(著);三井(訳),1989,『ブランカ山脈ワイワッシュ山脈』
(出版社不明),p.16から地図を引用した.
■2グループに分かれる
私達はピスコ山登頂グループとトレッキンググループの2班に分かれる.それぞれが別のトヨタ製のリムジンに乗って出発する予定である.
ピスコ山登山グループは,Sさん,トーマスさん,KOさん,KAさん,それに私の5名である.全員男性である.一方,トレッキンググループはドッジさん,Iさん,トーマス夫人の3名.全員女性である.幸いなことに,横田さん,K国際ガイドがトレッキングループに参加することになる.その結果,トレッキンググループは男性2名,女性3名,合計5名のバランスの取れた構成になる.
■コフップ山荘を出発
7時11分,私達は2班別々のリムジンに乗り込んで,コフップ山荘を出発する.
まずは,ワラスを目指して,砂利道を下り始める.リムジンは上下左右に激しく揺れる.道路の両側には,民家が点在している.日干し煉瓦で作られた粗末な家である.電気がない家も多い.子供達と犬が戯れている.屈託のない子供達の笑顔が印象的である.ロバと犬をつれた女性が歩いている.こんな情景をどこかで見たことがあるなと思うが,どこで出会ったかが定かでない.
私達の前を,トレッキンググループを乗せた車が走っている.その車が,もうもうと砂埃を枚上げている.私達の車は,耐えられないほどの砂埃の中を走っている.狭い道路の路肩を,家畜をつれた人達が通っている.
自動車が急に止まる.前を見ると10頭ほどの牛の集団が,ノンビリと歩いている.ここでは牛が優先なので,自動車は,牛の群が通り過ぎるのを,ジッと待っている.

<民家の玄関先>
※子供と犬が一体となって遊んでいる.屈託のない子供の姿が印象的.
■シュラフやテントを積み込む
7時35分,リムジンは街外れに建っている家の前で停車する.道路には牛糞が散らばっている.私は,牛糞を見て,昔々の生活を思い出す.道に落ちている牛糞や馬糞を拾い集めて,肥やしにしていたことを回想する.
ここは登山用品のレンタルをしている所のようである.店からシュラフやテントを持ち出して,リムジンに積み込む.
7時40分にレンタル店を出発する.

<沢山の荷物を積み込む:クラウディオさんの家の前で>
■クラウディオさんの家
暫く進むと,舗装道路になる.急にガタガタと音を立てていた車が静かになる.
7時55分,リムジンがまた停車する.今度はクラウディオさんの家の前である.道路に面して,立派な2階建ての家が建っている.向かって左隣には増築中の家が並んでいる.
元々大工さんであるクラウディオさんが自分で建てた家だという.クラウディオさんの多才ぶりには驚かされる.
ここで,食料品など色々な資材がリムジンに積み込まれる.10人以上の人達が集まって,盛んに積み込み作業をしている.沢山の荷物がリムジンの屋根にも載せられる.当の私達は,ボンヤリと作業を眺めているが,三井さんを始め,現地のスタッフの方々に,大変な労力が掛かっていることを,今更ながら気が付く.
8時27分,私達5人と,三井さんを筆頭に7人の現地スタッフ,計12人が小さなリムジンに乗り込んで,クラウディオさんの家の前を出発する.リムジンの屋根にも膨大な量の荷物が積み込まれている.有り体に言えば,大変な過積載の状態である.でも,トヨタ製のリムジンは,実に快調に走る.
私達のリムジンはワラス(Huaraz)に向けて,快調に走り出す.

<クラウディオさんの家:とても立派である>
(つづく)
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