<シュルップ山遠望>
ペルー周遊記(45):第12日目(4):シュルップ湖トレッキング(2)
2008年7月12日(日)(つづき)
<神秘の湖,シュルップ湖>
■こまめに休憩を取る
モレーン地帯の真ん中,標高3,820メートル地点で,最初の休憩を取った私達は,11時00分に,再び歩き出す.私達は広大な斜面をユックリと登る.この時,私はペンションカンツータでお会いした山岳ガイドの白石さんの忠告を頭の中で復唱していた.
「・・・高所では,決して急いで歩いたりしてはいけません.何時もユックリと慎重に行動しないと,きっとしっぺ返しに遭いますよ・・・」
11時18分,標高3,880メートル地点で,2度目の休憩を取る.何時の間にか,随分と高い所まで登っている.振り返ると,眼下に広大な台地が広がっている.われわれが出発した山荘は,林の陰に隠れて見えなくなっている.
11時22分に,再び,歩き出す.
■ノンビリと昼食
11時50分,標高3,950メートル地点で,昼食のために休憩を取る.眼下に広がる広大な台地を見ていると,見晴はよいものの,さほどの高度感は感じない.しかし,私達は,すでに富士山より高い所まで登っている.高度障害が出てきても,おかしくない高度に達している.
私達は,思い思いの場所に座り込んで,山荘から持参したランチボックスを開く.ランチボックスの中には,大きめのハンバーグ,リンゴ,菓子類が無造作に入っている. ハンバーグのパンがとても美味しい.私はそれ程食欲がなかったが,パンが美味しいので,結局は全部食べてしまう.そして,青いリンゴを一つ,丸かじりする.
山岳ガイドのクラウディオさんと,可愛い息子さんは,大きな石の上に腰を下ろす.息子さんは赤いベレー帽をかぶっている.なかなか良く似合っている.お受験で生彩のない日本の子供と較べれば,息子さんの眼は明るく澄んでいて,とても可愛らしい.
<標高3,950メートル地点で昼食:クラディオさんと息子さん>
■トラバース道を進む
12時20分,昼食を終えた私達は,再び歩き出す.
やがて長い斜面を登りきって,12時40分に標高4,030メートル地点に到着する.ここで登り坂は一段落して,登山道は一旦平坦になる.従って,下から登ってくると,この辺りが峠になっているように見える.ここから登山道は谷間の右岸に沿ったトラバース道になる.
前方には,嶮しく屹立する岩山が見えてくる.登山道の周辺には,散在する岩塊が目立つようになる.足元のそこかしこに黄色や白色の花が咲いている.黄色い芯に白い沢山の花びらが付いている直径10センチメートルほどの花は,以前,何処かで見たような気がする.暫くの間,どこで見たんだろうかと迷うが,すぐに,ニュージーランドのルートバートレッキングで見掛けたディージーだと気が付く.しかし,この花がディージーかどうか,私には分からない.
<モレーン地帯を行く:素晴らしい眺望(12時39分)>
■シュルップ滝
トラバース道を進んで,13時04分,標高4,110メートルの岩稜の上に到着する.ここから登山道は岩稜地帯を登るルートになる.
私達はシュルップ川(Chu up)の右岸に沿うトラバース道を歩いている.
やがて,前方にシュルップ滝が見え始める.大きな岩山から大きな滝が流下しているのが見える.更にトラバース道を進むと,この滝の滝壺から少し下流に広がる平地に飛びだすようにして到着する.シュルップ川の源流である.川筋を飛び越えて,谷の左岸に渡る.
13時17分,標高4,150メートル地点で小休止.呼吸を整える.その間に,山岳ガイドが,シュルップ滝左岸の岩場にロープを張っている.
13時20分,ガイドの案内に従って,ロープに掴まりながら,岩場を登る.ロープがなくても容易に登れる程度の岩場だが,忠実にガイドの指示に従って,片手でロープを持ちながら岩場を登る.
<岩稜から滝壺付近を目指して下る(13時32分)>
■シュルップ湖
岩場登りは5分ほどでおわる.そして,14時37分,私達は岩場を登り切って,シュルップ湖に到着する.目の前に,忽然とシュルップ湖が顔を出す.それほど大きな湖ではないが,青緑の湖水が神秘的な雰囲気を醸し出している.湖の向こうには氷河を抱いたシュルップ山が聳えている.素晴らしい風景である.
シュルップ湖の標高は4,485メートル.また,シュルップ山の標高は5,495メートルである.
私達は,湖に面した岸辺の岩肌を,ほんの少し登る.そこからの眺望は一段と素晴らしい.ここで,暫くの間,景色を見ながら休憩を取る.
<シュルップ滝に沿って登る(13時53分)>
<シュルップ滝の脇を登る(14時20分)>
<シュルップ湖とシュルップ山(14時37分)>
■小雨が降り出す
15時03分,私達はシュルップ湖畔の高台を出発して帰途につく.
シュルップ滝沿いの岩場を下る.途中,ガイドの息子さんが甲斐甲斐しくお手伝いをしている.本当に可愛い子だなと思う.
何時の間にか曇り空になっている.ここは,いくら赤道近くとはいえ,標高4,000メートルの高地である.日が射さなくなると,途端に寒くなる.その内に,小雨が降り出す.
私達は,山荘を目指して,適当な道を選びながら,急ぎ足で下る.
17時30分,無事,山頂に帰着する.
<山荘の夕暮れ>
■お茶,そして夕食
部屋に戻って一段落した後,食堂小屋でティータイムを楽しむ.
パルスオキシメーターで,血中酸素飽和度と脈拍を測定する.私の場合,それぞれ,86%,100回/分を示す.自覚症状はないものの.高度順応は余りよくできていないようである.
18時30分から夕食.ごはん,味噌汁,肉と野菜の炒め物,イモ,オシタシなど.
それぞれが,日本から持参した醤油,香辛料,おやつなどを提供する.私は,鎌倉名物のハトサブレを20数枚持参したが,結局,自分の口には,一かけらも入らず,どこかへ消えてしまった.
<山荘の夕食>
■山荘の寝心地
21時30分頃,それぞれが割り当てられた小屋に戻る.私達年長組3人は,食堂小屋から一番離れた小屋が割り当てられる.私はトーマスさん,Sさんと同室になる.
21時50分頃,就寝.
こうして,第12日目も無事終わった.
(つづく)
********************************
[補足事項]
今回,観光組を除く全員で,初めて本格的なトレッキングをしたが,気になることが何点かあったので,今後の山行のために補足する.
なお,このブログはあくまで私個人が記録のために編集している.同行された方の中で,この補足事項を見て,不快な念を抱かれることがあっても,あくまで私人の感想であって,客観的なものではないので,ご容赦願いたい.
トレッキングに参加して,下記のことが,登山学校で習ったことと異なるので気になった.
記
1.ガイドをリーダーとする登山の留意点
次の項目が遵守されていないという印象を受けた.
(1)リーダーの承認を受けずに,リーダーより前に出ない.
(2)リーダーの指示には必ず従う.
(例:ロープを持てといわれたら,ロープ不要と思っても指示に従う)
(3)リーダーの指示したルートを歩く.
(写真を撮などルートを外れるときは,必ずリーダーの承認を得る)
2.登山道歩行の原則の遵守(安全第一の原則)
(1)原則として登り優先
ただし,多人数のパーティは,上り下りにかかわらず,対向者に
道を譲る.
(2)山側に避ける.
(3)トラバース道を歩くときは,滑落防止のために斜面下側の足をやや外に
向けて歩く.
(この項目は,ガイドによって指導内容が異なることがあるが,何れも正
しいと考える)
(4)下り坂の原則,「飛ぶな」「走るな」「跳ねるな」を遵守する.
3.リュックの使い方
(1)リュックの外側に,コップをぶら下げない.ペットボトルを外ポケット
に入れない.
(2)極力軽くする.
(3)必要最低限の装備(防寒具,雨具,水,行動食,非常食,ツェルド,
地形図,磁石など(*))は必ず持つ.
(*)必要品は季節,山行場所によって異なる.
4.岩稜歩行の原則
(1)絶対に石を落下させない.
(2)間隔を空けて歩く.
以上
*******************************
前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/6fc85b1bd74ec3c4c6f621d8aaead0d7
次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5a8b71d4e0affa3b9a9d83a68185eb71
このシリーズの最初の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/6fee0e316085f32cce0c47a424821346
最新の画像[もっと見る]
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前
- 精密検査から戻って;長女が老夫婦を日比谷花壇大船フラワーセンターへ招待・・・ 4年前