中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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霜柱と展望の塔ノ岳

2007年03月14日 10時49分20秒 | 丹沢の山旅

           春の霜柱と素晴らしい展望:
            塔ノ岳(大倉尾根)往復
              (単独山行)

2007年3月13日(火)


 前回塔ノ岳を登ってから,1週間が過ぎようとしている。
 実は,天気が良さそうなので,昨日(3月12日),久々に塔ノ岳を登ろうと思っていた。しかし,朝,目覚めたときに,どうも寝不足のような気がしたので,塔ノ岳は諦めて,鎌倉アルプスを一回りするだけに止めた。しかし,鎌倉アルプスだけでは歩かないよりはマシだが,どうも物足りない。そこで,今日(3月13日),改めて塔ノ岳を往復することにした。
 例によって東海道本線で小田原に向かう。途中,平塚辺りで太陽が昇り始める。1月頃は,バスで大倉入口付近にならないと太陽が昇ってこなかった。暫くの間に随分と日の出が早まったなと実感する。
 大倉行のバスで,2人の顔見知りと乗り合わせる。お互いに名乗りはしていないが,「やあ,やあ,しばらくぶりです・・」と挨拶を交わす。
 何時もより少しグズグスしていて,7時43分に大倉バス停から歩き出す。
 これまで何回も大倉尾根を往復しているが,どうもラップタイムを気にしすぎているよう思える。もう積年の念願であったウイルヘルム山も登ったし,当面はハードな山に登る計画もない。そこで,今日は,のんびり,ユックリと青空を楽しみながら,塔ノ岳を楽しもうと思う。
 最初からピッチを落として歩き出す。青空を仰ぎ見ながら自動車道を進み,7時48分に登山口に到着する。冬枯れの木々の間から見える隣の尾根を眺めながら,8時03分に観音茶屋,8時20分に見晴茶屋を通過する。ここまでの所要時間は32分,何時もなら約20分の歩程である。そのままノンビリした調子で登り続けるが,それでも駒止茶屋を過ぎる頃(8時52分)には,同じバスに乗り合わせていた大半の登山客を追い抜く。この辺りから登山道両側の斜面に長い霜柱が沢山見えるようになる。この辺りで霜柱が見えるのは2月初旬以来のことである。

            <綺麗な霜柱>

 9時10分頃,堀山を通過する。「塔ノ岳1時間30分,大倉55分」の案内標識が立っているところである。進行方向右手に真っ白な雪の富士山が眩しく見える。私は,ともすると速度が速なるのを押さえて,ユックリペースを保つ。
 堀山の家を過ぎると登り坂になる。この辺りを登っているときには,まだ十分に体力が残っているので,ついついオーバーペースになる。それが災いして,花立山荘手前の長い階段辺りでスタミナ切れになる。私は高度計を睨みながら,どんなに速くても登攀高度差650メートル/時以上の速度にならないように心掛ける。9時27分,戸沢分岐を通過する。分岐の上の広場は霜が溶け始めて泥んこになっている。
 やがて,登山道は露岩帯の急坂になる。ここもユックリと登り詰める。振り向くと駿河湾方面の視界が大きく開け始める。そして,長い階段になる。今日はこれまでユックリペースで登ってきたので,この長い階段も全く苦にならない。そして,9時51分に花立山荘を通過する。ここから先,泥道を登るとやや厳しい勾配の露岩帯になる。この露岩帯を登り詰めると尾根に短い木道が設置されている。この木道からの富士山の眺望がとても素晴らしい。今日は良く晴れているので,遠く南アルプスの山々まで,クッキリと見えている。ここで立ち止まって,何枚かの写真を撮る。

         <花立山荘を過ぎた露岩帯から見た富士山>

 10時22分,金冷しを通過する。ここから先は,凄い泥んこ道になる。なだらかな傾斜を登り詰めると,やがて急傾斜のジグザグ階段が続くようになる。今日は随分とユックリ歩いてきたので,体力が余っているはずなのに,ヤッパリこの辺りの階段はシンドイ。山頂近くで階段が鋭く左折する。すると目の前に,新しい立派な階段が現れる。この立派な階段まで来ると,心底から「やれやれやっと頂上だ」という開放感が湧いてくる。
 私の前に1人の登山者が喘ぎながら登っている。私はおとなしく彼の後について登る。彼が振り返って,
 「お先にどうぞ・・・」
という。でも,山頂までほんの僅かしかない。
 「・・山頂はすぐそこですよ・・・どうぞ,そのまま・・・」
と私は辞退する・・・・が,大汗をかいている彼は,ハアハアしながら,「どうぞ」という。
 「それでは・・お先に・・・」
と狭い階段をすり抜けて先へ進む。
 10時22分,塔ノ岳山頂に到着する。
 登攀所要時間2時間39分。何時もの登山よりも15~20分ほど,余計に時間を掛けるだけで,随分と楽に登れるものだなと実感する。

              <塔ノ岳山頂から見た富士山と南アルプス>

 山頂は寒いが,素晴らしい眺望である。気温はマイナス0.1℃。2人の登山客が吹き曝しの山頂で休息している。私は辺りの風景を数枚の写真に収める。そして,すぐに尊仏山荘に駆け込む。山荘の入口付近には大きな雄鹿と雌鹿が日向ぼっこをしている。先客が2人居る。私は例によってお茶を注文する。
 私のすぐ後に,狭い階段で追い越した登山客が山荘に入ってくる。汗ビッショリになっている。
 「いや~ぁ・・・大変でしたよ。齢,×0歳近くになると,貴方のように,速くは歩けないですよ・・・」
と私に話しかける。私はドギマギする。一体,私を何歳だと思っているのだろうか。
 「・・・あの,私,×4歳です・・もうすぐ×5歳になります・・・」
と小さな声で答える。
 「えっ・・・そうなんですか! で,何時も何時間位で登りますか・・」
 「今日は,ユックリ登りましたので,2時間40分ほど掛けました。平素は大体2時間20分前後です」
と答える。それを傍らで聞いていた先客2人が,
 「へえ・・上には上が居るものですね・・・私は4時間半掛かりましたよ」
と話題に首を突っ込む。それまでは良かったが,
 「山登りは速いばかりが能ではないですよね。ユックリ楽しまなければ・・・」
と少し嫌みがかったことを言いだす。
 私もそんなことは百も承知している。「この会話はつまらない」と思って,以後,黙りを決め込む。
 私が塔ノ岳に登る理由はいくつかある。第1は登山に必要な体力保持にある。高い山を縦走する場合には,応分の登攀速度と長時間歩行能力が必要である。だから,その第2は,登山の都度テーマを設けて,週に1~2度は塔ノ岳に登っている。年に1~2回しか登山していない人に較べれば,いくらユックリ歩いても私の方が比較にならないほどの速度で登れるのは,至極,当然のことである。
 小屋番が話を引き継ぐ。
 「確かに速い人は沢山居ますよ・・・本当に速い人は,駆け足で1時間足らずで上がってきますよ・・・でも,これまで最も遅い人は,9時間掛かっていますよ・・・大半の方は4~5時間掛けて登ってきます」
 10時43分に尊仏山荘を後にする。大倉発13時22分のバスに乗れれば良いかなと思いながら,ノンビリと下り続ける。金冷し付近は霜が溶けてますます泥んこになっている。小さなアップダウンを経て,露岩帯を下る。丁度その辺りで,バスで合った顔見知りの2人とすれ違う。
 「あれ・・・もう山頂まで行って来られたんですか・・・?」
 11時07分,花立山荘を通過し,長い階段を一気に下る。戸沢分岐に近いところで,登山道の片隅で休んでいる男性に呼び止められる。
 「・・・速いですね,もうお帰りですか・・」
良く見ると,大倉行のバスに乗り合わせていた方である。彼は鷺宮に住んでいて,定年退職後山歩きを始めたばかりだという。
 「・・・ところで,鍋割山へ行ったことありますか・・・」
と私に聞く。私は,昨年秋から,鍋割山へは行っていないので,
 「最近,行っていません・・・」
と答える。
 「鍋割山の早野さん知っていますか・・・彼は鍋割山を私物化していると思いませんか・・」
と私に聞く。私は鍋割山のご主人の名前は草野さんではないなと思う。同時に,私物化と言われても,返答に窮してしまう。
 「大体,鍋割山の山頂にロープが張ってあるのはオカシイ・・・それに山林保護とはいえ通行禁止にするのはオカシイ。もっとも私が鍋割山へ行ったのは6年前なので,今でもロープが張ってあるかどうか分かりませんが・・・」
 私はますます返答に窮してしまう。彼が林野庁の伐採計画を,鍋割山のご主人の計画だと勘違いしているようである。それに彼の言う「最近」が,6年前のこととは!
 私はそそくさと会話を適当に切り上げて,
 「ではお気を付けて登ってください」
と挨拶。そして下山を続ける。その内に,少し急いで下れば,大倉発12時52分にバスに間に合いそうなことに気が付く。それからは,かなりピッチを上げて,12時47分に大倉バス停に到着する。

[ラップタイム]
 7:43  大倉歩き出し
  ↓
 8:03  観音茶屋
  ↓
 8:20  見晴茶屋
  ↓
 8:52  駒止茶屋
  ↓
 9:10  堀山の家
  ↓
 9:51  花立山荘
  ↓
10:22  塔ノ岳山頂着
10:43    〃  発
  ↓  ※途中10分ほど雑談休憩
12:47  大倉着
                       (おわり)



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2 コメント

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はじめまして (ひろゆき)
2007-03-14 11:47:21
ブログ楽しく読まさせていただきました。
山中での会話、人はみんなちがっておもしろいですね。
私は40過ぎてからときどき山歩きをする程度ですので、flower-hilさんの行程速度は羨望です。しかもいまはなかなか山に行けない状況ですので、これからも新鮮な山に息吹をいただきにたずねさせていただきます。よろしくお願いいたします。
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コメント有り難うございました (flower-hill\2005)
2007-03-15 09:45:49
「ひろゆき」さま
当ブログをお尋ね頂き有り難うございました。
これからも宜しくお願いします。
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