<霧の登山道>
霧の新緑を楽しみながら登る丹沢:塔ノ岳(今年35回目)
(登り途中まで韋駄天のTさんと一緒・下り単独)
2012年7月3日(火) 濃い霧後雨
■今日は火曜日,でも,塔へ行くぞ
この所,できるだけ,毎週,水曜日と土曜日に塔ノ岳に登ることにしているが,明日の水曜日は五十三次洛遊会の定例会がある.そこで,水曜日を避け,どこか適当な日に塔ノ岳に登りたいなと思っていた.幸いなことに,天気予報によると,今日(火曜日)は,梅雨の合間の晴のようである.
私は躊躇せずに塔ノ岳行きを決める.
ただし,今日は平日である,従って小田原駅でJRから小田急線の電車に乗り換えるときに,駅ホームの階段を2段跳びで登り下りしないと,渋沢発大倉行きの1番バスに間に合わなくなる.実はこれが何時も悩みの種だが,こればかりは致し方ない.
電車の車窓から眺めると,上空には青空が広がっているが,丹沢山塊の高いところには雲が掛かっている.電車が新松田に近ずくと,矢倉岳が見えはじめる.もし晴れていれば,その奥に富士山が見えるが,今日は完全に雲の中である.
渋沢発大倉行1番バスには,そこそこの登山客が乗っている.ご常連も数人.その中には顔には見覚えがあるが名前が分からない方が何人か居られる.韋駄天のS藤さん,韋駄天のTさん,掲示板編集長のY川さん,何時もは土曜日に登られるK大Nさんも,なぜか火曜日の今日乗車されている.これで私が知っているご常連は終わりである.それに,山旅スクール6期のN島女史も同じバスに乗り合わせている.
■途中まで韋駄天のTさんと一緒に登る
バスが大倉に到着すると,韋駄天のS藤さんは,塔ノ岳に向けて,すぐに歩き出す.
S藤さんからおよそ5分ほど遅れて,7時05分,私は韋駄天のTさん,Y川さんと一緒に大倉から歩き出す.
歩きながら,Facebook上に,塔ノ岳ご常連だけの「グループ」を造ろうかと雑談をする.例えば,およそ数十人居られるという「尾根の瓦版」の読者だけにクローズドした「グループ」を作るのは如何だろう.Facebookなので,グループに参加される方は,勿論,本名を使わなければならない.ただ,グループの登録していない人は絶対に見ることができないので,第三者に見られることなしに,相互の情報交換ができるできる・・・さて,どうしよう?
私がその気になれば,すぐにこのような「グループ」を作れるのだが,ちょっと戸惑いもある.
そんな話をしている内に,何時の間にか,韋駄天のTさんと私の2人だけになる.韋駄天のTさんは,私に気を遣ってユックリ歩いて頂いているようだ.
歩きながら,色々なことを雑談する.そして,機会があったら私が所属している某学会の研究会にも参加して頂けそうである.感激した私は,自分が著作した単行本の中から適当なもの1冊を選んで,謹呈することに決める(邪魔になって,重いだけかな・・・).
7時45分,見晴山荘を通過する.急坂の見晴階段を韋駄天のTと一緒に登るなど,私には不可能なので,ここからは,Tさんには先に登って貰うことにする.その途端,Tさんと私の間の距離は瞬く間に広がっていく.そして,私が階段を半分ほど登ったときは,もうTさんは遙か前方で,見えなくなっている.ここからの私は完全に一人旅になる.
<見晴階段>
<新緑の登山道>
■韋駄天のYさんが下る
8時09分,前方から2本ストックのY沢さんが駆け下りてくる.
「こんにちは・・」
と合い差を交わしたときは,もう数十メートル先まで走り去っている.
8時15分,駒止茶屋を通過する.大倉からの所要時間は1時間10分.一寸遅いなと感じるが,まあ,いいか!
気温21℃.近くでホトトギスが盛んに啼いている.
<韋駄天のYさんが下る>
■富士山は雲の中
つづいて堀山の尾根に入る.登山道をトンネルのように囲んでいる新緑が実に心地がよい.こんなときは一人歩きが気ままでよい.私は深呼吸をしながら,ノンビリリラックスモードで歩き続ける.
今日は雲が多く立ちこめていて,期待していた富士山は完全に雲の中.でも,儀式として写真を撮る.
谷間の方からツツドリの啼き声が聞こえてくる.
<富士山は雲の中>
■久々のKさん
私は,何か考え事をしながら,無意識で足を進めている.つまり,うわの空で無意識で足を運んでいる.
8時23分,いきなり人の気配を感じる.ご常連のKさんである.
「やあ,やあ,久しぶりですね・・・」
と言いながら,お互いに固い握手.
「さっき,韋駄天のS藤さんと,韋駄天のTと会いましたよ・・」
とKさんが言う.
「実は,私もS藤さんやTさんと同じバスに乗っていたんですよ・・・それなのに,これだけ差が付いちゃうんです・・・・」
と愚痴る.
「いやあ~・・・余所様と比較することないですよ.楽しく登れればそれで良いんですよ・・」
と平素私が心掛けようとしていることを,Kさんにズバリ言われてしまう.
本当にKさんが言われるとおりだと思うのだが,なかなかそうは悟れないところが,私の弱さ,煩悩.未熟さでもある.
ここで,かれこれ,6分ほどKさんと立ち話.
お互いに,いろいろなことに憤慨し,愚痴りあって,気分がスッキリする.
愚痴の内容は機微に触れるので,ここで披露するわけにはいかないが,老境に達した良い男にも,愚痴りたいことは多々あるんだよ.
「愚痴を,聞いて貰えば,少しは気が収まるよ・・・」
とKさんが言う.同感!
別れ際に,
「たまには,写真を撮らせてくださいよ・・・」
で,1枚パチリ.
Kさんの了承を得ているので,ここで披露する.
写真の見ながら,“山で会う方の笑顔は実に素敵だな”と思いながら,また近々の再会を約してお別れする.
<笑顔が素敵なKさん>
■萱場平
8時39分,堀山の家を通過する.小草平のベンチには誰も居ない.辺りは静まり返っている.
前にも同じようなことを書いたことがあるが,ここから花立山荘までの急坂が私は好きである.なぜならば,ここには多少階段ばかりの嫌いがあるが,もっとも山らしい雰囲気があるからである.
相変わらずツツドリの啼き声が聞こえてくる.
ゆっくりと自分勝手なペースで,あれこれ考え事をしながら登る.これが実に良い.私の前後には誰も居ない.それを良いことに,私は思いきり大きな音を立ててバックウインドを一発.澄んだ音色を聞きながら,スッキリ.
私は,上りながら,ボンヤリ考える.
Facebook上に「常連グループ」を開設する場合,グループ名をどうしようか?
「・・・・そうだ!」
尊仏山荘のネコをFacebookに登録して,ネコに「グループ」の管理をさせるのもいいな.
「じゃあ,登録するネコの名前はどうする?」
「尊仏山荘みゃ~」ではツマラナイ.いっそのこと山荘のオーナーの名前をもじって
“華伊達美弥(ハナダテミャア)”
にすようか.
待てよ!
“大倉美弥右衛門(オオクラミャ~エモン)”
も古風で良いな.
じゃあ・・・
「グループ」の名称は?
「・・・・そうだな、『大倉尾根の風』なんていうのも乙だな・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私の妄想は尽きない.
そうこうしている内に,瞬く間に,萱場平に到着する.考え事をしていた当の私には”瞬く間”に感じたが,時計を見ると8時58分になっている.遅い!
いくら途中でKさんと立ち話をしていたにしても,時間が掛かりすぎる.でも仕方がないな.
<今日の萱場平>
■霧の花立山荘
途中で若い2人連れを追い越したが,逆に別の2人に追い抜かれる.何時の間にか,辺りに霧が立ちこめている.やがて後7分坂に差し掛かる.坂の上を見てしまうと,余りの長さにガッカリするので,極力足許だけ見ながら,黙々と階段を登り続ける.
途中で根元が曲がった木をそのまま階段に使っている所を通過する.この曲がった木を見ると坂のどの辺を登っているかが,すぐ分かる.まだまだ先が長いなと察しが付いて.ガッカリ.
9時21分,漸く花立山荘に到着する.霧が深くなりはじめる.山荘前のベンチで1人の男性が休憩を取っている.先ほど私を追い越していった方である.気温22℃と高い.
それにしても,今日は大倉から花立山荘までの所要時間が,2時間16分も掛かっている.Kさんとの雑談時間6分を差し引いても,2時間10分.あと10分短縮しても軽々と登れるだけの体力が欲しい.
今頃,韋駄天のTさんは尊仏山荘に入っているだろうなと思いながら.そのまま花立山に向かう.
9時27分,下山してくる韋駄天のS藤さんとすれ違う.
「たまには写真を撮らせてください・・・」
とS藤さんにお願いする.
「余り良い男じゃないけれども・・・」
と言いながら,ポーズを取っていただく.S藤さんの笑顔,やっぱり良いなと思う.
「この頃,大船で会いませんね・・・Becker's覗いてみるんですが・・?」
とS藤さんが言う.
「でも,結構,大船へ出掛けていますよ.昨日も14時頃,Becker'sでコーヒー飲んでいましたよ・・」
その内に,また,大船で会いましょう・・で,お別れする.
<韋駄天のS藤さん>
■韋駄天のTさん
9時31分,花立山を通過する.霧が少し晴れて,ほんの少し薄日が射し始める.すると周囲の森の中からジージーとセミの鳴き声が聞こえ始める.中には蛙の鳴き声に似た声を出すセミもいる.
でも,薄日が射したのも,ほんの一時で,すぐにまた深い霧になる.セミが鳴かなくなる.
霧に煙る新緑も実に美しい.鍋割山稜の新緑が,あまりに美しいので,随分沢山の写真を撮りまくる.
9時37分,ようやく金冷シを通過する.まるで公園の中の散策路を楽しむかのような感じで,新緑を楽しみながら登り続ける.
9時50分,山頂直下の階段で,下山してくる韋駄天のTさんとすれ違う.Tさんにもお願いして写真を撮らせて貰う.2~3分立ち話.
<韋駄天のTさん>
■塔ノ岳山頂
9時54分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.気温15.7℃.大倉からの所要時間は2時間49分.随分と時間が掛かったなと,ひとりで苦笑する.
山頂は濃い霧に覆われていて,ヒンヤリと涼しい.まだ,ほとんど人影はない.
霧の山頂など写真に撮っても仕方がないなと思いながらも,儀式なので数枚の写真を撮る.
<霧の塔ノ岳山頂>
■尊仏山荘
尊仏山荘に入る.
見覚えのある常連客2人に、若い登山客2人が先客.小屋番はオーナーのHさん.何時ものように300円也のお茶を所望する.親しくしているご常連が居ないので,適当なところで切り上げて下山しようかと思う.今日は,大倉発12時52分のバスに乗ろうかな・・・
私はオーナーのHさんに,来週から都合があって,3週間ほどは塔ノ岳には来られませんと伝える(都合の内容は,個人的なことなので,ここでは伏せておく).
「そうですか,お大事に.ではみんなに伝えておきます」
「いえ,いえ,わざわざ伝えて貰うようなことではないです」
「では,聞かれたら答えることにしましょう」
「それでお願いします・・・」
■霧の登山道を下山
12時14分,尊仏山荘を出発,下山を開始する.霧がますます深くなる.山頂で休憩を取る人の数が随分と増えている.
山頂をウロウロしていると,同じバスに乗っていたK大Nさんが,私と入れ替わりに山頂に到着する.
山頂のポール近くに,山旅スクール6期のN島さんが休憩している.
「ゆっくり先に下りています・・・」
とN島さんに挨拶して,下山を開始する.
<霧の登山道>
■雨の中下山
ますます霧が深くなる.寒い.
ときどき登ってくる登山者とすれ違いながら,のんびりと下山し続ける.霧に煙る木のシルエットや新緑が実に綺麗で,うっとりとする.贅沢な森林浴を楽しみながらの下山である.実に気分が良い.
駒止茶屋辺りまで下ると,雲の下に出たのか,霧が晴れて高曇りになる.だんだんと蒸し暑くなる.
見晴山荘を通過する頃から,ごく弱い霧雨が降り出す.
予定通り12時37分にバス停大倉に到着する.
12時52分発渋沢行のバスに乗車する.平日にしては多少乗客が多いこともあって,バスが渋沢駅に到着する時刻が何時もより1分程遅くなる.
下りホームで小田原行の電車を待っていると,雨が本降りになりはじめる.そして,電車が小田原に到着する頃にはザーザー降りになってしまう.
小田原でJR東海道本線の電車に乗り換えて,14時30分に大船に到着する.自宅近くを通るバスは14時55分発.少し時間があるので,駅ビル1階の某喫茶店に入って,200円也のブレンドコーヒーを飲みながら時間つぶしする.
帰宅後,九州で記録的な大雨が降って,被害甚大なことを知らされる.また,関東平野でかなり揺れる地震があったことを知る.登山中,地震には全く気がつかなかった.
帰宅後,少々早めに,風呂に入る.何とも気分が良い.最高!
<ラップタイム>
7:05 大倉歩き出し
7:29 観音茶屋
7:45 見晴茶屋
8:15 駒止茶屋
8:39 堀山の家
9:21 花立山荘
9:37 金冷シ
9:54 塔ノ岳山頂着(17.7℃)
10:14 〃 発
10:30 金冷シ
10:38 花立山荘
11:15 堀山の家
11:34 駒止茶屋
12:03 見晴茶屋
12:18 観音茶屋
12:37 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:05
塔ノ岳 着 9:53
(所要時間) 2時49分(2.82h)
水平歩行速度 7.0km/2.82h=2.48km/h
登攀速度 1269m/2.82h=450.0m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:14
大倉 着 12:37
(所要時間) 2時間23分(2.38h)
水平歩行速度 7.0km/2.38h=2.94km/h
下降速度 1269m/2.38h=533.2m/h
(おわり)
[
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/78c6b76f53046484d09fcae92642f439
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/afbfaa2c4f1e27bdbb71fb1930d6b95b
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