<塔ノ岳山頂から富士山を望む>
秋の虫と富士山を愛でながら登る丹沢;塔ノ岳(今年48回目)
(単独山行)
2012年9月20日(木) 晴・雲多し
■残暑厳しいが漸く秋らしくなった
9月も中旬ともなれば,いくら残暑が厳しくても朝晩がメッキリ暗くなってきたので秋のもの悲しさが辺りに漂っているように思えてくる.本当は水曜日を丹沢行の日と決めている私は,昨日,塔ノ岳に登りたかったが,雨が降っていたので,やむなく丹沢行きを1日遅れの今日にした.
そろそろ荷物の多い冬場の登山に合わせるために,今日は水を少々多く持って,リュックを何時もより2キログラムほど増やして9キログラムにする.私の体重は61キログラム.着衣,ポーチ,それにリュックを加えた総重量は71キログラム.正確に言えばこれに登山靴両足で約1.5キログラムを加えると約72キログラムということになる.この重さは約20年前のメタボ寸前だった自分の体重と同じである.改めてあの頃は随分と重い身体だったんだなと実感する.
定刻5時10分に家を出る.
涼しい.でも,薄暗い.つい先日までは朝日を浴びながら出掛けたのに・・・まだ,残暑が厳しいとはいえ,秋は確実に近付いている.
今日は平日.従って,小田原でたった2分しかない電車の乗り換え時間.階段を猛ダッシュして,東海道本線から小田急線の電車に乗り換える.息絶え絶えで乗り換えた途端に発車ベルが鳴り出す.ヤレヤレ間にあった! それにしても,この電車,新松田駅で無意味に2分も停車する.この無駄な2分の内,1分でも良いから小田原駅発の時間を遅らせるのに回せないのかと腹立たしい.
ただ,嬉しいことにこの電車は平日でも何時も空いている.私は新松田手前で富士山と矢倉岳が重なって見える所を写真に納めるのを楽しみにしている.今日も多少雲が湧いているものの,この風景を何とか写真に納めることができた.良かった!
<新松田付近から富士山と矢倉岳を望む>
■今日は一人旅
渋沢発大倉行の一番バスは平日にしてはマアマアの乗客が乗っている.ご常連の顔も揃っている.韋駄天のTさん,三角髭のTさん,U村さん,カメラマンのMさん,超韋駄天のN村さん,M田女史,ホッシーさん,A宮さんなど多士済々.
今日は,それぞれがバラバラに大倉から歩き出す.例により,韋駄天のTさんなど大半のご常連は,バスが大倉に到着するとすぐに歩き出す.相変わらずモタモタの私は,これらの方々より大分遅れて,7時06分に大倉を出発する.これでも私にとっては早い歩き出しである.
昨日,この辺りでもかなりの雨が降ったはずである.したがって,多分登山道は濡れていて滑りやすいし,山ヒルにも注意しなければいけないなと思いながら歩き始める.
仲間達と一緒に登るのも楽しいが,ただ1人,気儘に歩くのも,また,楽しいものである.昨日の雨でまだ多少濡れている山道を,あれこれと考え事をしながら,全くのマイペースで登り続ける.登山道周辺の草むらで秋の虫が鳴き始めている.まだ,まだ,残暑が厳しいとはいえ,秋のへ配を確実に感じる.
■見晴階段
観音茶屋の手前で,年配の男性に追い付く.
「もう20人ほどの方に追い抜かれましたよ・・・」
と言いながら,私に道を譲る.
「どうされたんですか?」
と伺う.
この男性は長年の喫煙で肺機能が弱くなってしまったので,リハビリで塔ノ岳に登っているとのこと.タバコはダメと力説する.
8時05分,見晴茶屋を通過する.そしてすぐに見晴階段を登り始める.右手から木の枝を通しで明るい朝日が差し込んでいる.木の枝が明るい緑のトンネルになっている.
「山登りは楽しくなければダメだ・・・苦しいのはダメ・・・」
私はついつい力んで速く登ろうとする自分を戒める.
<緑のトンネル,見晴階段>
■富士山が見える
8時05分,一本松を通過する.自分でも少し遅いペースだなと思うが,ままあ,いいやで歩き続ける.一本松上のベンチで男性が休憩を取っている.
きつい駒止階段を登って,8時23分に駒止茶屋を通過する.気温22.4℃.真夏ほどではないがまだまだ気温は高い.
すぐに堀山の尾根に入る.多少の風があって実に心地よい.
今日は,この時期には珍しく富士山が良く見えている.ここで立ち止まって,富士山の写真を何枚か撮る.富士山の裾野に雲が棚引いている.どうやら先日の初雪は融けてしまったようである.
<堀山からの富士山>
■堀山の家
8時33分,下ってくるY沢さんとすれ違う.何時も走って下っていくY沢さんだが,今日は歩いておられる.歩くY沢さんに多少の違和感を持ちながら,8時40分に堀山の家を通過する.小草平のベンチは人影もなく静まり返っている.
小草平のベンチからは,相変わらず富士山が良く見えている.
<小草平からの富士山>
■瞑想の登り坂
堀山の家から花立山荘までの急坂は,肌が汗ばむ程度の汗は仕方がないにしても,流れるような汗は絶対にかかないように気を付けて登ろうと決心する.幸いなことに私の前後に登山者の姿はない.抜かれれば穏やかな気分で居られないし.直ぐ目の前に登山者が居れば抜き返したくなる.周りに人が居なければこんな雑念も沸かないので好都合である.私は半ば人造人間になったように同じリズム同じ速度でユックリ登り続ける.
登りながらいろいろと考える.
考えがあれこれと巡っている内に,来年辺りから登山中にラップタイムを記録するのを止めようかと思い始める.年寄りにはラップタイムよりもっと有効と思われるMTBFや,MTTRを記録しようかと・・・・
理工系の方なら誰でも知っていることだが,念のために,ちょっと解説.
MTBFはMean Time Betwseen Failuresの略.Failureの定義はチョット難解だが,端的に言って「事故」.Mean Timeは平均時間.したがって,MTBFは事故が起きてから次の事故までの間の時間の平均.つまりMTBFが長いほど安全に登山していることになる.
次にMTTR.これはMean Time to Repareの略.つまり事故で障害が起きたときに元通りに復帰するまでの時間の平均ということになる.つまりMTTRが小さいほど宜しいと言うことになる.
さて,この考え方を登山に的要するとなると,まずハッキリさせないといけないのは「事故とは何か」ということである.チョットつまずいた程度のことまで事故と定義するか,あるいは,擦り傷を負った,捻挫した,事故で病院に行った・・等々,どこで線を引くかによってMTBFやMTTRの値は大きく変わってしまう.有り体に言えば,登山を通じての自分の「楽しさ,幸福感」を端的に表す指標として使いたい・・・・まあ,こんな夢みたいなことを考えている内に,9時丁度に萱場平に到着する.
■萱場平
萱場平にも人の気配がない.天気が良いので晴天の日光が容赦なく照りつけている.気温は25.2℃に達している.昨日の雨のために萱場平はムンムンと蒸し暑い.
ここで定点観測の写真を撮る.前方には真っ青な空が見えている.
<青空が見える萱場平>
■元気なアザミ
2本の木道に間に生えている大きなアザミから元気を貰う.私の靴も序でに画面に入れてアザミの写真を撮る.私の靴と比較して,このアザミがとても大きいことが分かるかと思う.
<元気なアザミに勇気を貰う>
■凄いチャンピョン
その後も流れる汗をかかないように注意をしながら登り続ける.相変わらず瞑想しながら・・・
萱場平からは,現在歩き続けている中山道六十九宿巡りが終わったら,次は何処をテーマに歩こうかとか,次に画く絵のテーマは何にしようかとか・・・さらには横浜の定期的に開催されている某学会で,そろそろ何かを発表しようかなど,脳裏に去来するものは実に雑多である.こんな馬鹿げた雑念をしながら登っていると,全く疲労感なしに登れることに改めて気がつく.しかし,こんな雑念と共に山登りをするのは御法度.通い慣れた大倉尾根だから良いものの,こんな態度で高山を登ったらたちまちの内に遭難である.桑原桑原・・・
雑念に浸りながらの自動運転のような登り方をしていると,瞬く間に花立山荘近くまで達している.後7分坂に差し掛かるところで,下山してくる超韋駄天のN村さんとすれ違う.
「今日は気持ちが良い日ですね・・」
と一言二言挨拶を交わしてすれ違う.
何時もならば,後7分坂の真ん中辺りですれ違うので,どうやら私の方が数分遅れているようである.
9時26分,漸く花立山荘に到着する.大倉を歩き出してから2時間20分と超スロー.ラップタイムを前回の塔ノ岳登山と比較すると,堀山の家から花立山荘の間で10分も余計に時間を掛けていることに気がつく.そういえば前回は三角髭のTさんの後ろに付いて登ったなと思い出す.
それに,今日は何時もよりリュックの重さが2キログラムほど重い.たった2キログラムの違いだが,坂道では結構響く.
「遅くても良いさ・・・自分で納得して登っているんだから・・・」
と未だに十分には納得していない自分を,もう一人の自分が窘める.
花立山荘を通過して,花立山に向かう.上の方からガスボンベを背負ったチャンピョンが下山してくる.
「写真を撮りますよ・・・」
と声を掛ける.チャンピョンは両手を挙げてポーズしてくれる.
「今日,これから2回登りますよ・・・昨日は丹沢山まで4回運びましたよ.登山客が多いんで運び上げる荷物が多いんで・・・」
それにしても凄い!
特に昨日は雨が降っていたのに・・・4回も丹沢山までボッカとは!
<スーパーマンのチャンピョン>
■花立山
写真を撮りながら,9時36分花立山を通過する.久々の青空で,ここからも富士山が見えている.ここでも富士山や周囲の風景を撮りまくる.
数分道草.涼しくて気持ちがよい.
<花立山からの富士山>
■三角髭のTさん
9時43分,金冷シを通過する.最初の階段に差し掛かる手前で,下山してくる三角髭のTさんとすれ違う.早速記念写真を撮る.
「ブログに,(写真を)載せて良いですか・・・?」
「勿論構いませんよ・・・」
ちょっとばかり立ち話.
三角髭のTさんも,ようやくパソコンを使い始めたとのこと.Tさんが「大倉尾根の瓦版」に登場するのも近々のことだろうと期待している.
<三角髭のTさんと・・・向かって右側は誰だろう>
■韋駄天のTさんとU村さん
暫く登る.
今度は山頂直下で,下山してくる韋駄天のTさんとU村さんの2人とすれ違う.ここでまた集合写真を撮る.
「FHさんは凄いよ・・・中山道を散々歩いてからまだ碑が経っていないのに・・・随分元気ですね・・・」
「そういうTさんだって,毎日,塔へ昇っておられるでしょう・・・」
<下山し始めた韋駄天のTさんと,U村さん・・・だれがシャッターを押したのかな>
■塔ノ岳山頂
10時丁度に塔ノ岳山頂に到着する.気温18.2℃.とても爽やかである.
雲の海に富士山が浮かんでいるように見えている.素晴らしい風景である.例により周囲の風景を写真に納める.
まだ,時間が早いためか,山頂には登山客の姿はない.
山頂からの風景を堪能してから,尊仏山荘に向かう.
<塔ノ岳山頂から富士山を望む>
■尊仏山荘
10時05分,尊仏山荘に入る.
今日の小屋番はW田さん.先客はM田さん.300円也のお茶を所望する.
W田さんが,2階で昼寝をしている営業部長のミー君を連れて来る.W田さんの後に続いて,元気よく階段を下りるミー君が実に可愛い.
取り留めもない雑談をしていると,10時半を少し回る.そろそろ下山しようかと思っていると,カメラマンのMさんが山荘に入ってくる.
一本松上のベンチで山ヒルに遭遇したという話を伺う.
<ミー君2階からご出勤>
<ミー君の応対>
■顔見知りとすれ違いながら下山
10時44分,尊仏山荘を出て,下山開始.
ノンビリ一人旅.大倉発13時22分のバスに乗るつもり.時間はタップリある.
金冷シで,同じバスに乗車していたご常連とすれ違う.顔は知っているが名前は知らない.
「やっと,ここまで来ました・・・」
と言って,私とすれ違う.
花立山で,昇ってくるHW田さんとすれ違う.
「おや・・・暫く振りですね.登っていますか・・」
とHW田さんが私に話しかける.
立ち止まって,毎週,天気が良ければ水曜日と土曜日に登っていること,中山道六十九宿巡りをしていたので,先週土曜日は登ってこなかったことなどを説明する.
花立山から花立山荘に下る途中で,同じバスに乗車していたホッシーさんとすれ違う.
もう少しで堀山の家に到着するところで,登る途中で追い越させて頂いた「タバコで肺をやられた」と言っていた男性とすれ違う.
「まだ,まだ,頑張ります」
と男性が言う.私は”頑張らない方が良いのに”と思うが,言いそびれる.
堀山の尾根で,もう一度,富士山を眺めたいなと思っていたが,もう完全に雲の中.
12時37分,見晴山荘に到着する.山荘前のススキが穂を出している.秋を実感する.
ススキの穂の写真を撮っていると,後から下山を開始したM田さんに追い付かれる.ここから先は,M田さんとほぼ一緒に下山する.
<見晴山荘からススキを通して相模湾を望む>
■100円サングラス無残
私が,丁度,雑事場ノ平付近を歩いているとき,私が掛けていたサングラスが,何の前触れもなく,いきなり地面に落下した.
「あれっ・・・」
とビックリして拾い上げる.
なんと,眼鏡のツルが,無残にも両方とも折れてしまっている.
「やっぱり,安価なものは,直ぐ壊れるんだなあ・・・」
まあ,仕方がないか.
<いきなり壊れた100円サングラス>
■仕上げは一杯のコーヒーだ
13時10分,予定通りバス停大倉に到着する.
大倉の水洗い場でヒルが居たと若い女性の登山客が言っている.
渋沢での電車の接続が良かったので,小田原発14時04分特別快速高崎行の電車に間に合う.特別快速の小田原から大船までの停車駅は国府津,平塚,茅ヶ崎,藤沢だけ.乗っていて実に気分が良い.
14時33分,無事,大船駅に到着する.
家の近くに行くバスは14時55分.少し時間があるので,駅中のBecker'sで,ホットコーヒーを一杯.私は暑くてもホットコーヒーである.アイスコーヒーだとコーヒーの香りが飛んでしまうような気がするからである.
バスの中で,偶然,買い物帰りの家内と一緒になる.
帰宅後,例によって早めの風呂に入る.これがまた実に気持ちが良い.
今日はゆっくりと登ったので,疲労感は全くない.めでたし,めでたしである.
<Becker'sのホットコーヒー>
ラップタイム>
7:06 歩き出し
7:30 観音茶屋
7:50 見晴山荘
8:21 駒止茶屋
8:40 堀山の家
9:26 花立山荘
9:43 金冷シ
10:00 塔ノ岳山頂着(18.2℃)
10:44 〃 発
10:58 金冷シ
11:07 花立山
11:16 花立山荘(11:19まで衣服調製)
11:56 堀山の家
12:14 駒止茶屋
12:37 見晴山荘
12:51 観音茶屋
13:10 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:06
塔ノ岳 着 10:00
(所要時間) 2時間54分(2.90h)
水平歩行速度 7.0km/2.90h=2.41h
登攀速度 1269m/2.90h=437.6m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:44
大倉 着 13:10
(所要時間) 2時間26分(2.43h)
水平歩行速度 7.0km/2.43h=2.88km/h
下降速度 1269m/2.43h=522.2m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/403c567f1d57146a386de73e32c501e0
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/788e80ac1060a9b1978493deb44b7d9a
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