<イメリルの広場に到着>
モロッコ訪問記(12):第3日目:登山口のイメリルへ
(アルパインツアー)
2009年6月7日(日)~18日(火)
2009年6月6日(火)(つづき)
<マラケシュを出発>
■山岳ガイドのモハマドさん
昼食を終えた私たちは,14時32分にレストラン近くで駐車していた専用バスに乗車する.バスは直ぐに登山口のあるイメリル(Imelil)へ向けて発車する.
イメリルは,マラケシュの南,約55キロメートルほどのところに位置する寒村である.
マラケシュから,同じバスに,山岳ガイドのモハマドメリ(Mohamed Merri)さんも同乗する.
モハマドさんには,ツブカル山登頂のガイドをして貰うことになっている.まだ若い小柄な男性である.日本語は殆ど話せないので,もっぱら英語で雑談をする.彼はなかなかのインテリである.日本のことも良く知っている.逆に私がモロッコのことをどれだけ知っているかと比較すると,正に汗顔ものである.かれは,○○大学(大学名を伺ったが直ぐに忘れた)で計量経済学を学んだという.道理で色々なことを良く知っている.
■市場が立つタアナウを通過
バスは,広くて立派な高速道路を南へ,南へとひた走る.長い直線道路がどこまでも続いているような錯覚に陥る.道路の両側には,等間隔に植えられた街路樹が続く.
何時の間にか,マラケシュの郊外を走っている.佐宗からは広大な平野が広がっているのが見える.
25時05分,原野の真ん中の集落,タアナウ(Tahanaoute)に到着する.道路の両側に続く広場の向こうにパラパラと家屋が並んでいる.
現地ガイドのアブダラさんの話によると,タアナウでは毎週火曜日に家畜の市が開かれるとのことである.牛,ニワトリなどの家畜の取引が盛んなようである.今日はたまたま火曜日.集落を通過している間に,沢山の客や牛が集まっているのが見える.
<車窓からタアナウの市場を眺める>
<登山口イメリル>
■見晴らしの良い峠道
タアナウの集落を通過して,ほんの数分進むと,車窓の両側に山が迫ってくる.バスは山間の谷に入っていく.やがて,九十九折りの登り勾配になる.車窓には,山の斜面から乗り出すような形をした岩塊が迫ってくる.
15時15分,バスは谷川の左岸中腹をクネクネと続くトラバース道を登り続ける,やがて,橋を渡って川の右岸沿いに進む.バスは次第に高度を増して,深山に入り込んでいく.
<九十九折りの坂道を登ると視界が開ける>
■イメリルに到着
16時丁度に,バスは小さな広場に入って停車する.現地ガイドのアブダラさんが,
「着きましたよ・・・皆さん,自分の荷物を持って降りてください」
という.
どうやら,この広場の位置は,イメリルの集落の一番下にあるようだ.
数台の自動車と馬車が駐車している.
<イメリルの広場:自動車や馬が停まっている>
■イメリルの坂道
バスを降りる.イメリルはなかなか大きな集落のようである.舗装道路は,この広場で終わりになっている.ここから先は砂利道である.
「皆さん,山小屋まで,自分の荷物は,各自,自分で持ってください・・・ここから10分ほど歩きます・・・」
とガイドがつれないことを言う.
登山をするときは,雨具,水,食料の最小限度のものだけ自分のリュックに入れて下さい,後はロバに運ばせます・・と,言われていたので,リュックの他に,スタッフバッグ1個分の荷物を持っている.
私たちは,ロバに運ばせるつもりの荷物も,自分で背負って,歩き出す.
砂利道の上り坂が続く.雨水が流れて,路面はでこぼこになっている.谷間の左岸のトラバース道である.谷川には樹木や畑が続く.山側には,集落が連なっている.広場の周辺には,数件の商店が軒を連ねている.喫茶店のようなところの店先では,男性ばかりが集まって,椅子に座って,私たちを眺めている.
<荷物担いで坂道を登る:先頭が山岳ガイド>
<イメリル小屋>
■イメリル小屋に到着
広場から,重い荷物を背負いながら,砂利道を10分ほど歩いて,漸く,今日の宿舎であるイメリル小屋(Refuge Imelil)に到着する.
砂利道から右折して,赤土の裏通路のようなところを入ると,狭い階段のある建物にぶつかる.この建物がイメリル小屋である.日干し煉瓦かあるいは焼き煉瓦か分からないが,とにかく,そのような素材で作られている3階建ての建物である.
この小屋の従業員らしい青年が小屋の中から現れて,私たちを2階へ案内する.
<裏手から見たイメリル小屋:私たちは2階に宿泊する>
■イメリル小屋で,まずはお茶
階段を登ると,突き当たりに広い部屋がある.まずは,この部屋に通される.長方形の部屋の真ん中に長いテーブルが置いてある.そのテーブルを囲むように長い安楽椅子が並べられている.
新鮮なサクランボが特に美味しい.
部屋一杯に窓がある.窓からは,私たちが登ってきた方向が見えているようである.両側の赤茶けた山の間に,豊かな緑が広がっている.
窓からは,心地よい涼風が絶えず流れ込んでいる.
<もぎたてのサクランボ>
<まずは,ティーブレーク>
■立派な部屋
暫くすると,お茶が振る舞われる.山盛りの果物や,お菓子が出てくる.お茶を飲みながら,雑談に花を咲かせる.そのうちに,何だかホッとした気分になってくる.
リーダーから,部屋割りが言い渡される.私は,昨夜と同じKさんと同室になる.
お茶を飲みながら,小一時間雑談の後,割り当てられた自室に入る.
電話も通じない所にある小屋なので,覚悟をしてきたが,なかなかどうして立派である.6畳ほどの部屋に,シングルベッドが2台置いてある.十分なスペースである.
<イメリル山荘の客室:あまり正確なものではない>
■小屋からの夕景色
夕食は19時からである.まだ,夕食までにはタップリ時間がある.
私は部屋を出て,階段を上り下りしながら,外の景色を眺めたり,スケッチをしたりで,気ままな時間を過ごす.
外はまだ明るい.夕日が目の前の山脈を明るく照らしている.
そのうちに,私と同じように手持ちぶさたの仲間達が,入れ替わり立ち替わり来て,私のスケッチを覗き込む.登山学校の同窓の野詩歌さんもやってくる.
「明日は,どの辺りから登るんでしょうか・・・」
と私に話しかける.
私は,手元の地図を見ながら,
「多分,あの尾根と,こちらの尾根の間を登るんだと思いますよ・・・」
と真面目に答える.ところが,それは見事に間違っていた.
<イメリル小屋から集落を見下ろす>
■初めての現地風夕食
19時より,先ほどお茶を飲んだ部屋で,夕食が始まる.
まずは,絞り立てのオレンジジュース.これは,文句なく,日本のどこで飲むオレンジジュースより美味しい.
それにパン.中がしっとりとしていて,とても美味しい.メインディッシュは,牛肉入りの卵和え(何という名前か分からない),山盛りの野菜サラダ,ポタージュ風スープ,それに口直しの果物など,豊富なメニューである.
私は,100円ショップで購入した「昆布だし醤油」の中瓶1個を密かに持参している.この醤油を皆さんに披露する.和え物に醤油を少し垂らすと,何とも言えない円やかな味に変身するから不思議である.
<美味しいパンとスープ>
<メインディッシュ>
<サラダ>
<デザートの果物>
■熱いお湯が出るシャワーに感激
小1時間で夕食が終わる.その後,ガイドから,ツブカル山のコースの説明がある.
その後,暫くの間,雑談をする.秀逸なのは,女性群の1人が,トイレに閉じこめられたという話である.トイレに入って,中から鍵を掛けたら,今度は出られなくなった.そこで,大声を出して,やっと外から扉を開けて貰ったという.とんだ災難である.鍵には注意しなければと思う.
20時30分頃,お開きになる.
一旦,部屋に戻る.そして,シャワー室でシャワーを浴びる.熱いお湯がちゃんと出る.日本の山小屋より,数段良いなと感心する.
21時頃,就寝.
漸く,モロッコの旅,3日目が終わる.
明日からは,いよいよツブカル山登山が始まる.
(つづく)
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(編集中)