中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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キツツキが騒がしい丹沢:塔ノ岳(今年7回目)

2009年02月10日 10時52分59秒 | 丹沢の山旅
                <途中に登山者を計測する機械が設置された>

      キツツキが騒がしい丹沢:塔ノ岳(今年7回目)
              (単独山行)
           2009年2月9日(月)

■出掛けるのが億劫だ

 昨夜から,今日こそ,塔ノ岳に出掛けようと思っていた・・・・が,未だ暗くて寒い早朝,どうしても家を出るのが億劫である.もうとっくに目が覚めているのに,グズグズとしていて,なかなかベッドから起きあがれない.
 今日の天気予報は,9時頃までは晴,それ以降は曇.ただ深夜まで雨が降ることはなさそうである.10分ほどの間,出掛けるか,それとも,もう一寝入りするかで迷い続ける.でも,億劫がってグズグズしていると,たちまちの内に身体が鈍ってしまうのも怖い.そこで,とにかく,起床する.そして,リュックの中身を点検する.リュックを弄っている内に,兎に角,出掛けることにする.
 5時10分に家を出発する.寒い.外はまだ暗いが,西の空に大きな満月が煌々と輝いている.

■大倉を歩き出す
 例によって,藤沢から相模大野経由で渋沢に向かう.途中,電車が2分ほど遅延する.渋沢発大倉行の2番バスに乗り遅れるのではないかとヒヤヒヤするが,発車時間ギリギリにバスに飛び乗る.バスの入口近くに座っていた女性が,私に挨拶する.山旅スクール6期のNさんである.塔ノ岳で良く出会う方である.同じバスに乗り合わせた登山客は,たった4名である.
 バスは7時28分に大倉に到着する.例によって,軽くストレッチを済ませる.そして,ウインドウブレーカーを脱いで薄着になる.Nさんとは別に,7時40分に大倉バス停を歩き出す.空気が乾燥しているためか路面は乾いている.空一面に雲が垂れ込めているが,雲は高いので,近くの大山,二ノ塔など表尾根の山々は,頂上まで良く見えている.

               <枯れ木の間から表尾根が見える>

■自動ロボットのように黙々と登る
 今日のテーマは「なるべく疲れないように歩く」にしようと思う.具体的には,一歩歩いて貯まった疲れは,次の一歩を踏み出す前に,取り去ってしまうということであろう.それには,負荷を常に一定に保ちながら歩く必要がある.
 私は歩きながら,負荷を一定に保つって,どういうことかな・・なんて,考え続ける.するとお題目とは裏腹に,ついつい惰性でダラダラ歩きをしてしまう.
 「・・・つまり,ΔQ/Δt=k ってことか.でもkはどうやって決めるんだ・・・
 kは,天候,気温,道路の状況,体調,等々によって,値が異なってくる筈である.
    k=f(g,g,g,・・・・)
 う~ん・・・これは一筋縄では纏まらないな~ぁ・・・」
そんな下らないことを考えながら,何となく自動運転のロボットになったような気分になって,ユックリと登り続ける.
 8時41分に駒止茶屋を通過する.歩き出して1時間01分経過している.一生懸命に歩いても1時間を切るのはなかなか困難である.ブラブラ歩きの今日,1時間をわずか1分超過しただけで通過できたのは幸いである.やっぱり,最初の歩き出しを超ユックリペースだったので,疲労せずに駒止茶屋手前の坂道が登れた結果であろう.

             <中央に富士山が見えるはずだが今日は雲の中>

■キツツキとご常連のYさん
 堀山の尾根からの眺望は,近場の丹沢の山が見えるだけで,富士山は雲の中である.風はないが,陽ざしもないので,結構寒い.気が付くと,観音茶屋を過ぎた辺りから,全くの一人旅である.同じバスに乗り合わせた方々は,私よりもうずっと後だが,追い越す人も,追い越される人も全く居ない.
 登山道近くの林の中から,キツツキが木の幹を突っつく音が「ドドドド・・・,ドドドド・・・,」と木霊しながら聞こえてくる.
 私は何時もの撮影ポイントで,富士山が全く見えない雲だけの写真を撮る.
 8時57分に堀山ノ家を通過する.小屋の周辺には,全く人気がない.今日は疲れないように歩いているので,疲労感は全くなく,汗も全くかいていない.堀山ノ家からの急坂も,あまり速度を落とさずに,意外と楽に登り続けられる.
 途中で,繁忙期に尊仏山荘へお手伝いに来ている方と,すれ違う.
 9時14分に,堀山ノ家と花立山荘の中間点,萱場平に到着する.何時ものように定点に立って,萱場平の写真を撮る.丁度そのとき,前方からご常連のYさんが駆け下りてくる.
 今日は冷え込みが強いらしくて,萱場平には泥濘に刻み込まれた無数の足跡が,そのままカチカチに凍り付いている.凍り付いた足跡が凸凹していて,とても歩きにくい.

       <凍てついたままの今日の萱場平:たまたまYさんが下山してくる>

■何となく花立山荘を通過
 萱場平を通過して階段道に差し掛かる.ここも案外軽く登れる.そして岩稜地帯に入る.急坂のガレ場を登っている内に,何となく気分が高揚してくる.坂道を登りながら,とても楽しくて,嬉しくなってくる.なぜ嬉しく感じるんだろう.それが自分にも分からない.とにかく,だんだんとルンルン気分になってくる.
 花立山荘手前の階段道も,今日は苦にならない.何時もならば,この階段道を登り切るのに,およそ7分掛かるが,今日は6分足らずで登り切る.そして,9時32分に花立山荘を通過する.今日の堀山ノ家から花立山荘までのラップタイムは35分.標準並みだが,今日は疲労感が少ない.

                <花立山荘から秦野を見下ろす>

■ご常連のTさんとMさん
 そのままの速度で,花立場へ向かう.
 前方から,ご常連のTさんが降りてくる.前回とほぼ同じ所ですれ違う.Tさんが,
 「・・・今日の山頂の気温はマイナス3.0℃でしたよ」
と私に教えてくれる.今度は私がTさんに質問する.
 「相変わらず,毎日登っておられるんですか・・・」
 「先日,法事があって2日間休みましたが,その他の日は毎日登っています・・」
 修行僧にも似たTさんの精進には,全く感服するばかりである.
 金冷シの手前で,今度はご常連のMさんとバッタリ会う.Mさんが,
 「なんだ! 元気にしているの・・・」
と私に話しかける.
 「この所,あまりお会いしませんでしたね.何時ものように登っておられるんですか」
 「今年になって,今日で15回目だよ・・」
 「そうでしたか,私は今日で7回目.まだまだ足許にも及びませんね・・」
 9時46分に金冷シを通過する.気温が一段と下がって,腕まくりしている手の肌が赤くなる.寒いので,少し歩行ピッチを上げる.そして,9時58分に塔ノ岳山頂に到着する.

             <塔ノ岳山頂からの眺望:残念ながら富士山は見えない>

■尊仏山荘
 冷たい風が山頂を吹き抜けている.高曇りのために,富士山や南アルプスは全く見えないが,近場の丹沢の山々は良く見えている.私は大急ぎで辺りの写真を撮そうと思う.ところが,寒いためかデジカメのレンズの蓋がうまく開かない.指でこじ開けるようにして蓋を開いてから,何枚かの写真を撮る.
 そのまま,大急ぎで尊仏山荘に飛び込む.山荘の温度計によると,10時現在の山頂の気温はマイナス3.8℃.先ほどTさんに伺った気温より下がっている.
 今日の小屋番は営業部長の部下,Oさん.ところが営業部長はどこでサボっているのか顔を出さない.
 先客はカメラマン氏と女性.どちらもご常連.Oさんから早速,
 「今日の2番バス.何人乗っていましたか?」
との質問がある.
 お茶を飲みながら,暫くの間,雑談.
 半時ほど経つ.私は,
 「・・そろそろ,帰ろうかな・・・」
と腰を浮かす.
 その途端に,私は自分に,
 「折角登ったのに,もう下山するの?・・・そんなら,一体,何でここまで登ってきたの・・」
と心の中で質問する.答えは自分でも分からない.私は何で塔ノ岳に登っているんだろう?

              <塔ノ岳山頂から海を望む>

■下山途中で呼び止められる
 10時18分に尊仏山荘を出発,下山を開始する.寒いので,下りはヤッケを着込み,手袋をしている.
 山頂と金冷シの間の坂道で,同じバスに乗り合わせた山旅スクールのNさんとすれ違う.
 「お先にユックリ下山しています・・・」
と挨拶する.
 私は,大倉発12時52分のバスに乗るつもりである.時間はタップリある.ユックリと山の雰囲気を楽しみながら下山したいと思っている.
 のそのそと,堀山ノ家付近の急坂を下っていると,下から登ってきた女性に,
 「あら・・・flower-hillさんですか.一度ご一緒に登ってみたいと思っていました・・」
と声をかけられる.私には見覚えのない方である.話を伺うと山旅スクール10期のKさんという方である.物忘れの激しいロートルの私は,お目に掛かった記憶は全くないが,そんなことは毎度のことなので,気にしても仕方がない.
 「尊仏山荘で,ときどきflower-hillさんは来られますかと伺っているんです.山荘の方の話だと,flower-hillさんは,随分と速いんですってね・・・」
 「飛んでもない・・・常連の中では遅い方ですよ・・」
 「いえ,そうではなく・・・勿論,速いでしょうが,とても早い時間に山荘にお見えになるって,伺いました・・」
 私は,心の中で,「なんだ,速いでなくて,早いか・・」と,少しガッカリした気分になって,
 「そうですね,大体,10時前後に尊仏山荘に到着するようにしています・・」
とお答えする.次いで,Kさんが,質問する.
 「・・・5期のIさんと一緒に歩きたいんですが・・・あの方と歩いていると,とても楽しいので.Iさんとはご一緒のことありますか・・・」
 「Iさんですか? 普段,良く一緒にハイキングしていますよ・・」
 「今度,Iさんと何処かへ行かれるときには,是非,私も誘ってください」
 「じゃあ~・・・下山したらIさんと相談してみます」

■何で塔ノ岳なんだろう
 ノンビリ,ユックリと楽しみながら下山し続ける.少し急げば大倉発12時22分のバスに間に合いそうだが,急ぐ気にならない.彼方此方で道草しながら,12時31分に大倉に到着する.水道で靴の泥を洗い流したり,荷物を整理したりで時間を過ごす.
 12時45分頃,往路のバスで一緒だったNさんが大倉に到着する.バスから小田急に乗り継いで相模大野まで,Nさんと雑談しながらご一緒する.
 「・・この頃寒いので,朝,出掛けるのに決心が必要です・・」
と私が言いたいことをNさんが話し出す.全く同感である.家を出てしまえば,どうということはないのだが,寒くて暗い外へ家から一歩踏み出すのに勇気が要る.
 「あれこれ考えているより,塔ノ岳に登る方が,気が楽なので,塔ノ岳ばかり登っています・・」
これもまた同感である.私もついつい塔ノ岳往復を繰り返している.
 それにしても,一体,何でこんなに何回も塔ノ岳に登るんだろう.
 何が楽しみで,私は塔ノ岳に登っているんだろう.
 どうして塔ノ岳に登っていると気分が良くなるんだろう.
 私は塔ノ岳の不思議を考えている内に,乗換駅の藤沢に到着する.登山後の気分はとても爽快である.多分,また,今週中に,塔ノ岳詣でをするんだろうなと思っている.

[ラップタイム]

 7:40  大倉歩き出し
 7:59  観音茶屋
 8:14  見晴茶屋
 8:28  一本松
 8:41  駒止茶屋
 8:57  堀山ノ家
 9:12  戸沢分岐
 9:32  花立山荘
 9:46  金冷シ
 9:58  塔ノ岳山頂着
============================================
10:18  塔ノ岳山頂発(-3.8℃)
10:29  金冷シ
10:41  花立山荘
11:07  戸沢分岐
11:20  堀山ノ家
11:36  駒止茶屋
11:48  一本松
12:00  見晴茶屋
12:13  観音茶菓
12:31  大倉着

[山行記録]

■水平歩行距離 
      7.0km(片道)
■累積登攀下降高度    1201m
■登り所要時間
  大倉発        7:40
  塔ノ岳山頂着     9:58
  (所要時間)  2時間18分(2.30h)
 登攀速度      1201m/2.30h=522.2m/h
 水平歩行速度    7.0km/2.30h=3.04km/h
■下り所要時間
  塔ノ岳山頂発     10:18
  大倉着        12:13
  (所要時間)  2時間13分(2.22h)
 下降速度      1201m/2.22h=541.0m/h
 水平歩行速度    7.0km/2.22h=3.15km/h
                       (おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/fc184991c22dfb2305aa612c68c71d04
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/ebb53f9e90f3136534b8da463168837a


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