<塔ノ岳山頂からの眺望>
久々の富士山・でも随分と寒い丹沢;塔ノ岳(今年54回目)
(単独山行)
2011年12月27日(火) 晴
■何でこんなこと,しているんだろう
今年もいよいよ押し迫った.
前回(12月24日)の塔ノ岳往復が,今年になってから53回目であった.今年の塔ノ岳詣では,60回には遠く及ばないが,年間53回なら分相応だろうとは思う.でも,一方では53回なんて中途半端な数字はどうも気に入らない.そこで,一昨日辺りから,多少予算オーバーしても,年内に後2回塔ノ岳に登って,通算回数を切りの良い55回にしたいなと思うようになった.それに,年間55回ならば,四捨五入して,
「オレの年間塔ノ岳登攀回数は約60回ダド・・」
と胸を張っても,まんざら,嘘とも言えないだろう・・・とは考えないが,とにかく,年内に後2回は登ろうと,一昨日辺りから考えていた.
実は,早速,昨日にも第54回目の塔ノ岳詣でをしようと思い,一昨日,就寝するときに登山の準備をしていた.でも,昨日はとにかく寒くて,寝具から外になかなか出られなかった.その内に,
「ヤ~めた・・っ!」
で,昨日は塔ノ岳行を中止してしまう.
そして,今朝,一応,塔ノ岳に行くつもりで,早朝3時30分頃,意を決して登山用の衣類をサッサと着てしまう.そうなると,気分は落ち着いて,
「よし,塔ノ岳に登るぞ・・・}
気持ちのスイッチが,登山モードに切り替わる.
早々に朝食を済ませて,5時10分,自宅を出発する.外は月もない.駅に向かう住宅地は,まだ真夜中モード.冷え冷えしている.遠くから東海道本線の電車の音がコトコトと聞こえてくる.
「こんな時間に,リュック背負って,トボトボと歩いているのは,どう考えても並の人間がすることじゃないな・・・」
と思いながら駅への道を急ぐ.
■大倉はとにかく寒い
例によって,小田原駅で,東海道本線から小田急線の電車に,3分間の猛ダッシュ駆けっこをする.ヘトヘトに疲れる.今日の体調はダメ.発車ベルやっとに,小田急電車に駆け乗る.真っ暗な中,小田急は走り続ける.そして,渋沢駅に到着する頃,やっと辺りが明るくなり始める.
バス乗り場に向かう.
「おお,寒っ・・・!」
この時期,私が住んでいる鎌倉と秦野では,朝の最低気温が4℃も違うことが多い.とにかく秦野周辺は,体感的にも寒くて堪らない.
さすがに年の瀬も迫ると,塔ノ岳を目指す人も幾分少なくなるようだ.バスの中のご常連は韋駄天のTさん,三角髭のTさん,韋駄天のSさん,掲示板のYさん.
6時59分,バスは大倉に到着する.早速身支度を調えはじめる.
韋駄天のTさんが,この12月30日に,塔ノ岳登頂通算1700回目を迎える.この慶事をねたに,常連が集まってお祝いというか,忘年会というか,とにかく集まるようである.
韋駄天のTさんからも,
「12月30日には,是非,みんなで集まりましょうよ・・・」
と勧誘を受ける.もちろん私は参加するつもりである.雨でなければ・・・
丁度,自分の今年55回目の節目の記録にもなるので・・・
実は,ゲザンシュタインさんから頂戴したメールで,30日の報せを受けていた.その報せを受けたときから,当の私は,もう,参加することをとても楽しみにしている.
ご常連の皆様が歩き出してから,7~10分後,モタモタ出だしの私も,やっと歩き出す.
「どうして,私は段取りがモタモタするんだろう・・・」
と自分にイライラしながら,7時09分に大倉を出発する.
■オ~ィ,オ~ィ・・と人の声
どういう訳か,今日は身体が幾分重い感じがする.こんなとこは無理することないなと自分に言い聞かせながら,ペースを落として歩き続ける.そして,克董窯付近で,私より少し前に歩き出した掲示板のY川さんに追い付く.暫く雑談をしてから,私は先に行かせて貰う.今日のY川さんは,塔ノ岳山頂まで行かずに堀山登山で終わりにすると言っている.残念.
7時31分,観音茶屋を通過して,トラバース道に入る.
今日は実によい天気である.下の方から横殴りに眩しい太陽が射し込んでる.尾根沿いの木々が日光を受けて輝くように見えている.こんな風景を眺めながらの登山は,何とも心地よい.歩きながら,やっぱり家に籠もっていないで山に来て良かったなとつくづく思う.
山麓から,
「オーイ,オーイ,・・・」
と叫ぶ男性の声が,ときどき聞こえてくる.
「何だろう・・?」
良く分からない.ひょっとしたら,鹿狩りでもしているんだろうか? 鹿追の犬に命令しているのかな?・・・と,デタラメな連想をする.
<見晴山荘から相模湾を望む>
■富士山に会えたぞ!
8時17分に駒止茶屋を通過する.歩き出してから1時間08分も経過している.
「ちと,ユックリしすぎたかな・・・まあ,良いさ・・何時もと大差はないよ」
と自分に言い聞かせる.
堀山の尾根は無風.柔らかな冬の日射しを浴びながらのノンビリ歩きには,実に気分が良い.このところ,何度登ってもまともに富士山が見えなかったが,今日は違う.多少,雲が多いものの富士山が良く見えている.
・・・で,恒例の写真タイム.
安物のデジカメを取り出して,焦点距離を色々変えながら数枚の写真を撮る.このとき,ふと,タイムロス15秒/枚という経験則が頭を過(よ)ぎるが,美しい富士山の前にしては,“タイムロスなどクソ食らえ”と大らかな気分になる.
■萱場平のアザミ
8時35分に堀山の家を通過する.そして,8時54分に萱場平を通過する.木道の間で元気だった大きなアザミもすっかり枯れ果てている.
「年が明けて,春になったら,また元気に芽を出せよ・・」
と,アザミにエールを送りながら,この1年,私の眼を楽しませてくれたことに感謝をする.
■超韋駄天のY沢さん
萱場平から階段を登り切る頃,頭上から,「ダダダダッ・・」という遠雷のような音が突然聞こえてくる,超韋駄天のY沢さんである.
「こんにちは・・」
と挨拶が終わった頃には,もう10メートルも先を下っている.
■花立山荘と韋駄天のSさん
やがて,後7分坂にさしかかる.今日はキッチリ7分で登りたいなと思う.つまり,6分でも,8分でもダメ.ジャスト7分を目指す.それには,0.8秒/段あるいは1.2段/秒で,コンスタントに登り続けることが必要である.この感覚を身体で覚えるのも,私は大切なことだと思っている.つまり,10分掛けようと思えば,ちゃんと10分で登れるし,9分と計画したら9分で登れる.これが登山技術というものだ・・・ただ,滅多矢鱈に速く登るだけが能ではないと私は思っている.
秒の単位までは,私の時計では計測できないが,ほぼ7分で階段を登って,9時14分に花立山荘に到着する.
「オヤオヤ,大倉を歩き出してから,2時間05分も経っているぞ・・・!」
途中でちょっとユックリしすぎたかな.図らずも写真1枚15秒の仮説が証明されたような結果である.
花立山荘のベンチで,韋駄天のSさんが水を飲みながら休憩を取っているかと思ったが,韋駄天のSさんの姿がない,おかしいなと思いながら,花立山の方を見ても見当たらない.
「おかしいな・・・どうしたんだろう」
と思いながら,花立山荘を通過する.
花立山を目指して登りはじめる.そして,見通しが開ける場所で,下ってくるSさんとすれ違う.暫く立ち話.
「・・・3時過ぎに,ブログの記事を載せていましたね.そんな時間に起きているんですか・・」
「ええ,まあ,・・・大体,3時半頃起床しています・・」
「山に登らない日にもですか・・・」
「ええ,まあ,・・・・年を取ると目が覚めるのが早くなっちゃうんですよ」
序でに,韋駄天のSさんの写真を撮らせて頂く.
「ブログに載せて良いですか」
私は,ブログを見て頂いているご常連の皆様に,Sさんの元気な姿を紹介したいなと思った.
<韋駄天のSさん>
■韋駄天のTさんとすれ違う
馬の背から見える凛とした冬の鍋割山稜は魅力的である.
私は,ここで何枚かの写真をデジカメに収める.
風は吹いていないが,花立山を過ぎると一段と寒くなる.
9時29分頃,金冷シを通過する.周囲の写真を撮りながら,最初の長い階段を登り切ったときに,下ってくる韋駄天のTさんとすれ違う.
「・・・今日の山頂の気温はマイナス6℃.寒いですね・・・」
と韋駄天のTさんがいう.
「いよいよ,30日は登頂1700回目ですね.お祝いの懇親会.出てきますよ」
「お祝いなんてとんでもない・・・・でも,みんなで集まりましょうよ.女性軍の○○さんも,××さんも出てくるって言っていますよ・・・」
「いよいよ来年は2000回ですね・・・凄いことですね」
「そう来年は2000回になりそうです・・・でも,私,FHさんを目標にしているんですヨ・・」
「ええっ! 私が目標!?」
突然,このようなことを言われて,私はビックリ仰天.軽い目眩さえ感じそうである.
要するに韋駄天のTさんより,二つ三つ私の方が年配というだけである.こういうのを馬齢を重ねるって言うんだな・・・私は馬齢に妙に共感する.
そういえば,この1年,振り返ってみて,私は一体何をしたんだろう・・・
ふと,今日は三角髭のTさんとは,バスの中で会っただけだったなと思い出す.
三角髭のTさんは,どうやら塔ノ岳に来ていないようだ.三ノ塔にでも登ったのだろうか.
<韋駄天のTさんが下る>
■塔ノ岳山頂
9時44分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.気温マイナス4.0℃.
大倉を歩き出してからの所要時間は,何とまあ2時間35分.いくら途中で油を売っていたにしても,2時間30分以内に山頂まで到着したかった.
でも考えようによっては,5分の差なんて大したことないとも言えそうだ.要するに山道で5分歩く距離の差など大した距離ではないとも考えられる.
「ああ・・やめた! そんなこと,どうでもいいじゃないかッ」
もう一人の私が,イライラしながら私を諭す.
今日の山頂は無風だが,立ち止まると結構寒い.
富士山の回りには多少雲が立ちこめているが,冷涼な空気は見通しが利く.遙か遠くの南アルプスもクッキリと良く見ている.
振り返ると,相模湾の海面が日の光を反射して眩しく光っている.東に目を転じると,霊峰大山が聳えている.素晴らしい展望である.
この素晴らしいパノラマは,苦労してここまで登ってきた人にしか味わうことができな貴重なものである.
ただ,空気が乾燥しているためか,今日は霧氷が全くないのが残念である.
■尊仏山荘
尊仏山荘に入る.今日の小屋番はW田さん.先客は誰も居ない.
私は例によって,300円也のお茶を所望する.
W田さんは,私が席に着くとすぐに,2階にいるネコのミー君を呼ぶ.
「お~い・・・ミャ~や.降りてお出で・・」
ミー君の反応がない.
「どうしたのかな・・」
と言いながら,W田さんは,階段を半分登って,もう一度ミー君を呼ぶ.
すると,
「ニャ~・・」
と澄んだ声でミー君が返事をしながら,コトコトと階段を下りてくる.この素直さがこのネコの実に良いところだ.
ミー君は,暫くの間,ストーブの前や客席をウロウロしてから,バケツに首を突っ込んで水をピシャピシャと飲む.そして,また,ギャロップで2階に駆け上がっていく.
「齢(よわい)11歳にしては,随分と足腰が良いですね・・」
「そうですね・・・でも,あの程度が限度のようですよ」
今日は登山者が少ないせいか,暫くの間,尊仏山荘には誰も入ってこない.
■無事下山
10時を過ぎたので,そろそろ下山しようかと思う.丁度そのとき,常連らしい方がお一人尊仏山荘に入ってくる.
私は,大倉発12時52分のバスに乗る積もりである.
今から急いで下れば,その前の12時22分発のバスにも十分間に合うが,折角登ったんだから,むやみには急ぎたくない.
・・ま,どっちのバスに乗るかは,途中の成り行きとして,10時08分に下山を開始する.
山荘の外に出た途端,刺すような寒さを感じる.
途中,結構沢山の登山客とすれ違う.若いカップルと,かなり年配の男性登山者が多い.
写真を撮りながら,バスの時間に合わせて,ごくユックリ下山し続ける.そして,12時36分に大倉に到着する.
バス停脇の広場では,平日にもかかわらず,野菜市場が開かれている.
予定通り,大倉発12時52分渋沢行のバスに乗車する.小田原で東海道本線の電車に乗り継ぐ.暖かい車内で居眠りをしながら,15時頃,無事帰宅する.
すぐに風呂を沸かして,ユックリと湯船に浸かる.極楽,極楽.
“今日もまた かくてありけり”
って所だろう.
<山麓の紅葉>
<ラップタイム>
7:09 歩き出し
7:31 観音茶屋
7:48 見晴茶屋
8:17 駒止茶屋
8:35 堀山の家
9:14 花立山荘
9:29 金冷シ
9:44 塔ノ岳山頂着(-4.0℃)
10:08 〃 発
10:23 金冷シ
11:18 堀山の家
11:39 駒止茶屋
12:05 見晴茶屋
12:18 観音茶屋
12:36 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:09
塔ノ岳 着 9:44
(所要時間) 2時間35分(2.58h)
水平歩行速度 7.0km/2.58h=2.71km/h
登攀速度 1269m/2.58h=491.9m/h
■下降所要時間(雑談時間を含む)
塔ノ岳 発 10:08
大倉 着 12:36
(所要時間) 2時間28分(2.47h)
水平歩行速度 7.0km/2.47h=2.83km/h
下降速度 1269m/2.47h=513.8m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/3a19c2f5b5db6cede61419bf9f427df6
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9d1829cc7960b97ebc8887ffa4d7a9da
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