中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
最初に左下の“カテゴリー”を選んで,クリックして下さい.

雪の丹沢塔ノ岳

2008年01月26日 20時00分53秒 | 丹沢の山旅


                 <堀山付近の稜線からの富士山>

          雪の丹沢塔ノ岳(第4回)
       (山旅スクール5・6・8期有志)
         2008年1月25日(金)

■寒いなぁ~
 何時もの通り,4時に起床する。天気予報では,今日はまだ北風が強く寒い筈。家の窓を開けて,外の様子を眺める。
 「おや~・・・案外暖かいな・・・」
山へ行くには十分な天候のようである。
 私は,パソコンの電源を入れて,そそくさとメールをチェックしたり,明後日の発表に使うパワーポイントの資料を見直したりして,5時10分に,リュックを背負って自宅を飛びだす。
 家を出ると,外は冷たい風。
 「ありゃ~・・・やっぱり寒いな~」
私は家に戻ろうか,それともこのまま山へ行こうかと迷う。
 何時もの事ながら,まあとにかく大船まで行こうと決める。大船駅前のマクドナルドに入って,取りあえずは熱いコーヒーを飲む。店には,徹夜明けなのか,それとも朝早く来たのか分からない若者が数組屯している。そんな中にリュックを背負ったへんてこりんな年寄りが入り込むのは,何となく不釣り合いな感じがする。
 コーヒーを飲みながら,心の中で「行く,行かない」を繰り返す。
 「まあ・・・いいか。取りあえずは小田原まで行くか・・」
 大船6時04分発静岡行の電車に乗り込む。座席でウトウトしている内に小田原に到着する。惰性で小田急の改札口を通過する。何も考えずに真っ直ぐ進んで階段を降りる。階段近くの扉から電車に乗る。そして,目の前の空いている席にドスンと座り込む。

■バッタリ出会う
 私が電車の座席に座り込んだら,1人置いて隣の座っていた男性が,いきなり,
 「やあ今日は,flower-hillさん・・」
と声をかけてくる。電車の中で知人に会うことなど全く予想していなかった私は,突然,声をかけられてビックリする。彼は山旅スクール第8期生,ゲートさんである。
 「いつもflower-hillさんのブログを見ていますよ。ブログを見ていると間違いなく今日flower-hillさんは塔ノ岳に登ると思いましたよ・・・」
と図星なことを言われる。これで,私の「登る,登らない」の繰り返しは踏ん切りがついて,「断固登るんだ」に心変わりする。

■またまたバッタリ仲間に
 2人で連れたって,渋沢7時16分発大倉行のバスに乗車する。今日は寒いので,それ程登山客は居ないのではないかと思っていたが,7~8割方の座席が埋まるほどの登山客が乗車している。私達も入口近くの席に座る。
 ふと前の席を見ると,山旅スクール6期生の3人が座っている。
 「あれ・・まあ。これは偶然・・・」
とお互いにビックリ。3人の内,2人の方とは,昨年,南アルプスの塩見岳・蝙蝠岳縦走に,残りの1人の方とは,塔ノ岳,ストーンマジックなどでご一緒したことがある。

■観音茶屋
 偶然顔を合わせた山旅スクールの5人は,一緒に塔ノ岳を目指すことになる。事前に確認書も交わさずに行動を共にすることに一抹の不安もあるが,いずれも同じ登山学校の生徒なので,まあ大丈夫だろうと思う。
 大倉バス停前で,型通りのストレッチをしている内に,同じバスに乗り合わせた登山客は,殆ど全員,出発してしまう。私達も少し出発時間が遅れたが,7時48分に大倉から歩き出す。幸いなことに路面は乾いているので随分と歩きやすい。
 7時53分に登山口に到着する。いよいよ山道である。丹沢ベースを通過して,8時18分に観音茶屋に到着する。既に歩き出してから30分経過している。私一人で登る場合は,ここまで大体20分程度で登っている。このままのペースで登ると山頂までの所要時間は3時間台後半になるなと,胸の内で予想する。
 「今日は,16時から始まるテレビ「水戸黄門」には間に合わないな・・」と諦める。

                   <光る海:見晴茶屋から>

■駒止茶屋
 観音茶屋を少しすぎた頃から,登山道の路肩に霜柱が目立つようになる。こんな低いところから霜柱が見えるのは,この冬初めてのことである。
 8時43分に見晴茶屋に到着する。ここで数分休憩を取る。見晴茶屋の前に立つと,枯れススキの向こうに,日光を反射して光り輝く駿河湾が良く見える。私は,
 「見晴茶屋を出発すると,このコースの第一関門の急坂になりますよ・・・」
と皆さんの注意を呼びかける。
 見晴茶屋を出ると,直ぐに急な階段道になる。辺りには残雪が見え出す。急坂の足元は完全に凍結していて,かなり滑りやすい。今から帰りの下りが気になり始める。
 9時02分,一本松を通過する。その後も,踏み跡が凍結していて歩きにくい道が続く。やがて平坦な尾根道に出るが,やっぱり路面が凍結している。やがて,平坦な道が終わり,杉林の中の急な登り坂になる。同行している仲間の女性1人が斜面で滑って上手く上れなくなり往生するが,兎に角,9時25分に駒止茶屋に到着する。ここで7分ほど休憩を取る。その間に,後から登ってきた女性の登山客に追い越される。

■富士山が良く見える
 9時32分に駒止茶屋を出発する。この辺りから登山道両側の残雪が次第に多くなる。雪は沢山の登山客によって踏み固められたまま凍結しているので,とても滑りやすく,危険である。絶えず「アイゼンを装着した方が良いかな」と思いながら,先へ進む。
 やがて,堀山の尾根道に出る。尾根道に出た途端に左右の視界が開ける。今日は雲一つない青空が広がっている。進行方向左手には真っ白な雪をかぶった富士山が見えている。手前の山の斜面も雪で真っ白である。富士山の左手には越前岳,さらにその手前に箱根の山々が連なっているのが見える。
 私達が富士山の写真を撮っていると,1人の男性が下山してくる。挨拶を交わした後,
 「山頂付近の雪はどんな状態でしょうか?」
と伺ってみる。
 「山頂付近は,残雪が深いので意外に歩きやすいですよ・・・でも,下りはアイゼンを付けないと歩きにくいですよ・・」
と教えてくれる。
 9時47分に堀山を通過する。ここから緩やかな下り坂になるが,凍結した路面がとても滑りやすい。4本爪のアイゼンを履いていれば,極めて歩きやすいと思うが,堀山の家を通過すれば,比較的日当たりの良い斜面になるので,道が凍結していないかもしれない。そうなると,積極的にアイゼンを履こうという気にもなれない。とにかく,転倒しないように注意をしながら先へ進む。

■戸沢分岐
 9時58分,小草平の小屋「堀山の家」に到着する。ここで小休止。小屋の前のベンチから,富士山が良く見えている。小屋の屋根には雪が分厚く降り積もっている。
 10時04分,堀山の家を出発する。ここから暫くの間,急傾斜の露岩帯が続く。南斜面にもかかわらず,予想以上に残雪がある。また,踏み固められた雪が硬く凍結しているので,とても歩きにくい。苦労して露岩帯を抜けると,階段道になる。階段の両側には雪が盛り上るように残っている。階段の踏み面も凍結した雪である。私はリーダではないが,注意して歩くように,皆に注意する。
 「前方右側に鹿除けの柵が見え始めたら,戸沢分岐ですよ・・・そのちょっと上に萱場平があります。そこのベンチまで頑張りましょう・・」
と,いつの間にか,リーダ気分で一同を鼓舞する。
                    
                     <雪の萱場平>

■花立山荘
 10時32分に萱場平に到着する。当初,足跡が凍結してガタガタになっているだろうと思っていたが,今日の萱場平は,予想外に分厚い雪で覆われている。ここで,また10分弱,休憩を取る。その間に,中年男女2人組に追い抜かれる。
 10時41分,萱場平を出発する。雪に覆われた長い登り階段が続く。標高が高くなるにつれて,だんだんと残雪が深くなる。同行の女性2人に疲労感が漂い始める。お一人は,自分は雪山が初めてなので,皆に迷惑をかけるといけないから,途中で下山すると独り言を言う。他のお一人は,足が攣りそうだという。
 足が攣りそうな女性に,私がリュックに常備している「塩」を提供する。だが,塩をなめたぐらいで,そう簡単に症状が改善されないようである。結局は,自分で持参している薬を飲むが,それでも完全に立ち直ることはできないようである。私は気の毒になり,この方のリュックを背負ってやることにした。
 雪混じりの長い階段を,漸くの思いで,登階段を登り切って,11時12分に花立山荘に到着する。山荘前の広場からは富士山が,とても良く見える。反対側を見ると,威風堂々の大山が聳えている。眼下には冬の日光に光る駿河湾が望める。

                 <花立山荘手前の雪の階段>

■南アルプスが良く見える
 5分ほどの休憩の後,11時17分に花立山荘を出発する。雪に覆われたやや急な階段をのろのろと登って,露岩帯にでる。辺りの雪はますます深くなる。ただ,降雪量が多くなっているために,ただ踏み固められた雪道になっているので,凍った道よりは,随分と歩きやすくなる。歩く度に,雪がキュッ,キュッと鳴る。
 露岩帯の一番高いところに達する。ここから木道が続くが,雪に覆われていて,木道の所在が良く分からない。ただ踏み跡辿るようにして先へ進む。途中から,富士山や,南アルプスの山々がとても良く見えている。
 稜線を進むと,短いけれども,ちょっと急な下り坂が2回ある。ここが凍結していないかと気になっていたが,踏み固められてはいるが,普通の雪道なので,容易に通過することが出来た。

                  <富士山と南アルプス>

■塔ノ岳山頂
 11時47分に金冷しを通過する。残雪がますます深くなる。雪に隠れた木道や階段はほとんど分からなくなっている。私は,
 「ここから2回,坂がありますよ・・それを過ぎると山頂です」
と言って,特に女性群を励ます。
 12時12分,漸くの思いで,塔ノ岳山頂に到着する。山頂は雪で真っ白になっている。結局,私は山頂まで足が攣りそうになった方のリュックを背負ったままであった。
 山頂からの眺望は,格別である。残雪で白い丹沢の山並みが良く見えている。富士山や南アルプスも,とても良く見えている。
 残雪の悪条件とはいえ,随分と時間が掛かった。登頂に要した時間は4時間24分。
 とにかく,山頂で記念写真を撮る。
       
                     <尊仏山荘も雪の中>

■尊仏山荘
 外は寒いので,尊仏山荘に入る。先客が数人居る。今日の小屋番はHさん。私の顔を見ると,ちょっと意外,というような顔つきで,
 「やあ・・・いらっしゃい」
と挨拶する。
 「今日はサンダーウエストさんの教え子の皆さんと登ってきました」
と返事をする。
 早速,山荘の温度計を見る。12時15分現在の外気はマイナス4.5℃。今朝は冷え込んで,マイナス18℃まで下がったという。
 私は例によって,お茶を所望する。
 Hさんが,ニヤニヤしながら,
 「今日は2番バスですか?」
と私に聞く。Hさんの顔には言外に「随分遅いですね」と書いてある。
 「そうですよ。今日は雪道だし・・・ユックリと来ましたよ。そういえば,何時もなら,私は,今頃,大倉に降りていますけど。でも,私単独で登っても,今日のような雪道ですと,大分時間が掛かりますよ・・・」
 私達は食事をしながら,とりとめのない雑談を続ける。暫くしてから,Hさんに伺う。
 「所で,今日は営業部長,居ませんか?」
 「多分,2階にいると思いますよ・・・今,Oさんは丹沢山の方へ写真を撮りに行ってますよ・・・」
 Oさんは,尊仏山荘の小屋番のお一人である。実は営業部長のミー君は,Oさんにとても良く懐いている。Oさんが小屋番をしているときには,ミー君は,何時もOさんの近くにいるのだが・・・今日は残念。
 そうこうしている内に,男女6~7名のグループがドタドタと小屋に入ってくる。
 「Sさんのグループですよ・・・Sさん,知りませんか」
とHさんに聞く。
 「さあ~・・・分かりません」
とHさんが答える。私は内心で,時々来るぐらいで,Hさんに名前を覚えて貰える訳などないよ。私だって年間40~50回,通ってきて,やっと名前を覚えてもらったんだからと悪態をつく。
 このグループに,何となく幅寄せをされてしまい,私の座るところがだんだんとなくなってしまう。この辺りが下山する潮時だなと悟る。
 丁度その時,2階からミー君がヒョッコリと顔を出す。慌ててカメラを構えてミー君を追うが,スタスタと2階へ戻ってしまう。本当に愛想のない営業部長である。

    <山頂でパチリ:flower-hillは居ない>

■下山開始
 12時54分に塔ノ岳から下山を開始する。今度は4本爪の軽アイゼンを装着している。 往路に比較すると,雪は大分溶け始めている。
 堀山の家手前で一旦アイゼンを外すが,堀山付近の稜線は,まだまだ凍った根雪が残っている。1人の方が,何回も尻餅をつく。私は内心で,
 「折角,山旅スクールで歩き方を習ったんだから,教わった通りに歩けばよいのに」
と思い続ける。
 途中で長靴を履いて登ってくる尊仏山荘の小屋番,X氏とすれ違う。
 「やあ,今日は,今日は山荘,随分人が入っていましたよ」
 「そうでしたか・・・じゃあ,今日は忙しいかな・・・」
とX氏はニッコリとする。

■無事下山
 駒止茶屋の手前で,もう一度アイゼンを装着する。駒止茶屋から先の急な下り坂が気になったからである。ここを通り過ぎると,残雪は殆どなくなる。霜も完全に溶けていて,歩きやすくなる。
 15時15分に見晴茶屋を通過する。後は平凡。
 15時50分に大倉へ下山する。私とゲートさんは,他の方とお別れして,大倉15時52分発渋沢行のバスに乗車する。渋沢から小田原を経由して東海道本線で大船へ。17時45分に帰宅。
 残念ながら,「水戸黄門」を見ることは出来なかったが,10日ぶりに塔ノ岳に登ることが出来た。

[ラップタイム]

 7:48  大倉(290m)歩き出し
 7:53  登山口(325m)
 7:58  克童窯(350m)
 8:05  丹沢ベース(390m)(8:08まで休憩)
 8:18  観音茶屋(465m)
 8:23  高原の家分岐(500m)
 8:36  雑事場ノ平(595m)
 8:43  見晴茶屋(605m)(8:47まで休憩)
 9:02  一本松(745m)
 9:25  駒止茶屋(855m)(9:32まで休憩)
 9:47  堀山(910m)
 9:58  堀山の家(925m)(10:04まで休憩)
10:29  戸沢分岐(1075m)
10:32  萱場平(1090m)(10:41まで休憩)
11:12  花立山荘(1260m)(11:17まで休憩)
11:47  金冷し(1330m)
12:12  塔ノ岳山頂 着(1465m)
=========================================
12:54  塔ノ岳山頂発(-4.5℃)
13:12  金冷し(1350m)
13:27  花立山荘(1285m)(13:31まで休憩)
13:52  萱場平(1115m)
13:53  戸沢分岐(1090m)
14:12  堀山の家(950m)
14:43  堀山(920m)
14:42  駒止茶屋(880m)
14:55  一本松(780m)
15:15  見晴茶屋(625m)
15:17  雑事場ノ平(610m)
15:24  高原の家分岐(535m)
15:28  観音茶屋(500m)
15:37  丹沢ベース(440m)
15:42  克董窯(395m)
15:44  登山口(360m)
15:50  大倉 着(310m)

[山行記録]

■登攀・下降高度
 塔ノ岳山頂    1491(m)
 大倉        290
  (高度差    1201m)
■登攀所要時間(休憩時間を含む)
 大倉発      7:48
 塔ノ岳山頂着  12:12
   (所要時間4時間24分(4.40h)
■登攀速度
  1201(m)/4.40(h)=273.0(m/h)
■下降所要時間(休憩時間を含む)
 塔ノ岳山頂発  12:54
 大倉着     15:50
   (所要時間 2時間56分(2.93h))
■下降速度
  1201(m)/2.93(h)=409.9(m/h)
                        (おわり)



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。