英語学習は続く・・

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怪人二十面相 63

2022-12-25 01:46:26 | 怪人二十面相

不安の一夜

Uneasy night

 日下部左門老人が、修善寺でやとった自動車をとばして、谷口村の「お城」へ帰ってから、三十分ほどして、明智小五郎の一行が到着しました。

About thirty minutes after old Samon Kusakabe went the castle in Taniguchi villege by hired car, Akechi and other fellow arrived.

 一行は、ピッタリと身にあう黒の洋服に着かえた明智探偵のほかに、背広服のくっきょうな紳士が三人、みな警察分署づめの刑事で、それぞれ肩書きつきの名刺を出して、左門老人とあいさつをかわしました。

Other than Akechi detective in black fit suits, there were three stout police detectives who gave old Samon greetings and their business cards.

 老人はすぐさま、四人を奥まった名画の部屋へ案内して、壁にかけならべた掛け軸や、箱におさめてたなにつみかさねてある、おびただしい国宝的傑作をしめし、いちいちその由緒ゆいしょを説明するのでした。

Old person showed the four of them the numerous number of paintings in the art room explaining every fabulous art work on the wall or in the boxes in the shelf.

「こりゃあどうも、じつにおどろくべきご収集ですねえ。ぼくも古画は大すきで、ひまがあると、博物館や寺院の宝物などを見てまわるのですが、歴史的な傑作が、こんなに一室に集まっているのを、見たことがありませんよ。

"Well, well. This is marvelous collection. I love the antique paintings so sometimes I visit to see those tresures in the musiums or the temples. Still I've never seen such a collection.

  美術ずきの二十面相が目をつけたのは、むりもありませんね。ぼくでもよだれがたれるようですよ。」

It's no surpriseing that Twenty Faces sets his eye on them. Even my mouth starts watering.

 明智探偵は、感嘆にたえぬもののように、一つ一つの名画について、賛辞さんじをならべるのでしたが、その批評のことばが、その道の専門家もおよばぬほどくわしいのには、さすがの左門老人もびっくりしてしまいました。そして、名探偵への尊敬の念が、ひとしお深くなるのでした。

The detective Akechi's admiration and praise for each one of them could tell that he was expart of art and surprised old Samon. His respect for Akechi grew even more.

 さて、少し早めに、一同夕食をすませると、いよいよ名画守護の部署につくことになりました。

Now, they finished a little early supper, they set themselves to guard the paintings.

  明智は、テキパキした口調で、三人の刑事にさしずをして、ひとりは名画室の中へ、ひとりは表門、ひとりは裏口に、それぞれ徹夜をして、見はり番をつとめ、あやしいものの姿をみとめたら、ただちに呼び子を吹きならすというあいずまできめたのです。

Akechi ordered to three detectives efficiently, one to in the art room, one to the front gate and last one to the back gate. He decided if someone saw something suspicious they would whistle.

 刑事たちが、めいめいの部署につくと、明智探偵は名画室のがんじょうな板戸を、外からピッシャリしめて、老人にかぎをかけさせてしまいました。

Each detective went to their own posiiton Akechi close the stout door of the art room and made the old man lock it.

「ぼくは、この戸の前に、一晩中がんばっていることにしましょう。」
 名探偵はそういって、板戸の前の畳廊下に、ドッカリすわりました。

"I will be hanging on here all night."
He said, sat down on the corridor in front of the art room door.

「先生、大じょうぶでしょうな。先生にこんなことを申しては、失礼かもしれませんが、相手はなにしろ、魔法使まほうつかいみたいなやつだそうですからね。わしは、なんだかまだ、不安心なような気がするのですが。」

"Master, is it all right? I don't want be rude but the opponent is like a magician, I hear. I'm not sure it's all right."

 老人は明智の顔色を見ながら、いいにくそうにたずねるのです。

The old man asked uneasily wathing Akechi's countenance.

「ハハハ……、ご心配なさることはありません。ぼくはさっき、じゅうぶんしらべたのですが、部屋の窓には厳重な鉄ごうしがはめてあるし、壁は厚さが三十センチもあって、ちっとやそっとでやぶれるものではないし、部屋のまんなかには刑事君が、目を見はっているんだし、そのうえ、たった一つの出入り口には、ぼく自身ががんばっているんですからね。これ以上、用心のしようはないくらいですよ。

"Ha, ha, ha. You don't need to worry. I checked thoroughly. All windows have stern iron bars, the room is unbreakable with 30 centimeter thick walls. In the middle of the art room the detective is watching and I'm here at only door into the room. It's precautious enough.

 あなたは安心して、おやすみなすったほうがいいでしょう。ここにおいでになっても、同じことですからね。」
 明智がすすめても、老人はなかなか承知しません。

You'd better to go to sleep at ease. It's the same if you are here or not."
Akechi's offer didn't change old man's mind.

「いや、わしもここで徹夜することにしましょう。寝床へはいったって、ねむられるものではありませんからね。」
 そういって、探偵のかたわらへすわりこんでしまいました。

"No, I'll be up all night here. I would never be able to sleep if I went to bed."
Saying so he sat down beside the detective.

「なるほど、では、そうなさるほうがいいでしょう。ぼくも話し相手ができて好都合こうつごうです。絵画論でもたたかわしましょうかね。」

"I see. Then it's your choice. It's better for me I can have a company. Let's discuss about art."