2022年2月に アトラスチェンバロを手に入れて からわたしの音楽生活が変わった。
自宅のリビングに置いてあって、蓋を開ければすぐ弾けるというのはいいよ。
それから松本に行って、色々教わった。
そうなると、うーん、アトラスチェンバロだと不満があるんだよなあ。
と思っていたところ、春山チェンバロの出物があったので、手に入れた。アトラスのよりずいぶん大きい。
バーズアイメープルの突板(つきいた)がきれいな楽器だ。色が明るくなったせいか、大きくなったわりに圧迫感は増えなかった。
ローズも飾りが全然なくて、素っ気ない。でも、べったり塗ってあって木目の見えない外側より、こういう方がわたしは好きだ。
ところで写真右下、チェンバロ下にある小さい鍵盤楽器は、かつて作った ポルタティーフオルガン。
2段鍵盤、8ft ×2、4ft、F1~G6 👍 このスペックが嬉しい。
ナチュラルキーはローズウッドです。
ローズのアップ。HARUYAMA ロゴがこちらにも入っている。
👇️バーズアイメープルの突板、きれいでしょ。
輪郭に平行なラインはチーク。見る角度で濃く見えたり薄く見えたりするリボン杢がデザインを締めている。
夫に軽く磨いて塗り直してもらいました。木工家、ありがたし。
しかし経年で突板の弱点が表れた。突板は丸太を桂剥きして薄い板にするのだが、細かい割れが出来てしまう。
チョコレートのかたまりをスプーンでこそいで クルクルと丸まったコポーを作ると、ヒビがいっぱい入っている。あんな感じ。え、分かりにくい?
まあそんな感じのヒビが見える。新しい頃は目立たなかったんだろうなあ。ヒビも味、ということにしよう。
ジャックレールと譜面台を外したところ。
👇️アップ。
上から 下鍵盤の8ft、4ft、上鍵盤の8ft、4ftの弦のチューニングピン。
ジャックのささっているレジスターはアルミ製。ジャックの頭がストローみたいなのが変わっている。
なんかメカメカしくってカッコいい。
まあね、この見た目でも分かるが、ヒストリカルなチェンバロではない。アルミや合成樹脂は昔はなかったよねえ。
ジャックを取り出したところ。
右から 下鍵盤の8ft、4ft、上鍵盤の8ft のジャック。華奢で軽い。
下のフォーク状のパーツは木製だが、なんの木なのか夫に聞いても分からない。すごく目の詰んだ木だそうで、スネークウッド?とか言っている。
ジャックの頭部のアップ。
弦を撥くプレクトラムとダンパーの距離が近くて、プレクトラムを削るときに下に入れるヴォイシングブロックが入らない。代わりに薄い板状のものを挟みこむが、保持しにくい。これはちょっと困る。
こういうジャックについて『チェンバロ クラヴィコード 関係用語集』に記述があった。
134p. 「1950年代、Neupert(ノイペルト)製にはのOKジャックという名称の「本体が円筒」のジャックが使われていた。」
OKジャックなんですって。
『チェンバロ クラヴィコード 関係用語集』
図版が多い。
キーを押したときに戻ろうとする力が弱い、という点は、アトラスチェンバロに比べるとヒストリカル寄りな弾き具合だと思う。
このチェンバロでフィッツウィリアム・バージナル・ブックの曲など弾いている。
でもフィッツウィリアム・バージナル・ブックからではなくて、有名なメヌエットを わたしがこのチェンバロで弾いた動画のリンクを貼る。 ★
かつてはJ.S.バッハ作といわれたけれど、現在はChristian Petzold作だと判明した、Suite de Clavecinという組曲に含まれているメヌエットです。
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