★ 👈 シオ・クローカー ライブ ブルーノート東京HP
今回はうっかりカメラを忘れスマホで写真を撮ったのだが、実はわたしのスマホのカメラのズームの方のレンズには傷がついている。広角で撮ってこんな風に歪んでしまった。すみません。
シオ・クローカーは Spotify でオススメされて知ったトランぺッターで、とても気になっていた。
彼はトランペットだけでなくラップもまじえて言葉でも表現するし、シンセサイザーや PC を駆使して音を加えたり自身の音を加工したりもする、コンテンポラリーなミュージシャンなのだ。
YouTube などで配信される Tiny Desk Concert というのがあって、ちょっと雑多だけど楽しそうな本棚や机のある部屋に 色々なミュージシャンをよんで 15~20分程度の短い演奏をしてもらう。その沢山ある Tiny Desk Concert の中でもシオ・クローカーのライブはひときわ輝いている。
★ 👈 Theo Croker: Tiny Desk Concert
この動画の冒頭は Jazz Is Dead という曲なのだが、ジャズの土台に立っている現在の音で、歴史と世界を睥睨している曲だ。ラップの歌詞も Jazz Is Dead から始まっている。聞き取りにくいので、歌詞を探した。
★ 👈 歌詞 Theo Croker-JAZZ IS DEAD
ジャズが専門の音楽評論家の柳樂光隆氏によるシオ・クローカーの優れたインタビュー記事がいくつかある。
特に Jazz Is Dead という曲に重点を置きつつシオ・クローカーの大きなバックグラウンドを知ることのできる記事:
★ 👈 「ジャズ」という言葉を葬ろう シオ・クローカーが語るレッテルと黒人差別の歴史 Mitsutaka Nagira |2022/07/20 18:20
Jazz という言葉には卑猥な意味が含まれているらしい。音楽ジャンルとしてのジャズではなくて、アメリカにおける黒人差別の歴史がどっぷり含まれる Jazz という言葉を葬りたいのだ、とわたしは解釈した。
彼の主張には得心したが、では、「Jazz」と言われる音楽は代わりになんと呼称すればよいのだ !?
柳楽氏のこちらのインタビュー記事の方が包括的かも。
★ 👈 interview THEO CROKER『BLK2LIFE || A FUTURE PAST』:過去と現在が繋がるブラックネスの円環
シオはトランぺッター ドク・チータムの孫だそうだが、ドクの出自を知ると、シオのブラックミュージックと歴史の関わりに対する強いこだわりになるほどなあと思う。そこだけに収束させるのは稚拙だと思うけれども。
シオはかつて上海に7年もいたという経歴が目を惹く。そうしたら何をしていたか分かるインタビューがあった。
★ 👈 JAZZ TOKYO Interview #195 Theo Croker シオ・クローカー ヒロ・ホンシュク
ヒロ・ホンシュクはジャズフルートのプレイヤーで教育活動も精力的な方だ。プレイヤーならではのインタビューだ。
今回は日帰りなので、夫はオリジナルブレンドコーヒー、わたしはジンジャービア。
ジンジャービアに浮いているのはライムで、生姜のほかに仁丹のような香りがした。自然発酵、とメニューにあるから発酵による香り? ああ気になるう
さて、ライブについてだ。
メンバーはシオ・クローカーに、マイケル・シェクウォァガ・オデ(ドラムス)、マイケル・キング(キーボード)、ジャーメイン・ポール(ベース)。ドラムスとキーボードが上記のタイニーデスク動画と同じメンバーだ。ベーシストは今回が初めてだと言っていた。ダブルベースと5弦のエレベを持ちかえていた。
パーカッションとか他のホーン楽器とかが入らなくても、シオがステージに持ち込んだ機器で色々な音をだすので広がりが大きい。
エフェクトのかけ方を変えたマイクを2本立てて使い分け、吹きながら片手で機器を操作する。トランペットをマイクに近づけたり遠ざけたりもする。雑踏のざわめきを録音したものを演奏と一緒に流したりした。コンテンポラリーな音楽は機器の扱いに長けていないと表現出来ないんだなあ、としみじみ思った。
ステージの背景にPCの壁紙のような動画を映していた。そういうところもコンテンポラリーか。
シオがトランペットを構えるとピタリと止まる。姿が決まっている。吹くまえから只者ではない感がビシバシする。トランペットの演奏はとてもレベルが高い。
トランペット以外をあれこれやっても、やっぱりトランペットが上手いのがベースにあるんだよなあ。
トランペットを演奏するときはピタリとしているのに、ラップするときは体が先に動く。まるで二人の人格が入れ替わるかのように見えた。
ラップも合間のトーキングもアメリカ人のシオは英語なのだけれど、聞き取りにくかった。ネイティブスピーカーじゃない人の英語の方が聞き取り易いことが多いのよねえ。ボナは聞き取り易い。
シオ と呼ばれるけれど、th 、発音記号で θ なんだよ、と言っていた。うーん、日本語にないのよね . ... 。
ピアノを使う曲はエレベ、ローズを使う曲はダブルベース、という生楽器と電気楽器の一見ちぐはぐな組み合わせがいくつかあった。もちろん演奏がちぐはぐということはなかったよ。ピアノにダブルベースというトラディショナルなのは1曲だけだった。
ピアノのソロもすごかった。縦横無尽に動き回って盛り上げた。
シオはトランペットを吹かないときにはピアノの手前に置いてあるケースの上に置いていた。ベルに差し込むタイプのスタンドを使わないんだなあ。
もしかしたら形が少し変わっているトランペットを使っているからなのかもしれない。ココ に使われている写真と同じトランペットだったと思う。
彼が操作するPCやキーボードはピアノの手前の小さな机に載せてある。
セットリストの紙がステージ手前に置いてあったが、シオは奥へ移動させてしまった。終わったら写真を撮ろうと思っていたのにな(ブルーノート東京のライブリポートにセットリストがアップされてます)。
ドラムスのセットが派手で目を惹く。ブルーノート東京定番おつまみのスウィンギンポテト みたいなシンバルが4つもぶら下がっている。スパイラルトラッシュ というらしい。長く残響の残る音がした。4つで音程の高低が違った。
左側のスネアとハイハットがなぜか2個ずつあった。どうするのかと思ったら、左足のつま先と踵の両方でそれぞれのハイハットを踏んでいた。そんなことが出来るのか!左の方のスネアは使っていなかったように見えた。
歪んだ形のスプラッシュシンバルが面白い音で効果的だった。色々なシンバルはそれぞれ おやっ?と思わせるような個性的な音色をしていて 聞き流すことを許さない。
4ビートのときは左手のスティックを下から持つレギュラーグリップで叩いたり、あっという間にマッチドグリップに持ち替えたりしていた。
音かずが多くて、もしかしてメンバーの中で一番たくさん音をだしていたんじゃないか !?
マイケル・シェクウォァガ・オデは靴を履き替えて演奏した。彼のドラムスの演奏はすごかった。シオのオデに対する信頼がとても厚いように見えた。
もちろん、Jazz Is Dead も演奏した。演目の中で一番ジャズっぽかった。Dead といいつつ一番ジャズらしいそれは メッセージなんだな。ああ、ジャズってカッコイイな。
ジャズってこういうもの、っていうとき4ビートを思い浮かべると思うのだが、シオはそれを当然カッコよく演奏できるんだけれど、そこからどんどん広げて、現在の技術を駆使しつつライブな音楽を 魔法のように目の前で作り上げてくれた。
よろしくない意味を含んだ Jazz という言葉を捨てた先を目指すシオの野望を、バンバン受け取った。
ライブの最後の曲は、演奏の途中でまずシオが去り、次にピアノのマイケル・キングが去り、ベースのジャーメイン・ポールが去り、最後にマイケル・シェクウォァガ・オデがスティックを置き立ち上がって、靴を履き替えてステージを去っていった。余韻を残す面白い方法だ。
観客はしばらく拍手をしていたがアンコールはなかった。20日ほどまえの ボナのライブ でもそうだったから、もしかしたらブルーノート東京の方針が変わったのかもしれないな
(と思ったが、ライブリポートによると、2ndステージにはアンコールがあったようだ)
ブルーノート東京へ行く途中、青山花壇に植えてあった。エキゾチック! グレビレア と札があった。
調べたら、オーストラリア原産のヤマモガシ科の常緑樹なんだそうだ。惹かれるも、耐寒性が足らないからうちではムリ。
白いほうはピンボケだー
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