≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

村中直人『ニューロンダイバーシティの教科書』

2021-01-12 23:43:29 | 本 (ネタバレ嫌い)

これはどういう本か、それを著者本人がご自身のサイトに述べられているのでそのリンクを貼る。
想いを込めて「ニューロダイバーシティの教科書」を書きました」『村中直人の雑記帳』より

村中氏は臨床心理士でおもに子どもとその保護者向けのカウンセリングをされていたが、発達障害の子供たちに出会い、学習支援事業を始められた。そこで多くのケースに取り組んだ経験から「発達障害」(特には法律上の定義における知的な発達の遅れがないか軽微なタイプ)とカテゴライズされる人たちを「文化的少数者」と定義し「異文化共生問題」というフレームで考えるべき問題なのではないか、と思うようになった。そして「ニューロダイバーシティ」という言葉と出会いその意が強くなる。
タイトルやサブタイトルに「脳」という文字は入っていないけれど「脳や神経由来の違い」から多様性が生まれるのだ、ということがカバーからなんとなく伝わり、中を読んで目から鱗が落ちる。

最新の知見と豊富な経験から、多くの人に伝わるように盛り込みすぎずなるべく平易に書かれているという印象を受けた。もう何百回も人に伝えて(支援者養成の講座を開かれている)、ようく練られているんだと思う。
マイノリティに寄り添う優しさと公平性がにじみ出ている。

わたしは特に義務教育では本当に嫌な目に会った。その時もその後もわたしの意見はまあまず少数派なので、わたしはこれがよい考えだと思うが多数派はこう考えるだろう、と2種類考えるクセがついてしまった。それなりの根拠を持った自分の意見が歯牙にもかけられないという体験は自尊心を損なう。

COVID-19 によって今人々は辛い目に遭っている。それに対する政府の対応は後手後手で現実を直視していないかのようだ。布マスク配布というような馬鹿げたこともあった。こういう危機にこそ多様な人材から優れた意見を掬い上げるべきなのに、全然上手くいっていないように見える。
少数派も幸せになれる、というのがわたしにとっては重要だけれど、少数派は危機的状況にも役に立つんだよ、皆が幸せになれるんだよ、と「情けは人の為ならず」みたいなことをいっておこう。
そのためには皆が、変わっていて今まで避けていた隣人について「ニューロダイバーシティ」という観点から知識を得て、考え方を少し変えていく必要がある。その教科書です。
その知識を得て認識を改めることが【脳や神経由来の多様性が尊重されることが「当たり前」の社会の実現】に向けての第一歩だ。

我慢もしくは気合いで解決できるという根性論で生きてきた方、管理職、特に教育関係者に読んでもらいたいです。


 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 退院後4ヶ月 | トップ | ピーナッツバタークッキーと... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

本 (ネタバレ嫌い)」カテゴリの最新記事