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カウンターでコーヒーを

いつもの古本屋は21時までが営業時間。


ただし、2階は20時までなので、閉店ギリギリに飛び込むのが常の
私にはあまり縁の無い空間だった。
ある日、昼頃の移動だったので電車に乗っている間の暇つぶしに
手頃な一冊を手に入れようと古本屋に入った。
目ぼしい本を数冊購入し店を出ようとしたところ、
二階への階段が通れるのに気がついた。

どきどきしながら二階へ上がっていくと、雑然とした階下とは違い
何かまとまりのある小奇麗な印象を受けた。
窓際には劇団の広告?などもあり、思想や芸術に関するフロアらしかった。
また、一階とは異なりカウンタがやけに大きく広いな、と思った。

宗教・思想書や美術・芸術系、若干の地図や紀行記が並んでいる中で
目に付いたのは国訳一切経の二冊。
残念ながら二冊しかなく値段も安いとは思えなかったので
その日はざっと雰囲気を読んで店を出た。

その後、何度か二階へ行ってみたが買うべきものはなく
インスピレーションも湧かない。


昨日、少し早めに会社を出て二階へ直行するとカウンターに
品の良い老婦人が座っていた。
雰囲気が少し違っていたので、何かあるな、と感じて本を探す。
”第三の目”といういかにもオカルトっぽいタイトルに惹かれ
手にとって見るとロブサン・ランパの著作だった。
この名前は聞いたことがあるし、知ってるなーと読み進めていくうちに
止まらなくなってしまった。
値段を見ると300円。
一度、棚に戻したがやっぱり買おう、とカウンターへ向かった。

カウンターで品代を払っていると、小さな紙片に目が止まった。
”コーヒー○○○円・・・・”
袋に入った本を受け取りながらその事を聞いてみた。
「あのー、ここでコーヒーを頂けるんですか?」
つい、改まった口調で聞いてしまったが、メニューにあればOKだそうだ。
古書に囲まれてお茶が飲めるなんて、なんと贅沢な空間だろう。
あまりお客さんは来ないし好きな書物の中なのでスタバよりも好ましい。

20時まであと数分だったのでコーヒーは飲めなかったが
あの古本屋の株は一気に上昇。
無愛想な親父も可愛く見えてくるから不思議だ。


満足、満足!!

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