2003年10月4日
両神山西側、落合橋の駐車場に車を止める、人気がなく寂しい場所である。八丁峠方面登山口に警察監修の地図が置いてあり、通行禁止の廃道が作業道として描かれている。ルートは探すのに時間がかかる、落合橋まで行き通行止の登山口から目の前の崖を登れば見つかる。廃道の踏跡はしっかりしていて目印もある。急傾斜が続きグングンと高度を稼げる。山は険しく秘境の感を味わえる。
警察の地図によれば難所が3ケ所記載されていたと思う。雨が降っていれば危険かも知れないが、最初と2番目の沢は大して危険とは感じない。休み休み登って行くと、左側につるつるの岸壁が現れ道が途切れている。途切れた道の下付近には、朽ちた丸太や根付の松などが引っかかっている、崖の上から落ちて来た倒木で橋が崩壊したようだ。 3点確保できない岸壁、ここは今どうなっているだろうか。足元に白い霊魂が浮遊していると言ったら同行者はビビッていた。これは冗談、次の谷川岳でフィルムを切ってしまったのでフィルムに傷がついた。
左手の岸壁に赤ペンキで矢印が書いてある。今年から登山を始めた私は、「落ちて転がったら命は無いな」とは思ったが、矢印の通り行くと簡単に対岸まで行けた。同行者はこの時私が死んだと思ったらしい。私が渡ってしまったので同行者もしょうがなく渡ってくる。同行者は『この道はもう戻りたくない。』と言っている。私は同行者の怖がり方が異常だったので、危なかったのかな、こういう場所は渡ってはいけなかったのかなと思い始めた。(後でこの同行者は強度の高所恐怖症だったというのが判った。)
その後すぐ簡単に頂上にたどり着く。駐車場の標高が約1,150mで両神山の標高が1,723m、標高差600m程度で距離は最短だろう。頂上は程よく紅葉している。登山者はそこそこ多く、ほとんどは日向大谷から登って来ているようだ。下の方から大声で登ってくる団体の声が近付いてくるので早々に下山する。
帰りは元の道は戻らないだろうと思っていたら、帰りも同じ道を戻り始め道を塞いでいるテープを潜って行く。今度は初心者の私が先頭になって降りる。途中、左横上方に目印があるなと思いながらつい見晴らしが良い降り方向につられて真っ直ぐ行ってしまった。木の根が苔むした場所の先で降り傾斜が急になっている。先程から木の根の上を歩いているなと思っていたので、拾って使っていた枝の杖を地面に刺すと手元までもぐってしまう、その先でもう一度刺したらやはり手元まで刺さってしまう。同行者に見せたらこれはマズイと言う。やけに見晴らしが良いと思ったら、空中に張った根の上を5m程歩いた様だ、慌てて目印まで戻る。山では表示通りに行かないとダメだという教訓を得た。(通行止めはもっての外ですが。)
ついに先程の岸壁に出てしまった。今度は慎重に渡る、2~3mぐらいだったと思うが手がかりが全くない。岩盤の傾斜に体を預けられるが靴の横が岩の割れ目に1、2mm引っかかっているだけと思われる。後で学んだことだが三点確保ができない状態であった。逆に指を上へ突っ張ればフリクションを稼げると思って渡ったがどうだろうか。 3点確保を知った後は、後から考えれば考えるほど怖い岸壁になってきた。山ではこういうこともあるのだなと思ってロープを買ったが、重いので持っていったことはないし使い方もわからない。この岸壁は普通の装備では晴れていても百人行けば1人ぐらいは滑落すると思う、やはり廃道は行ってはいけなかった。
この廃道では登り降りとも誰にも行き会わなかった。しかし上落合橋に駐車して八丁峠から登る人はこの廃道を降りているようである。他のホームページでは「注意が必要だ」ぐらいしか書いてない、私も同行者が怖がらなければその程度の感じ方だっただろう。ここまで降りてしまうと渡るしか無い、今でも状況は変わっていないと思う。私も八丁峠から一度登って見たいのでもう一度通りたい。私の勘定では百回のうち2回通ったので、後97回ぐらいは大丈夫だと思う(ジョークです)。この廃道は皆さん大丈夫ですか?、通った人の情報や感想を教えてください。
駐車場に帰ってくると車上荒らし注意の警察のビラがワイパーに挟んであった。人気の全く無い場所なので車上荒らしが多いのだろう。車上荒らしに注意すると共にあまり良い車で行かない方が良いと思います。 昔、登山口に置いてあった地図の裏面
昔、登山口に置いてあった地図の表面
注意、強度の高所恐怖症の方は行かない方が良い。
★滑落撤退 2008年4月12日(土) 天候:晴れ 同行者1人 車
5年前からの構想であった八丁峠から登ることにし4時半に出発、落合橋の駐車場に8時前に着いた。八丁峠方面の登山口と廃道の登山口の距離は近い。八丁峠方面登山口に地図は置いてなかった。最初の計画は八丁峠コース往復だったが、八丁峠から登り、降りは廃道を縦走しようということになった。しかし廃道の難所が通れるかどうか判らないので、廃道から登ることにし8時にスタートする。念のためザイルをザックに詰めた。
落合橋の廃道登山口付近で斜面をしばらく探したが廃道がわからない。 登山口まで戻り目の前の崖を登ると廃道が見つかった。5年前のことはすっかり忘れている。急登が続きグングン高度を稼げる。駐車場の高度が1100mぐらいで1300mぐらいから雪が現れた。1時間程度で1389mのピークに到着。
ピークを過ぎると道はやや平坦になる。5年前に比べると踏跡は不明瞭で倒木が多い。沢の数は前回の記憶より多かった。いずれの沢も雪解け水が多い。 この写真、後から見ると前回の難所の地形と似ている。この時は危険と感じなかったと思う。ひょっとして戻らず登ればすぐ頂上だったかも?。
登るにつれ積雪が深くなり急傾斜になってくる。踏跡は獣の足跡だけ。
アイゼンを付けた方が良いと後続者に振り向いて伝えた途端、斜面を横切る道の路肩が崩れたと言うか踏み外して5m程滑落した。運良く木が生えていて止まる。怪我はかすり傷程度で済んだ。アイゼンを付けて登山道に戻ろうとしたがまた3mほどズルズル落ちる。フカフカの急斜面で登れず途方にくれたが何とか這い上がる。その後2人で落ちても木に引っかかると思いザイルを結び合って登る。同行者はまさか私とザイルを結び合うとは思わなかったと言っている。
4回ぐらい沢を渡ると雪で登山道が見えなくなり目印を見つけるのに時間がかかるようになってきた。急傾斜で軽アイゼンでは滑るし、積雪が深くなってきたので体力を消耗し始めてくる。撤退しようと提案したが同行者は降りは危険でもう戻れないと言う。まだ10時半なので気を取り直し登る。 5分程度後、例の難所はもうじきと思うがあの難所はこの状態では到底無理と考えた。ならば降りは極力短くするべきと考え撤退にしてもらう。降り斜面は良くすべり2人とも滑落に近い状態が何回かあった。
5年の歳月の間に斜面を横切る登山道は風化し路肩が流れてしまっている。もうこの道は油断すると夏でも危ないかも知れない。しかし下山時、沢の一部にロープが張ってあるのに気づいた。そこにロープが張ってあるとすればあの難所は何らかの対策がなされていたかも知れない。
駐車場に降りてきたのが12時半頃、車2台と単車が一台駐車していた。皆八丁峠から入山しているのだろう。
4月中旬の両神山は甘くは無い、撤退は残念だが遭難しなかったので何よりであった。雪の急斜面は良い全身運動となり、スリルも味わえ良い気分転換が出来たのが収穫だった。
走行距離240km ガソリン122円/L 2500円 日帰り温泉:道の駅 大滝温泉 遊湯館 600円
注、最近の気象変化で埼玉県の林道は殆ど通行止めになっている。行くなら十分通行状況を見てから言ってください。林道「金山志賀坂線」が通行止め
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