【20年前の育毛サロンの常識】
私が育毛を仕事として取り込み始めた時には、「毛穴に皮脂が詰まって発毛を邪魔しているから取り除かないと発毛しない。薄毛になりハゲになる。」と言われ、それが常識として一般に定着していました。
このブログを長年読んで下っていたり、メールマガジンを読んで下っている方、YOU TUBEをご覧になっている方なら、毛穴掃除をしたら駄目でしょ。とその理由を含めてお分かりになると思います。
その理由とは、
1.皮脂は液体なので詰まるなんてことはあり得ない。
2.皮脂は頭皮や毛穴を守る保護膜としての役割がある。
3.皮脂には人の皮膚を乾燥させない天然の保湿剤として役割がある。
4.毛穴自体には体温調節の役割があり、詰まったら生死に関わることになる。
5.毛穴には老廃物を排泄する役割もあるので、詰まったら育毛どころの話じゃなくなる。
これらのことが分かれば、皮脂が毛穴に詰まるなんてあり得ないのが分かりますよね
中には角栓が詰まるなんて話もあります。
知らない方のために「角栓」とは何のかを簡単に説明します。
分泌される皮脂と皮膚表面の角質が混ざって固まったもの、といえば良いでしょう。顔のニキビなんかは、この角栓が詰まってアクネ菌の繁殖が激しくなって出来ます。
だったら頭皮の毛穴も同じだから、角栓が詰まるじゃないか!とおっしゃる方は、顔の毛穴と頭皮の毛穴の違いを分かっていません。
頭皮の毛穴は顔の毛穴の2倍~3倍程度大きいので、普通は角栓が出来上がる前に排泄されてしまうのです。
最近では、毛穴の排泄能力が低下して頭皮に角栓ができやすくなっている人がいらっしゃるにはいらっしゃいます。でも、角栓が出来ているから毛が発毛しないのでなく、頭皮の血行が悪くなって排泄能力が低下していることが、本当の問題としてあるのですね。この頭皮の血行を悪くしているのが皮脂を取るケアなのです。
【効果のある場合がある】
ただ、毛穴掃除と称して頭皮のヘッドスパを行うことをしばらく続けると毛が増える場合があります。これを見て、毛穴掃除が必要だとおっしゃる人もいるのですが、それは違うのです。
毛穴掃除と称していますが、実際上は温水で第三者に頭皮を洗ってもらうことで、頭皮の緊張がゆるんで、結果的に頭皮の血行が良くなっているのです。だから、毛穴の排泄能力が向上するので、ヘッドスパ後にマイクロスコープで頭皮を見ると綺麗になったように見えるものなのです。
こんな効果が出ることがあります。
が、ここで間違った認識で「毛穴を掃除して皮脂を取り除いたからだ」と勘違いしてしまうと大きな間違いを犯します。皮脂を取り除いたことが良いと認識した人は一生懸命皮脂を取り除くケアを提供し、ケアを受ける側も皮脂を取るような洗髪法を採るようになるでしょう。
そうなると地獄の一丁目の始まりです。
皮脂を取り始めると、皮脂の分泌量が増えてきて脂っぽくなってきます。
皮脂の分泌量が増えれば、皮膚常在菌の繁殖が激しくなるので、その分解物で頭皮が臭うようになります。
皮脂を取り始めると、皮膚表面の角質を痛めるのでフケが出るようになります。
角質を痛めるから、赤くなったり、痒みが出たりします。
頭皮の弱りや疲れが激しくなるので、さらに血行が悪くなっていき、生え替わってくる毛は柔らかくなり、その次に細い毛が多くなり、中には十分成長しない毛が増えてきます。
最悪の場合、皮膚炎を起こしてしまいます。
【美容業界の常識になっている】
ここのところのご相談者の多くは、この毛穴掃除をするようなうたい文句のあるシャンプーを使っている人が多く、頭皮は赤くなっていたり、頭皮を保護して休ませるケアを行うと痒みが出る人が増えています。
頭皮を痛めているから、自己修復のために血が集まってきていてムズムズ痒がる人が多いです。
シャンプーを検索で調べると、多くは美容室の専売品であったりするので、皮脂を取って頭皮を清潔するのが今の美容業界の標準なのでしょう。だってねぇ、毛髪診断士のテキストにも、皮脂を取って清潔にすることが必要だと言うような文言は使われていますからね。
20年前に私が育毛を仕事とし始めた時と、同じような主張が現在美容業界からも発信されています。本当にそんなので良いのでしょうか?皮脂は人の体にとって必要な分泌物ですよ。
どう考えても、一般的な常識のほうがおかしいように感じるのは私だけでしょうか?