BORN To RUN
~LIVE To RIDE RIDE To LIVE~ バイクの整備・ツーリングのお話です。
 




 ご近所さんから頼まれた刈払機(草刈機)の修理を終えたところ、「孫が学生の時に乗っていたオートバイが納屋にあるので、良かったら引き取ってくれないか?」とのこと。
 最大9台あったバイクも順次処分し、やっと5台まで減らしたところですが「動かない」と聞けば何だか見たくなるのが病気です。

 早速、納屋に伺い見てみると、朽ち果てた原付のスクーターです。
 おまけにカギはあるものの、廃車証明証もないとのこと。
 ヤマハのスクーターは、松原君のところに里子に出しているアプリオ号が近々帰って来る予定なので、「要らんな~」と思いながらもしばらく思案・・・

 引きずって帰宅してしまいました。
 家族からのブーイングは必至です。

 この時点では書類がないバイクは、バイク屋等の古物商の免許を持っているところで費用を払って登録をしなければならないと思っていました。
 始動だけさせて「丸車」でバイク屋に売って小遣い稼ぎでもするしかないか・・・と算段していました。

 とりあえず、はたきで砂ぼこりを払い現状を確認します。大きな転倒跡はない模様

 右ミラーが折れてガムテープでぐるぐる巻きに、左後ろのウインカーもステーが折れて、ガムテープで固定してあるもののグラグラです。


 メーターを見てみると4,444Km 「シ・シ・シ・シ」 何とも縁起の悪い数で揃っています。
 聞けば、お孫さんが京都の大学に入学する際に新車で購入し、卒業後は乗らなくなったものとのこと。4,400Kmは実走行距離のようなので、エンジンは期待が持てそうです。

 ヤマハのホームページで、車台番号を入力して調べたところ2006年製でした。お孫さんの年齢から推定する大学入学時期とも符合します。
 加えて、当該ホームページでは、リコール実施状況も公開しており、この車両の車台番号を入力するとエンジンでも最も重要な部品と言っても過言でない「クランクAssy」にリコールが出ており、しかも未実施であり販売店で無料でクランクを交換するとのこと。

 更に嬉しかったのは、アプリオと同じ空冷2ストロークエンジンと早合点していましたが、水冷4ストロークエンジンであることも判明。

 なんと喜ばしいこと。俄然やる気が出てきました。

 動くようにして、バイク屋で無料でクランクを交換してもらおう!(笑) と


 とりあえず、エンジンが回るかを確認します。
 ガソリンを入れて、バッテリーはお亡くなりになっていますので、車のバッテリーでジャンプスタートさせます。

 いきなりセルを回すと、油切れをしたピストンとシリンダーがこすれて傷をつけるので、先ずはゆっくりとキックスターターでクランキングさせます。
 抵抗なくエンジンが回ることを確認し、セルモーターでエンジンを始動させようとすると・・・

 ガソリンが、ダダ洩れです。キャブには負圧ポンプでガソリンを送っているようですが、オーバーフローをしています。

 キャブの油面を調整するフロート若しくはフロートバルブ辺りに固着がある模様です。

 こうゆう場合は、キャブレターの一番下のフロートが収められているフロートチャンバー辺りをドライバーの柄でコンコンと叩くとフロートが動いてオーバーフローが収まる場合もありますが、今回はキャブがエンジンの上に乗っかっており、フロートチャンバーを叩くことができません。

 商売でなく、修理自体が遊びなので手間をかけてキャブレターをオーバーホールすることにします。


 キャブレターを取り出しました。
 いつもの事ですが、キャブレターを外すのは大変です。
 狭い場所の指を突っ込み、キャブレターを取り出すのですが、指がそこら中に当たり、生傷が絶えません。

 狭い場所で、硬いゴム等で支持されているものを力ずくで取り外すのですが、今回はヒートガン(ドライヤーの超強力な奴)で炙って柔らかくしてから外しました。
 目からうろこです。指も怪我することなく簡単に外すことができました。


 さっそく、フロートチャンバー室の御開帳です。

 案の定、白い樹脂でできたフロートの最下部がフロートチャンバーの底部と固着していた跡がくっきりと見えます。
 長期間乗らない場合には、このフロートチャンバー内にはガソリンを残さないようにすると良いのですが、スクーターにはバイクと異なりガソリンコックが無いので、長期保管車は残ったガソリンが揮発した後に「ガム」が残り、細かい穴をふさいだり、今回のように部品を固着させたりします。

 逆に言えば、動いていたスクーターが不動になる原因は、ほぼキャブレターだと思っても良いと考えています。


 そのまま、組み上げればオーバーフローは収まり多分エンジンは始動すると思いますが、キャブレターを全部バラしてオーバーホールをします。

 さっそく、オートチョークを取り外しOリングを点検すると、劣化でひびが入っておりNGです。部品を注文して交換します。
 【キャブレター Oリング 5ML-E4854-00】


 加速ポンプのプランジャー(ジャバラ)も劣化でグズグズになっていました。
 グリスでも「ねたくって」おいても良く、必須ではないのですが、大人ですから交換です。(笑)
 【キャブレター プランジャー: 5ST-E4853-00】


 近所の部品商で上の2点を入手し、オーバーホールに入ります。
 キャブレタークリーナーでジェットとボディの全ての穴を洗浄し、穴が通じていることを確認してパーツクリーナーとコンプレッサーの高圧で汚れを吹き飛ばします。
 本当なら、他のガスケット等も交換すべきだったのですが、今回は使用可と判断し交換は見合わせました。


 今回、ちょっと驚いたのは、このキャブには「加速ポンプ」がついていたり、キャブをエンジンから出る温水で温める「キャブヒーター」が付いていたりととっても豪華なキャブレターだったことです。

 キャブはこれで大丈夫。クランキングもできたし、点火プラグも火が飛んでいます。

 引き続き、ハンドルとブレーキを簡単に点検し、外装周りの整備をします。

 リアフェンダーが半分以上割れてグラグラになっています。どうしてこんな状態になったのか推測しても理由はわかりません。

 転倒跡もなく、外部から入力された傷跡もないし、カウルの中なので、紫外線による樹脂の劣化もなく弾力も維持されていますので???ですが、
 今回は「兎に角走れるようにする」のが目標なので、部品の交換は止めチマチマと補修することにします。


 割れた両側にリューターで適当な間隔に穴をあけ、ステンレスの針金で縛って固定します。

 昔は、ホットボンドとか、PP用の接着剤で補修していたこともありますが、結局経年で剥がれてしまうことが分かっています。

 車のスポイラーでも行いましたが、ステンレス線で固定する方法が、強力かつ耐久性も高いと考え最近はこの方法で補修しています。

 ワイヤーツイスターは綺麗に針金を撚ることができる工具で、本来の使い方ではありませんがアマチュア的に「良し」とします。

 撚った出っ張りは危ないのでラジオペンチ等で折り曲げておきます。


 廃車証明書が無い件については、譲渡人の自書と押印があれば書類が無くても名義変更は可能であることが判りました。

 そのままでは公道を走らせることができないと思っていたところが、登録ができると判り整備のモチベーションが俄然上がってきました。

 「とりあえず走るようにする」ことから、処分は後にして「気分よく走らせる」ことに方針転換です!

 そうと決まれば、破損した①ミラー、②ウインカーと、自分のバイクには必ず着ける③サイドスタンド等外装と、④エアクリーナーエレメント、⑤エンジンオイル、⑥ギアオイル、⑦クーラント等消耗品、油脂等の全部交換です。


 先ずはエンジンを冷却するクーラント液を交換しました。
 完全な透明であり、走行距離相当です。
 クーラントは大抵交換しない方も多いかもしれませんが、手持ちがありましたので気分よく交換しました。(60%希釈 約400CC?多分)


 続いて、エンジンオイルの交換
 これは、真っ黒でNGです。ここまで(4,444Km)交換なしだった可能性が高そうです。
 推奨が3,000Km交換だったとしたら、1,400Kmオーバーっていう感じですが、粘度もあり金属粉もなかったので、交換すれば問題なしです。
 手持ちの 10W40 全合成油 で交換しました。
 オイル量は800CCでした。

 オイルを抜く間にサイドスタンドを装着しました。


 油脂類の交換の最後は、ギアオイルです。
 ギアオイルこそ、皆さん大半交換することが無いようですが、ここは点検も兼ねて交換します。


 ギアオイルはMR-Sのミッションオイルの手持ち75W90があったのでこれを使いました。
 オイル量は100CCです。50CCのシリンジで入れました。
 シリンジは、近所の総合病院の売店(コンビニ)で安く調達できます。


 エアクリーナーエレメントも、いつもならスポンジフォームを加工して取り付けますが、今回はけち臭いことはせず、純正品で交換します。(笑) 
 原付は裾野が広いからなのでしょうか消耗品が自動二輪に比べ激安です。

 エレメントの上部にリアサスがありますが、オイルで汚れていました。
 どうやらオイルシールがダメになり、ダンパーオイルが漏れ出ているようです。
 ダンパーが効かないと簡単に「底づき」してしまい、コーナリングでもふらつくので交換したいところです。

 確か、アプリオのチューニングで遊んでいた時に、中華製のサスを買ったもののその後ジョグのリザーバータンク付きの良品を手に入れたので、結局使わなかったものがあるはず・・・


 屋根裏のジャンク置き場を漁ったら、出てきました。
 中国製のほぼ未使用のサスです。

 サスの長さ(ボルト穴間)が概ね24Cmで、上下の取付け部の形状、穴径等見事に一致しています。
 ブランド名は「Long River」と刻印 「長江」かい!って「そのまんまやないか!」 あ、大陸?台湾じゃないのね・・・残念


 乗出し整備が終わりました。
 先週の土曜日(10月6日)の入庫から1週間で、乗出し整備と登録まで完了しました。

 余談ですが、最近、ツールワゴンの収納を見直し、良く使用する工具や消耗品を整理・集約したら劇的に作業がし易くなりました。
 今までは、必要な工具を都度別の場所にあるツールキャビネットや工具棚まで取りに行き何度も往復しておりましたが、今回、まず使用するだろう物をツールワゴンに収めたところ、移動が激減し集中力も途絶えることなく作業効率が大幅に向上しました。

 車の修理の際には更に離れた場所になりますので効果が大いに期待できます。


 閑話休題
 さっそく試運転してきました。
 2ストエンジンのようなドラマティックな加速感はなく、最高速もメーターで60Km微かに届かず58Km程度でしたが、2ストエンジンと比べ低回転域のトルク感があり、エンジン回転数と速度が比例しており、良く言えば「息の長い加速」が楽しめます。

 また、低速では微かに4スト単気筒特有の鼓動も感じられ、加速・減速(エンブレ)のメリハリもあり、これはこれでありだな~と思いました。

 機関も、セルモーターの回転もスムーズで力強く、変速系についても加減速時のスリップ感もなく(CVTにこんな表現はおかしいのですが)「カチッ」としています。

   足回りを除き、まだ新車のテイスト残している、4,500Kmなりの状況です。

 すっかり気に入ってしまいました。バイク屋に売ることは止めです。

 お孫さんが購入したバイク屋にリコールを相談してきました。
 リコールの話だけで初めてのお店に伺うのも大人的にどうかと思い、リアタイヤを1諭吉先生で交換してもらいました。

 クランク交換はエンジンを降ろして、いわゆるエンジンの腰下まで分解する大変手間のかかる作業になりますが、バイク屋さんにもメーカーからしっかり工賃が払われるようです。
 全く嫌がられず、時間工賃が支払われるのでしょうか?むしろ喜んでいるようにも伺えました。
 最近よく耳にする 「ウィンウィン」の「ディール」って奴ですか?(笑)

 あ、ブログに熱中していたら25時になってしまいました。
 最後までお付き合いありがとうございました。

 毎度ながらの長文・駄文失礼しました。

 あ~エンジンいじりは楽しいな~ 内燃機関と化石燃料 永遠なれ!

  

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  ・FZR250  :2006年2月入庫(不動車)を整備====>2013年2月惜譲
  ・RZ250R  :2004年1月入庫(不動車)を整備 クランクまで分解しリビルド====>2013年2月惜譲
  ・XLR250R :2001年4月入庫 ワイセコピストン等改造多数 ====>2011年?惜譲
  ・シルクロード:2004年11月入庫(不動車)を整備 唯一のユーティリティーバイクとして
  ・TLR250R :2007年4月入庫 整備、2018年4月 再整備し「かわいがり」中
  ・アプリオ   :2008年3月入庫 整備 エンジンボアアップ 駆動系チューン、原付2種登録済 
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