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先日、小諸城址懐古園での桜を見に行ってきました。青空と散策する人たちと咲き誇る桜に日常の疲れを忘れ、癒された自分です・・・・。久しぶりの外出でしたが、高校を卒業してから半世紀、暫しタイムスリップし、まさしく懐古園でした。
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園内には、藤村記念館があり、高校生のときの教科書に載っていたことも思い出され、島崎藤村の詩を紹介いたします。
『千曲川旅情の歌』
一
小諸なる古城のほとり
雲白く遊子(ゆうし)悲しむ
緑なす繁蔞(はこべ)は萌えず
若草も藉くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡邊
日に溶けて淡雪流る
あたゝかき光はあれど
野に滿つる香(かをり)も知らず
淺くのみ春は霞みて
麥の色わづかに靑し
旅人の群はいくつか
畠中の道を急ぎぬ
暮れ行けば浅間も見えず
歌哀し佐久の草笛
千曲川いざよふ波の
岸近き宿にのぼりつ
濁り酒濁れる飲みて
草枕しばし慰む
『千曲川旅情の歌』
一
小諸なる古城のほとり
雲白く遊子(ゆうし)悲しむ
緑なす繁蔞(はこべ)は萌えず
若草も藉くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡邊
日に溶けて淡雪流る
あたゝかき光はあれど
野に滿つる香(かをり)も知らず
淺くのみ春は霞みて
麥の色わづかに靑し
旅人の群はいくつか
畠中の道を急ぎぬ
暮れ行けば浅間も見えず
歌哀し佐久の草笛
千曲川いざよふ波の
岸近き宿にのぼりつ
濁り酒濁れる飲みて
草枕しばし慰む
二
昨日またかくてありけり
今日もまたかくてありなむ
この命なにを齷齪(あくせく)
明日をのみ思ひわづらふ
いくたびか榮枯の夢の
消え殘る谷に下りて
河波のいざよふ見れば
砂まじり水巻き歸る
嗚呼古城なにをか語り
岸の波なにをか答ふ
過(いに)し世を靜かに思へ
百年(もゝとせ)もきのふのごとし
千曲川柳霞みて
春淺く水流れたり
たゞひとり岩をめぐりて
この岸に愁(うれひ)を繋(つな)ぐ
今日もまたかくてありなむ
この命なにを齷齪(あくせく)
明日をのみ思ひわづらふ
いくたびか榮枯の夢の
消え殘る谷に下りて
河波のいざよふ見れば
砂まじり水巻き歸る
嗚呼古城なにをか語り
岸の波なにをか答ふ
過(いに)し世を靜かに思へ
百年(もゝとせ)もきのふのごとし
千曲川柳霞みて
春淺く水流れたり
たゞひとり岩をめぐりて
この岸に愁(うれひ)を繋(つな)ぐ
藤村29歳の時、右手に浅間の全貌を眺め、眼下に千曲川の曲折した流れを見下ろす小諸の懐古園で詠まれたものである。ということですが。高校生の自分は、まだピンとこないで、この藤村29歳の倍の歳になって、この詩が琴線に触れるのです・・・・。
昨日またかくてありけり 今日もまたかくてありなむ
この命なにを齷齪(あくせく) 明日をのみ思ひわづらふ
この命なにを齷齪(あくせく) 明日をのみ思ひわづらふ
の句に、改めてこの詩の凄さを思いました。
ちなみに、下の写真は私の故郷から見る、 暮れ行けば浅間も見えず
歌哀し佐久の草笛 の、浅間山の写真です・・・・。
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