(ルー・ゲーリッグ病;Lou Gehrig病;Lou Gehrig's病)
-
筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリッグ病)は、最も一般的な運動ニューロン疾患です。
-
典型的には、筋力の低下と筋肉の萎縮が起こり、動きが固く、ぎこちなくなり、
体を動かすのが困難になっていきます。
-
医師は主に診察結果からこの病気を疑い、筋電図検査、神経伝導検査、MRI検査、血液検査の結果を参考にして診断を確定します。
-
根治的な治療法はありませんが、薬で症状を軽くすることができます。
脳を使って筋肉を動かす
筋肉の動きは通常、脳と筋肉の間で神経を介して信号が伝達されることによって起こります。筋肉を動かそう(例えば、本を手に取る)と意識的に決めたときなどは、筋肉を動かすための刺激が脳から発せられます。
あるいは、筋肉を動かす刺激が感覚に端を発する場合もあります。例えば、痛みや温度変化は、皮膚の中にある神経の特殊な末端部分(感覚受容器)によって感知されます。この感覚情報は脳に送られ、脳はそれにどう反応するかを指示する司令を筋肉に送ります。このタイプの情報交換には、2つの複雑な神経伝達経路が関わっています。
|
|
|
|
強い感覚が突然生じた場合(とがった石を踏んだとき、とても熱いコーヒーを口にしたときなど)には、信号が脊髄に伝わり、脳を介することなく直接、運動神経に戻ることがあります。これにより筋肉が瞬時に反応して、痛みを引き起こしているものから直ちに離れることができます。この反応を脊髄反射といいます。 |
|
それぞれの末梢神経は以下の部分から構成され、このいずれが損傷を受けても、末梢神経の機能障害が生じます。
-
軸索(信号が伝わる部分)
-
神経細胞の細胞体
-
髄鞘(軸索を包んでいる膜で、電気ケーブルを包んでいる絶縁体のような働きをして、神経の信号が伝わる速さを高めている)
髄鞘の損傷は 脱髄と呼ばれ、 ギラン-バレー症候群などでみられます。
神経細胞の典型的な構造
神経細胞(ニューロン)は、大きな細胞本体と複数の神経線維でできていて、神経線維としては、信号を送るための長くのびた1本の突起(軸索)と、信号を受け取るための多数の枝(樹状突起)があります。軸索から送られて来た信号は、シナプス(2つの神経細胞同士の接合部のこと)を通過して別の細胞の樹状突起に伝わります。 大きな軸索は、脳と脊髄では乏突起膠細胞に、末梢神経系ではシュワン細胞にそれぞれ包まれています。これらの細胞の膜はミエリンと呼ばれる脂肪(リポタンパク質)でできていて、この膜が軸索に何層にもしっかりと巻きついて、髄鞘と呼ばれる構造物を作っています。髄鞘は、ちょうど電気ケーブルを包んでいる絶縁体のようなものです。髄鞘がある神経では、髄鞘がない神経より神経信号がずっと速く伝わります。 |