診察室でのひとり言

日常の診察室で遭遇する疑問、難問、奇問を思いつくままに書き記したひとり言

今年も終わります

2016年12月30日 | 医療、健康

また今年も終わろうとしています。一日一日があっという間に過ぎてしまうせいか、一年もあっという間に終わってしまおうとしています。今年も 沢山の患者さんが診療に訪れ、元気を取り戻してもらえた方が多いことと思っていますが、私の力不足で元気が戻らない方もおられたことには、更なる勉強が必要と思っています。28年間医療に携わり、思い出に残る患者さんや、印象強かった疾患が思い出されるときがあります。研修1年目に90歳の明治生まれの Y さんが、心筋梗塞が原因で緊急入院。治療の効果もあって、元気になり退院されていかれましたが、入院中、胸痛や息苦しさを感じたときに舌下して使用するニトログリセリン錠(現 ニトロペン)について説明すると、「 先生、口の中で爆発しませんか? 」と真剣に尋ねて来られたことが今でも思い出されます。確かに、ニトログリセリンはダイナマイトの原料ですものね。O さんの場合は、胃カメラ検査でカメラを口に挿入するときに、「 Oさん、舌を出してべ~として下さい。」と私が指示すると、横になったまま、右人差し指を下まぶたに添えて、『 あっかんべ~』をされたとき、吹き出しそうになったことを今でも鮮明に覚えています。研修医時代は胃カメラもしていましたね。I さんは、いまでもクリニックに来てくれていますが、心臓外科の手術前にMRIをとることになり、私が研修をしていた R 病院には、当時 MRI がなく、私の車と、ご家族運転の車の2台が連なって(ナビがない時代)O 病院に行き、検査をしてもらったことも懐かしい思い出です。R 病院の心臓外科手術第一号でしたね。M さんの場合は、40歳台後半で不安定狭心症で R 病院を受診され、緊急でカテーテル治療をしました。家族性高脂血症が元々あり、内服薬では全くコレステロールが下がらないため、放置するとまた血管が詰まってしまうとの考えで、透析内科の医師にお願いして、2週間に一度、LDL アフェレーシス(透析の器械で血液中の悪玉コレステロールを抜いてもらう治療)をしてもらったことも、R 病院では第一号の治療でした。現在は、凄くよく効く内服薬ができ、お蔭で元気に月一回通院されています。N さん、S さんはともに心筋梗塞で緊急入院。カテーテル治療を担当しましたが、心筋のダメージが大きすぎて血流の再開だけでは延命効果も見込めず、当時世界的に行われ始め歴史の浅い『 Dor手術 』を心臓外科部長 T 先生に進言し、高リスクを覚悟で第一例、第二例の Dor 手術をしていただき、無事大成功を収め、T 先生の勇気と力量に敬意を表しました。今でもお二人はお元気に通院されています。まだまだ思い出される症例はあります。これからも、ところどころでご紹介します。 では、良き新年をお迎えできますよう心よりお祈り申し上げます。