診察室でのひとり言

日常の診察室で遭遇する疑問、難問、奇問を思いつくままに書き記したひとり言

世の中に風邪の咳に効く薬なし

2018年01月12日 | 医療、健康

年末、年始と風邪をひいて受診される患者さんが多くなっています。特に、咳が止まり難いと受診される方が多く、何軒か診療所を回って当院に来られる方もおられます。恐らくその逆で、当院を受診され咳が改善しないと他院を受診されている方もおられると思います。風邪はウィルス感染ですから罹ってしまうと自己免疫力で治すしかありません。ご存知の通り、一般的には4~7日ほどかかりますが、体からウィルスが消えても咳だけが長く(3~4週間)残ることはよくあることです。先日も一週間も咳が止まりませんと言って大騒ぎして診察室に入ってきた患者さんがいました。まあ、珍しい光景ではありませんが。すぐに肺炎だ、結核だと騒ぐ患者さんが多く、これもいらぬ情報の影響かと嘆いています。熱が下がらず咳が持続する場合は要注意ですが、熱もなく全体的に落ち着いてきたが咳だけが酷いという場合は3~4週間は覚悟しておかないと仕方ありません。昨年末にアメリカ胸部医学会が、市販の咳止め薬や民間療法を含め、この世に有意に咳に効く薬は存在せずこれらの薬の服用は推奨されないという見解を発表しました。当院では、希釈したコデインを含むシロップを処方することで少しは軽快している患者さんがいる印象です。但し、軽度の喘息が隠れている症例がちょこちょこおられ、この場合は吸入ステロイドなどを併用すると著効する場合があります。やはり風邪は引かないように日頃から手洗い、うがいなどの予防に心掛けることが大切ですね。(2015.10.27 風邪の予防って?)