家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

PさんのIDカードホルダー  ジョッターメモ付き

2010年02月06日 | レザークラフト

   
 某所で知り合ったPさん(♀)からのオーダーで作った品が完成した。
 その名は「ジョッター付きIDカードホルダー」。
 昨日、受け渡しが終わったので紹介する。

 Pさんは、私が以前作ったポストイットホルダー付きIDカードホルダー(→LINK)を見て、メモ機能付きのIDカードホルダーを所望した。
 そのため当初はメモ用途としてポストイットを装備することを想定していたのだが、制作にあたっての打ち合わせでジョッターの存在を紹介するや、Pさんはすっかりジョッターが気に入ってしまい、方針転換となった。

 ジョッターとは何か。
 簡単に言うと、コンパクトなメモ用紙がはさまった小さな板のようなものである。「ちょっと書き留める」という意味の英語のjotが語源になっているらしい。メモ面がむき出しになっているので、メモをとることにおいて最速なアクションができるツールだ。

 ジョッターは普通はポケットに入れて持ち歩くが、私はIDカードホルダーと合体してしまうのがいいと以前から考えていた。そのあたりは、ポストイットホルダー付きIDカードホルダーのときと同じ発想である。
 ジョッターの場合は、ポストイットのように覆う形でホールドする必要がないから厚みを抑えることが出来、カードホルダーとの親和性はより高い。
 IDカードホルダーを表側とし、裏側をジョッターとすれば、IDカードホルダーが、ひっくり返すと瞬時にジョッターに変身する。シンプルだけどとても便利な一品となる。
 それをPさんに持ちかけてみたらドンピシャリとはまったという次第。

 Pさんの要望はさらにあった。ペンも名刺も格納したいという。
 自分のポストイットホルダー付きIDカードホルダーもペンホルダーはつけていた。小さなペンを保持し、メモはあるけどペンがないという事態に備えたもの。この希望は想定内。
 名刺入れ部分は新規に考える機能となった。
 実のところ、ジョッターを紹介してみたのは、ジョッターとして使える市販の情報カードに「名刺サイズ」というのがあったためだ。名刺サイズジョッターメモは名刺入れの中に保管することができるので、名刺入れと合体するのはいたって合理的なのだ。

 こうして名刺入れ部分をコアにして、表面をIDカードホルダー、裏面がジョッターという基本構造案ができあがった。
 ただ、Pさんからはさらに追加要望が出てきた。chiezokunさんにプレゼントした極小財布(→LINK)につけた500円玉ホルダーが気に入ったようで、その機能もつけたいという。ふと自販機のジュースを買いたくなったりした場合を想定していた。

 で、打ち合わせを経た用件をまとめると以下のようになる。
 ・横型のIDカードホルダー
 ・IDカードは2枚収納。1枚は表面が見えるように、もう1枚は隠れてしまっても良い。
 ・私のポストイットホルダー付きIDカードホルダーと同じように市販のビニール製のIDカードホルダーを入れ子にする構造を採用する
 ・ジョッター(91×55の名刺サイズ情報カード)をつける
 ・名刺を3枚程度は入れられるように
 ・ペンホルダーをつける。ペンはWalkie pen のBoldタイプ(関連エントリ→LINK
 ・500円玉ホルダー
 ・ストラップは革製でなく布製
 ・色は赤っぽい紫系とか、ピンクがちょっと入った濃い赤とか。

 貧乏性の私は機能がたくさんあるものが好きである。それでいて見た目がすっきりしているのが好み。 これだけ要望がたくさんあれば取り組み甲斐がある。

 通勤時間を有効活用していろいろ考えた。特にコインホルダー部は思案のしどころになった。そうした時間も私にとっては趣味の時間である。
その思考過程を紹介していたらキリがないので、以下完成品をご覧いただき、工夫を読みとってもらえたら幸甚である。

<IDカード表示面>使う本人の目線から見た図
   
 シンプルさは実現できていると思う。いろいろな機能があることは一見しては分からないはず。


<非使用時のジョッター面>使う本人の目線から見た図
   
 表面に乗っているのがコインホルダー。ぶら下がっているので逆さにすればたれさがり、ジョッター面が使えるというわけ。

<使用時のジョッター面>使う本人の目線から見た図
   
右上(ぶら下げたときは左下)上部のペンホルダーからペンを取り出して使う。

 
<コインホルダー>
   
  半円形のステッチという構造になったため、白い糸で縫って「口」に見立て、「目」をあけて顔に見えるようにした。これは単なる装飾にはとどまらない。この穴から、中に500円玉が入っているかどうかを確認できる。また、コインホルダーはむき出しのジョッター面の上に乗っているので、ジョッター面の汚れをある程度防ぎ、かつメモ記入してあった場合は衣服の汚れを防ぐ効果がある。
 ジョッターの押さえの部分が幕のような効果をみせて、人形劇の舞台のような印象になったと思うがどうだろう。

   
 スナップをはずして500円玉を入れる。


<名刺入れ部>
   
 上部(ぶら下げ時)から入れるが、名刺入れ部の脇のステッチをタテの長さの半分ほどに止めているため、出し入れをしやすくしている。
 上部に飛び出したスナップを止めておけば、逆さまにするジョッター使用時にも落下することはない。

<全体図>
   
 ストラップも本体の色にあったテープを購入して作った。



 製作過程で、ストラップ式のカード類ホルダーについての別の面白い構造案が浮かんだ。
 多少厚みが増すが、機能が満載できるし、使う人次第で機能の組み替えができる構造である。どなたからか新たにカードホルダーの製作依頼がきた時に、その構造を持ちかけてみることにする。


最新の画像もっと見る

13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いいです (aiai)
2010-02-07 18:45:25
これいいですね~。
使いやすそうで、身につけてみたいです。

面白い構造案もぜひ教えてください!
返信する
Unknown (garaika)
2010-02-11 20:27:37
aiaiさん
評価ありがとうございます。

面白い構造案は、オーダーする人のお楽しみなんです。
この際、発注どうですか?
aiaiさんなら対面済みということで、条件クリアしていますよ。
気が向いたらよろしくどうぞ。
返信する
さすが! (朝妻)
2010-02-12 17:17:36
どぉも!朝妻です。

いつもながらの素晴らしい仕上がり!

我が建築バーへ以前頂いたあの手帳。

お客様のお名前をご記入頂いております。

そう言えば、あの企画はそのままでしたね。

いつの日か実現したいものです。
返信する
ありがとうございます (garaika)
2010-02-14 13:10:17
朝妻さん、おほめいただきありがとうございます。

手帳も活用していただいているようで、なによりです。
使ってもらってなんぼ、というモノづくりが好きなので単純にうれしいです。
2代目、3代目ということになったら、また作らせてもらいますよ。その時はお声がけを。

企画はどうしましょうか。特定の個人向けまたは一点ものか、汎用性を持たせたものにするかでは、製作の進め方はだいぶ違ってきますので。
返信する
良いですね。 (ろく)
2010-04-27 22:47:59
ジョッターで検索してたらこちらにたどり着きました。 ペンホルダーとコインホルダーが秀逸ですね。 私もよく財布を忘れてゲートを出てしまい、今小銭があればタバコ買えるのに。。。と思うときがあります。(笑 便利そうで実にうらやましい。
返信する
はじめまして (garaika)
2010-04-28 21:55:28
ろくさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

どこかにありそうなのにどこにも無いものを作るのが好きで、いろいろと変わったものを試行錯誤しながら作っています。
私はこの趣味を「極私的製品開発」と名付けています。
ご興味がありましたらこのブログの「レザークラフト」のカテゴリーを見てみてください。

過去のエントリでも感想をいただけたらとてもうれしいです。
返信する
はじめまして。 (ろく)
2010-04-30 01:47:20
garaikaさん、はじめまして。
先のコメントでは初対面なのにご挨拶無く失礼しました。

私も革小物が大好きで色々気に入った物を集めています。
http://www.beyes.jp/men/item/614696
今までで一番気に入ったのがこちらの商品ですが、これも同じくらいすばらしいですね。


市販品では後もう一歩で満点なのに!という物が多いんですよね。
自作できるくらい私も器用だったら良いんですが。(笑

今までの革小物の作品も拝見させていただきます。
返信する
恐縮 (garaika)
2010-04-30 23:30:05
ろくさん、
 ふたたびコメントありがとうございます。

 プロの製品と並べて評価していただき恐縮至極です。
 リンク先の製品、イイですね~。完成度高いです。
 0.5mmに漉いた革のベタ張りとは、「なるほど」と言った感です。
 素材からオリジナルということですから、プロの製品の中でも一段と優れていると思います。

 さて、市販品がいま一歩なものが多いという件について。
 既製の市販品というものは、おおまかにいうと購入予定のある人の80%くらいの人間が80%くらいの満足度をえるようにできたら最高の部類の製品になります。
 それでも使う側が凝り性の人間だったりすると、その満ち足りない20%がひっかかってきます。
 かといって、その人物の残り20%のニーズを満足させるように作ると、別の人の不満度を高めることにつながりかねない。そういうジレンマが市販品にはあります。
 そこで、量をさばかないオーダーメイドや一点物ならば特殊な要望をとりいれやすく、物足りなさをカバーできるわけです。
 自分自身ヘンなコダワリのある私は市販品で物足りない分を埋めるようなモノ作りが最高に楽しく思っています。変わったオーダーほど受けるのが楽しい。さらにそのようにできたモノに別の人が興味をひいてもらえることに気分を良くします。そういうシーンを含めて道楽としています。
返信する
Unknown (ろく)
2010-10-17 03:36:22
こんばんは。
あれから何度も眺めていました。

何回見ても素晴らしいですね。
またおっしゃられる通り10割の満足度を達成してしまうとその2割がむしろ邪魔だと感じる人が多く出てきてしまうのでしょうね。

しかしこれは本当に秀逸です。
販売予定とかは無いのでしょうか?
返信する
よろしければ (garaika)
2010-10-17 21:53:35
ろくさん、

何度も眺めていただき恐縮です。
人の物欲を刺激することはモノ作りをする喜びになります。
販売予定は無いのですが、ご所望の方には条件があえばお作りすることは可能です。

左側の「メッセージを送る」というところからメールをいただければご相談には乗りますので、どうぞメールをお寄せください。
返信する

コメントを投稿