昨日、仕事上の恩師が亡くなりました。74歳。逝かれるにはまだ早いです。
肺癌の全身骨髄転移でした。
10年前手術。もちろん仕事復帰。2,3年前退官されました。以来ずっと抗癌剤を内服されていたそうですが、遅発性に転移が発生したようです。
癌外科医でしたが、癌に倒れられました。
タバコ吸ってたもんなぁ。
私の“メス取り式”の前立ちをしてくれた恩師です。
震える手に「しっかりせい!」と叱咤してくれました。
最後にお話ししたのは、昨年の5月頃でしたか。電話でしたが、他愛もない会話でご体調を探ったのが最後でした。
今思えば、もう少し話をしたかったです。 ただ、体調が悪いかも、と思うと距離を探ってしまって、お声掛けに躊躇してしまいました。
遺影は穏やかな良いお顔でした。
生前、菩提寺の住職に、死を前にざわつく心を吐露されていたそうです。幾多の死を見送られた方なのに、ご自身の死は受け入れ難いものだったのが伺われます。
喪主の奥様のご挨拶。
「主人はさぞ無念だったと思います。」 そうかぁ、“無念”だったのかぁ。
でも、私が新人だった頃、40代前半だったのでしょうが、バリバリに手術をされて、大活躍でした。患者さまやそのご家族にもとてもお優しい言葉をかけられていました。その技術、人柄から、全ての患者さまから絶大な信頼を置かれていました。昼夜休日たがわずずっと病院におられ、病棟におられないときにも、必ず教授室で執筆されていました。 訪ねていくとコーヒーを出してくださって、色々なことをお話しさせていただきました。
お子様も後を追い、医師となられ、多くの弟子を育て、私の眼には、“十二分に充実した人生だったことでしょう。思い残されることはないでしょう。” という人生だと思っておりました。それだけに奥様の言葉がとても意外に聞こえました。
もっと生きて、医療に貢献されたかったのですね。
先生、先生は男として十分な人生を生き抜かれたと思います。私からすると羨ましい人生を送られたと思います。先生の遺志を継ぐ弟子がここにたくさん残っています。ご苦労様でした。ありがとうございました。そして、さようなら。合掌。