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ツールやコミュニケーション能力を最重要視する危険な風潮

2015年02月22日 | 技術関連
 ソニーが分社化を推進し、赤字部門のみならず黒字部門も切り離して、経費節減と意思決定の迅速化を進めるという記事を読んだ。この記事だけでは、ソニーの真意はわからないが、少なくても記事の筆者は何も理解ていないと見える。
 前の記事で「正しい判断をできないリーダーが間違った方向へ導く」と書いた。この「正しい判断」こそが重要であり、意思決定の迅速さや経費節減は企業の生き残りや再生ための優先項目ではない。いくら意思決定を迅速化して、情報収集と決定事項の伝達をスピーディにしても、その決定が間違ってれば何にもならない。
「意思決定の迅速化」というツールを重要視して、ビジネス内容の充実化を忘れているのではないだろうか?

 まさか大企業であるソニーがこんなアホな方針を進めるとは思えないので、「意思決定の迅速化」は基本方針に付随する改革の一部と推察している。重要なのは企業が成功する「正しい判断」であり、「経費節減」や「意思決定の迅速化」はあくまで補助ツールである。そのことを取り違えると、再生どころか消滅の危機に瀕するだろう。

 同様に企業が求める「コミュニケーション」「人間力」もそれだけを重要視する傾向は危険だと言わざるを得ない。いくらコミュニケーション力が高くても、すぐに休んだりさぼったりする人材では使い物にならない人材もバランスが大事であり、結果を得ることが企業にとって重要なのである。

 そういう意味では今苦しんでる企業は、ツールや一部の流言に騙されておかしな方向に進んでいるのではないだろうか。



道路の老朽化対策の本格実施に関する提言

2014年04月17日 | 技術関連
国土交通省の社会資本整備審議会というところが道路構造物の老朽化への対策が不十分であり、本格的に対策を行う最後のタイミングであるとの提言を発表した。
以下はその提言のリンク(国土交通省サイト)である。
http://www.mlit.go.jp/road/road_fr4_000029.html

内容的には特に目新しいところは無く、自分のような構造物の技術者であれば数年前から明確に憂慮し、議論してきた内容とほぼ一緒といえる。
要約すると、

社会資本ストックの老朽化は加速し、今すぐに大規模な予算をもって補修・更新の整備に取り掛からないと大災害が発生する恐れがある。
しかし、特に小規模な地方自治体の技術者不足、認識不足、予算不足は深刻であり、危険なまま放置されている。
予算を増やし、メンテナンスのシステム化を推進していかなければならない。

といった内容だ。
私の所属する会社はメンテナンス業務の割合が大幅に増え続けている。しかし、実際に業務をこなしている人材は知識・技術力が乏しく、しかもただ仕事としてこなしてるだけなのだ。
国や町の安全なんて漠然すぎて頭に無く、ただ金を稼げればいいといった意識・資質の低さが目立っている。
過去の設計例にならって莫大な費用のかかる部材の交換を提案したり、メンテナンスのための仮設備の設置が損傷を生むような構造にしたりと、技術者が成熟していないのが現状だ。

地方自治体のみならず建設業界全体の技術者不足は深刻なのである。
現状を変えていくのは大変であり、いま莫大な予算が付いたとしても適切ではない補修設計や施工が増え、投資が無駄になったり最悪の場合損傷が悪化し危険性が増す恐れがある。
予算と技術者のバランスをとりつつ、官と民の双方の人材の育成が再優先課題だと考える。

とんとんみずき橋にみる技術屋と技術者

2014年03月28日 | 技術関連
朝の情報番組で日本一の木橋である「とんとんみずき橋」(千葉県野田市)の現状について報道していた。
施主の説明は25年はメンテナンスフリーということだったが、わずか10年で通行禁止になり、その後修復不能(コスト・落橋リスク)で橋体がもうすでに撤去されている。
なぜこのような事態になったのか?
それは最終的な判断をした技術者が無能だったのだろう。
構造計算は問題ないと思う。材料もおそらくデータ的には耐久性が確保されていたのだろう。そして使用環境も大きなくくりでは影響を考慮していただろう。
しかし、これはそれぞれバラバラな会社の技術者たちが検討している場合が多い。そしてこれらの検討をまとめるのが設計者(会社)だ。
総合的な観点に基づいた判断ができなっかたのが原因と思われる。
「部材の組み合わせで強度や耐震性に問題は無い」
「この使用条件では材料の耐久性は大丈夫」
「この土地の環境条件では急激な劣化に至らない」
これらを組み合わせて考慮しなければならないところを、各々の検討データだけで判断したのではないだろうか。
結果的に、構造的に常時湿潤状態な箇所があり、局部的に非常に腐りやすくなり、そこが耐久性に大きな影響を及ぼした。

この総合的な判断の技術者の能力が足りない場合が非常に多いと感じる。
私の職場も例外ではない。技術力が乏しいのだ。
わからないことは、メーカーやその分野の専門家にすぐ聞いて丸投げする。
知識が無いからその結果がほかにどのように絡んでくるのか想像もできない。

技術があるように見せかけて金を稼ぐ「技術屋」が増え、社会のために努力する「技術者」が激減した結果である。