宇宙戦艦ヤマト2202外伝
ー第八番浮遊大陸戦線ー
第五話(最終話①)
ー第八番浮遊大陸宙域圏ー
地球から約26.000光年、銀河中心部付近。
この宙域にガミラス・地球から「浮遊大陸エリア」と呼ばれる空間エリアがある。
このエリアを帝星ガトランティスが占領して、十三日が過ぎた。
十三日前、ここに浮遊する大陸にガミラスの調査団が、降り立ち"アケーリアスの遺産"を発掘した事から、この紛争は始まりを告げた。
丁度そのころ銀河系にガトランティスのテレザート星、調査の部隊が進軍、偶然にもガミラス調査団の超空間通信を傍受、それを受けた大帝ズォーダーは、テレザート星調査を別動部隊に切り替え、浮遊大陸エリアの占領を命じたのだ。
大した武装艦も調査団には随行しておらず、このエリアは僅か60分で制圧された。
そして、この時、緊急超空間通信が発信され、地球圏に滞在するガミラス月面大使館を経由し、地球連邦防衛軍はガミラスからの援軍が到着するまでの間(あいだ)、先発隊として、ガミラスの生存者の救出とエリア奪還を依頼された。
その間(かん)にもガミラス独自で幾度か駐留艦隊を派遣しているが、返り討ちにあっている。
連邦防衛軍上層部は新たに設立された地球初の無人艦隊の実戦データーを収集するチャンスと捉え、先頃、完成したばかりの戦略・戦闘指揮艦紀伊を旗艦とした無人艦隊を派遣した。
◆◆◆◆
火星アステロイドエリアでガトランティス駆逐艦と遭遇した紀伊は、五時間後、この浮遊大陸エリア外縁部に到達した。
「艦長。全艦に通達。」
「ここから先は激戦区である事を肝に命じておけ。」
「我がコスモ零隊、第一迎撃隊は紀伊上空、右翼を。第二迎撃隊は左翼をカバーせよ。」
「第三迎撃隊は艦底部無人艦隊管制艦橋、直下をカバーせよ!」
「第四迎撃隊は直ちに発艦、敵ガトランティスの動向をいち早くキャッチせよ!」
「艦隊、十文字隊形!」
「全艦、第一級戦闘配置!」
「第二戦闘速度で前進せよ!」
「また、敵ガトランティス占領軍の規模が未知である、対空監視及び防御を"厳"とせよ!」
「諸君らの活躍に期待する!以上。」
土方による命令が下された_。
イメージ曲:宇宙戦艦ヤマトより。
数千年も前に爆発した時に発生したガス雲が、未だに晴れていない。
浮遊大陸へ近づけば近づくほどに、濃く成ってゆく。
ヤマトよりも強化され、濃密度の雲海にも対応出来るとされた紀伊のメインコスモレーダーであったが、艦(ふね)が、進むにつれ、効きが悪く成って行った。
シミュレーションでは優秀な成績を修めたトップクラスのクルーたちに不安と焦りが、滲(にじ)み出ていた。
実戦経験の乏しさと練度の低さが浮き彫りである。
そんな彼らクルーを上手く使えるかが、土方に重くのし掛かる。
ガス雲の海に消えたコスモ零、隊四迎撃隊から報告が飛び込んだ。
「此方、第四迎撃隊隊長:篠原!」
「ガス雲を抜けた!レーダーはそれでも余り役に立たない!」
「目視によるガトランティス艦隊の座標を……$℃@¥#¢……」
突如、第四迎撃隊隊長の篠原からの通信が途絶した。
しかし、僅かなからではあるが、紀伊のメインコスモレーダーには、篠原隊が点滅している。
全機が無事なのかは不明であったが、健在である事に、安堵な表情を浮かべるクルーたち。
「通信妨害により、詳しい座標は解りません!」
「うむ。」
「レーダー士。僅かな点滅を目標に設定、航海士にデーターを渡せ。」
土方が命じたその時であった船体が、大きく揺れた。
同時に被弾報告が第一艦橋に届いた。
ざわつく第一艦橋内に土方の激が飛ぶ。
「艦橋組が、うろたえるな!」
「艦(ふね)が沈むぞ!」
そんな事を言われてもと艦長は目線を土方に送った。
だが、土方は次の指示を飛ばした。
「通信士!傍受出来るものは全て拾え!」
「了解!」
「司令!間もなく、篠原機と通信が途絶えた辺りに到達します!」
「うむ。」
「航海士。その空間に出たところで我が紀伊は右90度回頭、無人艦隊戦に移行する!」
「砲雷士!全主砲、左90度旋回、仰角45度、一番から順に撃て!」
「了解。」
「此方、紀伊上空左翼、ガトランティス駆逐艦二隻を捉えた!」
「土方だ!その駆逐艦から放たれた空間魚雷、ミサイルのみを墜せ!」
「右翼は駆逐艦二隻に回り込んで畳み掛けよ!」
「提督!意見具申!」
土方が命令を下す中、艦長が意見具申を申し出たのだ。
それは先行偵察する迎撃隊を引き下げ、新型波動砲によるガトランティス艦隊殲滅をとの具申であった。
「駄目だ!」
「何故です!」
「これ以上の損耗も防げ、尚且つガトランティスを殲滅出来るではありませんか!」
土方の答えは"NO"であった。
「波動砲は使わん!」
「今、ガトランティス艦隊の正確な位置も規模も、未確認の状態なのだ!」
「ましてや、波動砲は"宇宙を切り裂く"可能性を秘めた兵器、闇雲に使う訳には行かん!」
「味方、ドレッド・ノート級、10番、17番艦、爆沈!!」
艦長と艦隊司令である土方と意見が衝突する中、味方の爆沈報告に土方を含めクルーたは度肝を抜かれていた。
「敵は何処からか?」
「左右のコスモ零から報告は?」
「いえ、何もありません!」
「第四迎撃隊!何も捉えて無いのか?」
「此方からは何も捉えてません!」
「……此方の射程圏外から…。」
それは紀伊及びドレッド・ノート級の射程圏外からだった_。
「……古代や真田が話ていた空間跳躍するの兵器か…。」
土方の頭を過る言葉が走馬灯のように甦った。
第六話(最終話②)へ
つづく。
※現在、架空宇宙戦艦ヤマトメカ戦略・戦闘指揮艦 紀伊を1/1000宇宙戦艦ヤマト2199ver.をベースに製作中。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また設定資料から引用。一部、拾い画を使用しています。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また設定資料から引用。一部、拾い画を使用しています。