二次創作
宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー
第十話
大マゼラン銀河サレザー太陽系:第四惑星双子星ガミラスは、消滅した。
奇襲侵攻による惑星内での戦争により、星の寿命を待たずにして、その生涯を閉じた_。
自転軌道上にゆく宛もなく彷徨うように群を連なり、浮遊する流星。
その僅か数十キロ離れた場所に存在するもう一つの双子惑星のイスカンダル。
そのイスカンダルにも、変化が訪れていた_。
双子の惑星の特徴として、お互いの星の重力で引き合いながら自転し、公転軌道を回る。
その一方が突然、消滅した事でバランスが崩れたイスカンダルの自転軌道は、大きくずれてしまったのだ。
その為、異常な程に大気は不安定と成り、また地中内部地殻でも変動が始まっていた。
マグマの大元、マントル膨れ上がり、マグマが溢れ出すのも時間の問題と成った。
身体に感じる地震は、大小合わせて既に百回を超えた。
マントルとは、惑星や衛星などの内部構造で、核(コア)の外側にある層である。
急激な地殻変動、異常気象、イスカンダル星そのものが、狂いはじめた。
休火山や海底火山が一斉に噴火した。
公転軌道上を逆走しはじめるイスカンダル。
その逆走する加速は衰えを知らない。
グングンと加速した。
そんな中、スターシャは女王の間をシェルターモードに切り替え、娘サーシアとイリィを庇うように膝を折り、両腕で包み込んだ。
◆
「タラン参謀。スターシャへホットラインを繋いでくれ。」
「ザーベルク。」
「総統!スターシャ陛下とのホットラインが繋がりません!」
「モニタを見る限り、王都は無事のように見えますが…。」
「…総統!サン・アリアの丘が噴火したようです!!」
「火砕流が発生したと思われます!」
「スターシャとのホットラインはまだ、繋がらないのか!」
「ダメです!!繋がりません!!」
「……タラン参謀!我がデスラーズ以外はイスカンダル星上空に待機、私はスターシャ救出に向かう!」
「デスラーズをイスカンダルに降ろせ!」
「総統!お待ち下さい!」
「イスカンダルの北極側から大量のマグマが爆発、噴出しました!」
「イスカンダルの加速、更に上昇!!」
「今、イスカンダルにも降りるのは危険過ぎます!!」
慌ただしく、エリア監視オペレーターが告げて来る。
「イスカンダルの加速、亜高速に到達!!」
「ジャンプするのも時間の問題です!!」
「ぐっ!」
「タラン参謀!全艦艇に通達!」
「ジャンプ準備だ!」
「エリア監視オペレーター!イスカンダルがジャンプしたら予測転送位置を全艦艇に伝えよ!」
「ザーベルク!!」
「……スターシャ…。」
「イスカンダル!ジャンプしました!」
「転送位置を計測開始!」
イスカンダルは、ワープしてしまう。
ー天の川銀河オクトパス星団宙域ー
イスカンダルが公転軌道を外れ、ワープ。ワープアウト同時に「マゼラニックストーム」に吸い寄せられ、加速、超長距離ワープした。
その超長距離ワープが開けた反動でイスカンダルは一時的に暴走前と変わらぬ静けさを取り戻していた_。
◆
「古代、島、疲れているところすまんな。」
「これを一刻も早く見せたくな。」
「これは十日前、天の川銀河、オクトパス星団宙域で観測されたものなのだが。」
「オクトパス星団?」
島が問う。
「ああ。オクトパス星団だ。」
「イスカンダル航海時、日程から云っても、ここを本来は通過するはずだったのだが、リスクが高過ぎると沖田艦長の意見を重視し、迂回した為、今までの航海図からは削除していた宙域だ。」
「このオクトパス星団が、どうしたと云うのですか?」
島に続き、古代も問う。
「問題は、このオクトパス星団そのものではなく、その10光年先のものだ。」
「その部分を拡大したのが、コレだ!」
真田は端末機を「カタカタ」と叩き、拡大映像を観せた。
「……これは、これはイスカンダル星じゃないか!」
思わず、古代は声のトーンを上げてしまう。
「古代もそう見えるか。」
「最初は、自分の目を疑ったよ。」
「でも、これは、この惑星は間違いなくイスカンダルだ。」
「イスカンダルへ赴いた者なら分かる。」
「ど、どういう事です。真田さん。」
「はっきりした事は、イスカンダルはワープして、この宙域にワープアウトしたという事だけだ。」
「古代、俺はこの事をはっきりさせる為、ここへ行くべきだと思うが。」
「それと、今、調査している「あるもの」との関連があると確信している。」
「あるもの?」
「ああ。」
真田は白いカーテンで仕切った奥を指、指した。
◆
【マゼラニックストーム】
マゼラニックストリーム Magellanic Stream は大小マゼラン雲の近くに広がる中性水素(HI)のガスである。
1972年にWamnierとWrixonが発見し、1974年にはMathewsonらがその成因にマゼラン雲との関係を見出した。
これに先立ち1965年には異常な視線速度をもつガス星雲がこの領域に存在することが知られていたが、ガスの位置と広がりは正確に把握できず、マゼラン雲との関係も不明であった。
その後の観測でわかったガスは大変長く(地上観測で100度ほどあるらしい)、その形状は銀河系などと比較するとかなり直線状である。
この領域としては視線速度差が異常に大きく、周辺銀河の視線速度パターンに同期するものではない。
高速度雲(HVC)としては古典的な例である。
※Wikipediaより。
第十一話へ
つづく。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。
つづく。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。