鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー第九話

2019-11-23 12:08:00 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作



二次創作
宇宙戦艦ヤマトー新たなる旅立ちー

第九話




「メルダ大尉。貴女なら理解出来るはず。」
「何故、貴女にシュヘラザードを貸さないのか。」

メルダには分かっていた。
ヤマトは、地球人たちはスターシャ陛下との約束を反故にし、波動砲を量産してしまった。
だから、自分を地球へ行かせたくないのだと。
行けば、必ずヤマトをはじめとする波動砲搭載艦艇を連れ戻る事をスターシャ陛下は懸念していると。

「それでも私はガミラスを救いたい。」
「例え、ヤマトが波動砲を使ったとしても、ガミラスが救われるなら…望みをヤマトに託したい。」

スターシャはメルダをじっと見つめるが、首を縦に振る事はなかった。

「メルダ。私は地球人に私と同じ罪を犯して欲しくないのです。」
スターシャは、そう切り出し、話はじめた。



その昔、私が「スターシャ」を襲名、代を即位する以前、イスカンダルは大帝国を築き、その頂点に君臨していました。
私の二代、先代にあたるスターシャは、それを放棄すると宣言なさったのです。
突然の皇帝の座を降り、帝国を解体、富を築き上げた一握りのイスカンダルの民たちの怒りは、時のスターシャに向けられた。
そして、それは暴動へと発展し、内戦へと拡大した。
「スターシャを女王から引きずり下ろせ。」と息巻く反スターシャ派と「スターシャ陛下を御守りせよ。」と掲げるスターシャ派とイスカンダルは二分、内戦へと突入した。
膠着状態がつづく中、私の母が産まれた。
反スターシャ派は、時のスターシャを倒しても、産まれて来た子が、女王の座を取り返すかも知れないと、産まれたばかりの子を暗殺しようと企てたの。
その事を知った二代前のスターシャは、長引く内戦も終わらせ、我が子も全てをイスカンダルそのものを棄てる覚悟を決めた。
そして今でも、この王都イスク・サン・アリアの地下深くに眠る「ハイペノン=重核子ミサイル」を起動させた。
だけど、二代前のスターシャと母は死ぬ事を許されなかった。







「貴女方は罪を償うまで死なせない。」と、女神テレサによって生かされたの。
女神テレサは、こう告げた。

「貴女方に今、死を与える事は褒美を取らせるようなもの。」
「貴女方には罰を与える。」
「イスカンダルの民たちの供養と、この宇宙に存在する救済を求める、知的生命体の救済。」
「これらを成し遂げた時、貴女方を無罪放免とします。」
「私はテレザートのテレサ。」
「無限に拡がる大宇宙の平和を願い、悪きしものが芽吹かぬよう、アクエリアスの神から仰せ使った使者。」

そして、そのテレサから手渡された"波動のエレメント"コスモリバースの元と成るもの。
そこまで話た時だった、五歳に成る娘サーシアが顔を出した。

「あっ。メルダ。」
「また遊びに来たの?」

「サーシア様、お久しゅうございます。」

「サーシア。お客様の前です。」
「ユリーシャは、どうしたのです?」

「私なら此処に居ます。」ユリーシャは円柱の影から姿を表した。



「ユリーシャ、貴女がついていながら…。」
スターシャの話の腰を折るように娘サーシアが割って入った。

「お姉ぇちゃん、遊ぼう。」
メルダの後ろに隠れるように立つ、十歳に成るイリィを見つけ、歩み寄った。
笑顔を見せるイリィ。

「サーシア。イリィのお姉さんとお部屋へ行きなさい。」

「は~い。お母様。」
返信をするとイリィの手を取り、自分の部屋へと歩き出した。



「…お姉様は、もう十二分に罪を償ったではありませんか。」
「いずれ、サーシアも代を継ぐ日が来ます。」
「あのサーシアにも、お姉様が歩まれた路を進ませるのですか?」

「それがイスカンダルを背負う者の運命(さだめ)。」
「あの娘(サーシア)も理解する時が来ます。」
「地球の民に引き継ぐ事は出来ない。」
「これはイスカンダルの王家を継ぐ者に課せられた罪。」
「アベルトが、ねじ曲げた解釈で愚行を行ったように地球の民もまた、その路を歩みはじめた。」
「この事がユリーシャ。貴女ならどういう事か分かりますね?」

「救済を求める知的生命体が存在し続ける…。」
「コスモリバース……負のスパイラル……。」

「サーシアやその子が引き継ぐには、重すぎる…。」



「…非情と罵られても、ガミラスの歴史と地球の歴史を終わらせる。そう決めたのです。」

「これでメルダ。貴女もお分かりね。シュヘラザードをお貸し出来ない理由が。」

「……地球も!?」

「そう。地球もです。」
「地球にも既に刺客を送りました。ハイペノン微粒子を持たせてね。」



「…お姉様……。」
呆然と立ち尽くすユリーシャ。
そのユリーシャを横目にメルダが再び口を開いた。



「スターシャ陛下。以前、こう申されましたね。」
「イスカンダルもガミラスも地球も、元々は一つの民だったと。」
「ならば、我々ガミラスも地球も同じ罪人。」
「罪を償う事もまた、我々に課せられたもの。」
「サーシア様、一人に背負わせてはいけない。」
「この真実を私は総統に伝え、地球へ赴きます。」
「こうしている間にも、多くのガミラスの民たちが苦しんで居ます。」
「ご無礼をお許し下さい。」
メルダは深々と頭を下げた。

と、その時であった王都イスク・サン・アリアが大きく揺れた。
同時に雨のように降り注ぐ隕石群。
何事かと大きな窓の外に目を向けた。
イスカンダルの空に映し出されたガミラス星の崩壊。

「お母様~。」と不安げな顔を覗かせるサーシアがイリィと共に駆け寄って来る。

スターシャ、ユリーシャ、メルダそして、サーシア、イリィたちは、言葉を失い立ち尽くすだけだった_。


第十話へ
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。