By - NEWS ONLINE 編集部 公開:2023-08-29 更新:2023-08-29
数量政策学者の高橋洋一
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とジャーナリストの須田慎一郎
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が8月29日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。福島第一原発の処理水の海洋放出に絡む中国からの「嫌がらせ電話」について解説した。
〇処理水放出後の中国からの嫌がらせについて、岸田総理大臣が「遺憾」表明
東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出に絡み、中国から日本国内への嫌がらせ電話が相次いだり、中国国内で日本人学校への投石事件が起きたりしたことについて、日本政府は8月28日、中国側に抗議した。
また、岸田総理大臣は「遺憾だと言わざるを得ない」と表明し、「政府として邦人の安全確保に万全を期す」と強調した。
飯田)外務次官が駐日中国大使を呼び出して抗議するなど、さまざまなチャンネルで対応しています。
〇落ち込む国内経済への国民の不満を福島第一原発の処理水に向ける中国の典型的なやり方
須田)大前提として、いま中国経済は厳しい状況にあります。
経済成長率の予測も非常に低い水準になってきている。
少なくとも中国の国民が満足するような水準ではありません。
飯田)そうですね。
須田)中国共産党に対する信頼も揺らいできますから、「不満の捌け口を海外に向ける」というところで、典型的な扱い方をしています。
飯田)話題を逸らすために。
〇訪中を延期した公明党・山口代表
須田)公明党としては、40年以上かけて中国とパイプをつくってきたわけですから、そこが遮断されてしまったことを考えると、「中国は引かないだろうな」と思います。日本は毅然とした対応を取ったらいいのです。譲歩する必要はありません。
飯田)譲歩する必要はない。
高橋)山口代表は「日本で仕事をしていないではないか」と中国に言われてしまったのではないでしょうか。
「お前の仕事は中国の代弁をきちんとすることだろう」と。
それをやっていなかったと認定されてしまったのかも知れません。
〇失業率に表れている中国経済の落ち込み
高橋)これだけ落ち込んでいると、経済の要因も確かにあると思います。
失業率に表れていますが、酷いです。
飯田)失業率に。
高橋)通常、不動産取り引きが占める割合はGDPの1割程度なのですが、中国の場合、GDPの3割ぐらいを占めています。
投資だから、レバレッジが効く取り引きなのです。
伸びるときはすごく伸ばせるのだけれど、落ち込むときはレバレッジが効いて下がってしまう。
飯田)逆に、2倍~3倍の損になってしまう。
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例えば100万円を証券会社に証拠金として差し入れるとします。
10倍のレバレッジのFX証券会社があり1000万円分のUSD/JPYの買取引きを行ったとします、
ある日急にUSD/JPYが5%下落。
運用額が1000万円⇒950万円に減少。
証拠金から損失分50万円が支払われます。
支払った証拠金ベースでみると▲50%というとんでもない下落を伴います。
更にレバレッジは10倍なので証拠金ベースでは50万円×10倍の500万円分しか取引できませんので、450万円分は強制手仕舞となってしまうのです。
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高橋)また、米誌「ニューズウィーク」が報道していますが、中国の原潜が台湾海峡で大きな事故に見舞われたかも知れないと言われています。
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中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗組員全員死亡説も2023年8月24日(木)エリー・クック
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/395c9f97e2c3e556a1c5bcdcbd815e03
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/395c9f97e2c3e556a1c5bcdcbd815e03
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飯田)そのような未確認情報が入った。
高橋)これは軍事機密だからわからないかも知れませんが、意識を外に向けるには「ちょうどいい時期だ」ということなのかも知れません。
〇中国近海で揚がった魚も国内で売れなくなっている中国 ~対抗措置を取るより様子を見ていた方がいいかも知れない日本
高橋)でも、このロジックで考えると、中国は自分の国でも魚を獲れなくなってしまいますよね。
飯田)実際、中国の水産市場では、中国の近海で揚がった魚も売れなくなっていると報告されています。
高橋)自爆攻撃のようになっています。
自分で「危ない」と言っていたら、塩の買い占めが起こっているらしいですし。
飯田)塩の買い占め。
高橋)自分に跳ね返ってきますよね。
日本は対抗措置を取るより、様子を見ていた方がいいかも知れません。
〇福島第一原発よりも数倍高い濃度のトリチウムを放出している中国原発
~「自分たちの近海で獲れる魚も危ない」と中国国民が考えるのは当然
須田)中国側がトリチウムの数値を含め、どのくらい自国の原発が放射性物質を放出しているのか、モニタリングする場所が約17ヵ所あります。
飯田)中国側がチェックしているところが。
須田)そのうち13ヵ所で福島第一原発の年間の上限を超えているのです。
一部、浙江省の秦山原発では、福島第一原発から出るトリチウム量の年間上限に対し、10倍規模の量を流しています。それを聞くと、「では自分たちの近海で獲れる魚も危ないのではないか」と考えるのは当然です。
飯田)そうなると、地場の産業がまた傷んでしまうことになります。
〇国番号「86」の電話がきたらすぐに切る ~中国からの嫌がらせ電話には国際電話の国番号「86」が明示される
飯田)例えばかつての対日暴動などのときは、政府のコントロールが利いていたなどという話もあるではないですか。
今回に関してはいかがですか? 草の根的に嫌がらせ電話をかけているなどの話も聞きますが。
高橋)「コントロールが利かない」という国ではありません。
飯田)最終的には。
高橋)処罰を受けるから、コントロールは利くでしょう。
飯田)そうすると、あえて黙認しているということですか?
高橋)そうです。遮断することもできますから。
嫌がらせ電話への対策としては、「86」で始まる番号であれば「ガチャン」と切るのです。86は中国の国番号ですから。
飯田)国際電話の国番号が86。
高橋)86がきたら切ればいいだけです。国際電話の場合、通信料金は発信者に掛かるはずなので。
飯田)コレクトコールで取ってしまうと大変ですが。
高橋)コレクトコールだと悲惨です。
86の電話がきたら、話をさせておいて、聞かずに最後はガチャンと切るなど、いろいろ考えたらいいと思います。
〇各国に認定されている日本の原発処理水の海洋放出
飯田)日本としては、いろいろなところに根回しを行い、国際原子力機関(IAEA)のお墨付きも貰っています。
IAEAの調査団のなかには、中国の研究者もいますよね。
そう考えると、日本国内で「説明が足りなかったから中国はこれだけ怒っているのだ」というような発言もありますが、今回は手順を踏んできたところがありますか?
須田)手順は踏んだし、そのように主張しているメディアは、昨年(2022年)の秋にウィーンで開かれたIAEA総会に行くべきだったのです。
そこで取材しましたが、日本のトリチウム放出については、各国に大きく認定されています。
IAEAではそういう議論が進んでいるのです。
そう考えると、中国がやっていることは異常であり、特殊なことだとわかると思います。
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