By - NEWS ONLINE 編集部 公開:2022-03-04 更新:2022-03-09
ニッポン放送「飯田浩司のOK!Cozy up!」(3月4日放送)に慶應義塾大学総合政策学部教授の廣瀬陽子が出演。ロシアのメディア規制について解説した。
〇ロシアのメディア規制
ロシアでプーチン政権批判を恐れず、独立した報道を行って来た
民間ラジオ「モスクワのこだま」の解散が3月3日に決定した。
ロシア検察当局は3月1日、ロシアのウクライナ侵攻に関する「偽情報」を流しているとして、同ラジオの視聴に規制をかけるよう通信監督当局に要請していた。また、同じく規制対象になっていた」
独立系テレビ局「ドシチ」も、3日に放送休止を発表した。
ウクライナ問題は、
ソ連崩壊後のロシアで報道の自由を担って来た人々に相次いで沈黙=報道の自由禁止を強いる事態に発展している。
〇反露にも関わらず、「外国エージェント法」が科されていなかった「モスクワのこだま」「ノーバヤガゼータ」
飯田)「モスクワのこだま」というのは、目立つ存在だったのですか?
廣瀬)かなり目立つ存在でした。
ロシアでは反ロシア的なメディアに対し、次々と「外国エージェント法」という法律で縛りをかけていました。
しかし、「モスクワのこだま」と、去年(2021年)に編集長がノーベル賞を受賞した「ノーバヤガゼータ」の2つだけは、かなり反露であるにも関わらず外国エージェント法が科されていない、唯一の聖域と言いますか、自由な報道ができるメディアだと見られていました。
飯田)プーチン大統領は強権的で、反対言論を潰す形を取っていましたけれども、2つだけ残していたというのは、ガス抜きのような側面があったのですか?
廣瀬)対外的に「自由なメディアもある」というパフォーマンス的なものもあったと考えられています。
飯田)従事している人たちに対して、圧力などはなかったのですか?
廣瀬)「モスクワのこだま」のベネディクトフ編集長とは何度がお会いしたことがあるのですけれども、「圧力はない」と、
「プーチン大統領は自分には何も言えないだろう」
というようなこともおっしゃっていました。
しかし、やはりウクライナ関係になると相当、政権がピリピリしているのだと思います。
〇地方ではプーチン大統領を礼賛する傾向が強い
飯田)情報統制を厳しくして、国民に動揺を与えないようにするということですか?
廣瀬)国民の多くはSNSなどによって実態を知っていると思いますが、
政権基盤の重要な部分である保守派や地方の高齢者などは、何も知らないまま政権の情報を信じていて、プーチン大統領に対する支持も変わっていないように思います。
飯田)日本のメディアでも、サンクトペテルブルクやモスクワなどで、街頭に人が集まってデモを行っている映像を映していますが、あのような反対デモは大都市だけということですか?
廣瀬)そうですね。
地方ですと、「大統領がいるからいまのロシアがある」というような形で、大統領を礼賛する傾向がまだ強いと思います。
〇クリミア併合のときには支持率が80~90%に ~今回の侵攻には国内の反発も強い
飯田)プーチン大統領の任期は、確か2024年までですよね。そこに向けて、今回のウクライナ侵攻が足を引っ張るようなことはないのですか?
廣瀬)最近は比較的支持率が落ちていたので、支持率を上げるために侵攻を行ったというのも、今回の1つの要因になっていると聞いています。
クリミア併合のときには支持率が80~90%と高くなって、しばらくそれが続いたのです。それをまた思い描き、もう1回支持率を上げる狙いもあったと思いますが、今回はそうはならず、ロシア国内でも反発が強く出ています。
飯田)今後、経済制裁などが効いて来ると、どうなるかというところですか?
廣瀬)そうですね。ますます反発が高まる可能性もあります。
国民の生活が厳しくなって行くと思うので、注視が必要です。
https://news.1242.com/article/346899
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