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ウクライナはクルスク電撃侵攻をどのように成功させたのか 現代戦の最前線#2024.08.13#David Hambling#江戸伸禎

2024-08-18 08:49:37 | 連絡
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David Hambling Contributor
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Author of 'Swarm Troopers: How small drones will conquer the world,' following cutting-edge military technology in general and robotic systems in particular. 
New time-travel adventure 'City of Sorcerers' out now in paperback and Kindle.
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翻訳・編集=江戸伸禎
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ウクライナ軍が8月6日に開始したロシア西部クルスク州への電撃的な侵攻はロシアの不意をつき、敵領内深くまで入り込み、州都クルスク市を脅かしている。
不意をつかれたのは西側のアナリストたちも同じだ。
ウクライナはこの攻勢で、ロシアが数カ月かけて獲得している領域よりも広い領域を数日で手中に収めた。
何が起こっているのかを正確に説明するのは難しいが、成功はウクライナ軍が体得した新しい戦法で達成されたようだ。
■第1部:電子電撃戦
ロシアのテレグラムチャンネル「トロイカ」によると、ウクライナ軍は今回、以前に北東部のハルキウ州方面でより小規模なかたちで試していた戦術を用いた。
これについてはOSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストのRoyが取り上げている。
 ウクライナ軍はまず、ロシア側の監視網を張っている航空機型偵察ドローン(無人機)を撃墜し、ロシアの指揮官の目をくらました。
撃墜には、防空レーダーと連携した最新兵器である迎撃FPV(一人称視点)ドローンが使用された可能性がある。 
ロシア側の監視網を一時的に遮断すると、ウクライナ軍は次に短距離のジャマー(電波妨害装置)を前線に持ち込んだ。
ジャマーには電子戦(EW)による偵察活動で収集したデータがプログラムされていた。
 アナリストのWarTranslatedが紹介しているところによると、あるロシア人ブロガーは「(ウクライナ軍は)国境無線通信網で使われている主要周波数とドローン制御用の周波数を特定し、わが方の通信を“クラッシュ”させる強力なジャマーを用意した」と報告している。
ウクライナ軍がこれらの周波数を割り出せたのは、ロシア側がこの方面に高い優先順位を与えておらず、最新の機材を配備していなかったことが一因だろう。
ウクライナの前線では、ジャミングされた周波数を回避するたびに新しいジャマーで対抗されるというふうに、ドローンとジャマーの戦いは絶え間ない更新が求められる軍拡競争の様相を呈している。
この方面のロシア側ドローンは最新のジャマー対策がとられていなかったようだ。
 その結果、目標の探知・識別や、大砲やFPVドローンの誘導に不可欠なドローンが機能しなくなった。
WarTranslatedが引いているロシア人ブロガーによれば、ランセット徘徊弾薬(自爆ドローン)も深刻な影響を受けたとされる。

ドローンはウクライナの戦場で、機甲攻撃を阻止するための主要な兵器にもなっている。
最近の報道によれば、ウクライナ軍によるロシア軍戦車の撃破の3分の2超はドローンによるものになっている。
ロシア軍の装甲車両がウクライナ側の陣地に到達するはるか手前で、FPVドローンによって次々に撃破される様子を捉えた動画もある。

During the last month, the 72nd Mechanized Brigade repelled several mechanized assaults, leading to significant Russian losses.

Vuhledar direction. pic.twitter.com/3SxGw1bdjn

ウクライナ軍はクルスク方面にジャミングリソースを集中させてロシア軍のドローンを無力化し、自軍の機甲部隊が開けた土地を撃破されずに突き抜けられるようにした。

とはいえ、2年かそこらかけて築かれた防衛線に深く身を隠したロシア側部隊に、ウクライナ軍部隊はどのように対処したのだろうか?

■第2部:ドローン電撃戦
トロイカによると、ウクライナ軍は「大群で飛来する高精度FPVドローンの弾幕」で空を埋め尽くした。
アナリストのRoyは、ウクライナ軍がこのところ、ドローンの強力な爆弾で掩蓋(えんがい)や塹壕、地下掩蔽(えんぺい)部を爆撃して開口部をつくり出していることを紹介している。
熟達したドローン操縦士はこうした開口部にFPVドローンを通し、その下にある壕を掃討することができる。

A Ukrainian commander is relieved that state-supplied drone munitions are reaching the front.
He then describes how they create openings in Russian dugouts with FPV-mounted blast munitions, then “you can fly in for a visit” with fragmentation munitions.
1/2 pic.twitter.com/Xbphj45Dgu


— Roy🇨🇦 (@GrandpaRoy2) August 2, 2024


— NOELREPORTS 🇪🇺 🇺🇦 (@NOELreports) July 1, 2024
ウクライナ軍によるクルスク攻勢の戦闘の様子を映した動画に、新型の急降下爆撃ドローンが爆撃を行う様子を捉えたものがあるのは重要かもしれない。
回転翼が4つのクワッドコプター型ドローンによる急降下爆撃はこれまでも目撃されていたが、クルスク攻勢に投入されているのはより航続距離が長く、弾薬が大きい航空機型のようだ。
この戦術は、第二次世界大戦の電撃戦で行われた、急降下爆撃機による地上部隊の近接支援を踏襲したものになっている。

👀 'Stuka' dive bomber UAVs are widely used for the Kursk offensive

Fixed wing UAV have a wider operational range than conventional FPV drones


Video from Russian sources pic.twitter.com/


GBmsWHOYbO— PS01 
△ (@PStyle0ne1) August 7, 2024

トロイカによれば、塹壕が掃討されると、ウクライナ軍の新しい「レンジャー」部隊がドローンのすぐあとを追って素早く移動し、空いた塹壕を占拠・確保していった。
その後、ジャマーがさらに前方に持ち込まれ、次の段階の前進に向けて全体のプロセスが繰り返された。
 
■突かれた脆弱性
ロシアの軍事評論家たちは、ロシア軍に対して国産のVT-40FPVドローンで「空を埋め尽くし」、クルスク侵攻を一掃するよう求めた。
VT-40はロシアの志願兵部隊を前身とするグループ、スドプラトフが、ロシア国防省との契約のもと大量に生産している。
ただ、このドローンをめぐっては、メーカー側による制御信号のアップデートが遅いため、しばらくすると容易にジャミングされるようになるという点が大きな批判を浴びてきた。
今回もまさにそうだったようだ。 

ロシア側も電子戦におけるこうした脆弱性はよく認識していて、光学誘導する最新の半自律型FPVドローンの導入を進めている。
このタイプのドローンでは、オペレーターは遠方から目標をロックオン(自動追尾)し、ジャミングに関係なく狙い続けることができる。
しかし、こうしたドローンはまだ大量になく、クルスク州の防衛線のような優先順位の低い方面には未配備だった可能性が高い。
ジャミング対策の不備は敵側に、ジャミング電撃戦を成功させ、地上部隊が突破口を開くのに十分な時間、上空でドローンが完全な優位性を握る一時的な機会を生み出す。
今後、半自律型や完全自律型のドローン、あるいは光ファイバーケーブルのような耐ジャミング技術を用いたドローンが一般的になれば、空から敵ドローンを一掃するのはそれほど簡単にはいかなくなりそうだ。
 一方で、別のアプローチもあるかもしれない。
上空でドローンの優勢を確保できれば、機動戦はなお可能なようだ。
ジャミングが通用しなくなる可能性がある半面、ドローン同士の格闘戦という、より動的な戦い方はますます実行可能なものになっている。
 もともとの電撃戦が敵の航空攻撃で阻止されないように制空権の確保を必要としたように、現代の電撃戦でも、敵の偵察ドローンや攻撃ドローンをつぶす戦闘ドローン群からなるドローン航空戦力が必須になるかもしれない。
ドローン部隊が敵ドローンを抑止できるかどうかで、地上攻撃の成否は決まるかもしれない。 
クルスク州の戦線の状況は依然としてきわめて流動的だ。
ウクライナの情報筋は作戦の詳細は明かしていない。
ただ、一連の行動が終わったあかつきには、戦争の歴史で新たな章が記されたことが明らかになるかもしれない。

(forbes.com 原文)
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