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やまがみ・しんご 前駐オーストラリア特命全権大使。
1961年東京都生まれ。64歳
東京大学法学部卒業後、84年外務省入省。
コロンビア大学大学院留学を経て、2000年ジュネーブ国際機関日本政府代表部参事官、07年茨城県警本部警務部長を経て、09年在英国日本国大使館政務担当公使、日本国際問題研究所所長代行、17年国際情報統括官、経済局長などを歴任。
20年オーストラリア日本国特命全権大使に就任。
23年末に退官。
同志社大学特別客員教授(25年4月から)等を務めつつ、外交評論家として活動中。
著書に「南半球便り」「中国『戦狼外交』と闘う」「日本外交の劣化:再生への道」(いずれも文藝春秋社)、「歴史戦と外交戦」(ワニブックス)、「超辛口!『日中外交』」(Hanada新書)がある。
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トランプ米国大統領とゼレンスキー・ウクライナ大統領の相性が良くないのは分かっていた。
トランプが貿易赤字より嫌っているとされる前任者の民主党バイデン大統領。このバイデンと誼を通じて多額の軍事支援を得つつ、ロシア相手の戦争を遂行してきたゼレンスキー。
しかも、昨年の大統領選挙の過程では、ウクライナ側が民主党候補に肩入れしたとして臍を曲げたトランプ陣営。
オバマ政権がウクライナ内政に介入しロシア離れを使嗾したとされてきたことに加えて、という話だ。
トランプの覚えがめでたいわけがない。
戦時大統領たるゼレンスキーがいつもながらの服装で登場するや否や、開口一番「今日はドレス・アップしているな」と痛烈な皮肉をかませたトランプ。
会談の成否を予兆していた。
トランプは、気が向けば非常に社交的な顔を見せる一方、機嫌を損ねれば徹底的に皮肉、当てこすりを言うタイプ。
ゼレンスキーに対する「ドレス・アップ」と、石破総理に対する「ハンサム」「偉大な人々の総理」という言い回しには共通項があると受け止めるべきだろう。
ホワイト・ハウスでのやり取りは、何とも痛ましいものだった。
喜ぶのはプーチンだし、これ程までの「いじめ」は滅多にないとも感じた。
ホワイト・ハウスでのやり取りは、何とも痛ましいものだった。
喜ぶのはプーチンだし、これ程までの「いじめ」は滅多にないとも感じた。
石破総理との首脳会談もそうだったが、メディアに開放する必要などなかった。
トランプ陣営が敢えて見せつけたと言えよう。
「アメリカがベストと考える停戦案を頑なに受け入れないゼレンスキー」という絵柄を米国内に焼き付けようとしたと勘ぐられて仕方ない展開だ。
こんな時、喧嘩両成敗とばかり評論家を論じるのが日本のオールド・メディアの悪弊だ。
大きな問題を指摘しておこう。
大きな問題を指摘しておこう。
①第一に、真の問題は、ホワイト・ハウスでのやりとりにおいてトランプとゼレンスキーのどちらが正しかったか、ではない。
ロシアによるあからさまな国連憲章違反の侵略を踏まえ、これに報酬を与えない形で、かつ、さらなる侵略が無いよう確保しつつ停戦を実現するのが課題だ。
2022年2月の侵略に対して責めを負うべきはプーチンのロシアであって、ゼレンスキーのウクライナではない。
➁第二に、米国によるウクライナ支援への感謝の言葉がないのは非礼だとして、バンス副大統領はゼレンスキー大統領をなじったが、非礼なのはバンスの方だ。
副大統領の分際で他国の大統領に対してカメラの前で説教する非常識こそ責められるべきだ。
米国内の支持者を意識した安っぽい芝居以外の何物でもなかろう。
自国の生存をかけて戦っているウクライナに対する敬意とエールこそ前面に出すべきだった。
➂第三に、戦況が有利に展開しているプーチンを停戦交渉に引き出すためには仕掛けが必要だとトランプ陣営が考えたのは理解できる。
だが、ゼレンスキーを「侵略者」と呼び、「この戦争はウクライナが始めた」とまで決めつける必要はあったのか?
これでは、台湾はおろか、欧州やアジアの米国の同盟国の信頼が損なわれるばかりだろう。
日米首脳会談でウクライナの「ウ」の字さえ言わなかったと伝えられている石破首相。
今日のウクライナは

明日の東アジア。ダンマリを決め込んでいる場合ではない。


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