<「孫子」は、二千数百年前の弱肉強食の時代に生きた孫武が書いた兵法書「兵は詭道なり」=国内の実態を外国に掴ませず、時には小さく、時には大きく見せることを実行か、https://tactical-media.net/兵は詭道なり/>
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2020.2.23(日)
新型コロナウイルスは生物兵器になり得るのか?
致死率が低くても敵の戦力を低下させることは可能
2020.2.23(日) 数多 久遠
数多 久遠のプロフィール
(あまた・くおん)
小説家、軍事評論家。元幹部自衛官。著書に『黎明の笛』『深淵の覇者 新鋭潜水艦こくりゅう「尖閣」出撃』『半島へ 陸自山岳連隊』『北方領土秘録 外交という名の戦場』などがある。
小説家、軍事評論家。元幹部自衛官。著書に『黎明の笛』『深淵の覇者 新鋭潜水艦こくりゅう「尖閣」出撃』『半島へ 陸自山岳連隊』『北方領土秘録 外交という名の戦場』などがある。
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新型コロナウイルスが生物兵器であることに否定的な論拠は、その致死率が兵器として考えた場合に低いという点にあります。
生物兵器として警戒されている病原体、2001年に発生したアメリカ炭疽菌事件で使用された炭疽菌や、エボラ出血熱、それに以前、筆者が小説(『半島へ 陸自山岳連隊』祥伝社)で取り上げた天然痘などは、致死率が50%を超える可能性もある極めて毒性の強い病原体です。
致死率は、母数となる罹患者の認定や医療レベルによる救命率によって変動します。また中国政府が発表する数値に信用が乏しいため、新型コロナウイルスは、現時点で言われている2%程度という数字よりも高い致死率である可能性が高そうです。とはいえ、それでも上記の警戒すべき病原体と比べれば、かなり低い致死率であることは間違いなさそうです。従来の考え方に則れば、致死率の低い新型コロナは生物兵器とは考え難い、と言わざるをえません。ー略ー
以上のことから、新型コロナウイルスの生物兵器としての可能性については以下のように整理できるかと思います。
(1)その性能においては、従来型の戦争で使用することを考えた生物兵器だとは考え難い。
(2)ただし、平時を含めて対象国の政経中枢で使用することにより、対象国の国力疲弊を目的とする(国力漸減型)、テロ的な使用をされる生物兵器にはなり得る。
この場合、研究場所が感染源となってしまう可能性もありますが、逆に攻撃対象国内でこうした意図的な病原体の発生を期待して、動物を感染させることはできるでしょう。たとえば鳥インフルエンザウイルスを、攻撃対象国の養鶏場に意図的に散布することは、極めて容易で効果的だろうと思われます。また、自然に生息しているネズミやコウモリに、元となる病原体入りの飼料を与え、意図的な繁殖と変異病原体の発生を期待することも可能です。人への感染を作為するには、現地の人間が食べるなど何らかの接触をする動物である必要がありますが、ペットともなるハムスターが宿主になれそうなウイルスであれば、日本などでは使える手法かもしれません。ー略ー
このように考えると、極端なことを言えば、毎年のようにアメリカで季節性インフルエンザが流行するのは、誰かが意図的に流行を作り出している可能性もあり得るわけです。
以上のように、新型コロナウイルスは、従来考えられてきた“戦場で使用される生物兵器”とは考えられませんが、攻撃対象国の経済・国力にダメージを与えることを目的とするテロ的兵器としては、可能性を排除することはできないでしょう。
今後、世界各国は、そうした国力漸減型生物兵器を開発・使用しようとする国家やテロ組織が出てくることを警戒する必要に迫られます。もちろん日本も、厚生労働省はもとより、自衛隊の防疫能力の強化が必要でしょう。医療従事者だけでなく、防疫の知識と装備を持った”動ける人間”を多数準備しておくことが求められます。
幸か不幸か、自衛隊は、鳥インフルのような人には脅威の低い病原体で経験を積んでいたため、今回、それほど混乱もなく対応しているようですが、外には聞こえてきていない問題も発生しているでしょう。
新型コロナウイルスとの戦いは、これからが本番だと思いますが、まだ準備のできていない部隊にも早急に教育を施すなどして、緊急の体制強化が必要です。

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