<マスク、クルマの心臓部、トイレや食洗機、カメラ・・・ がゆでガエル化か>
<保健医療福祉行政の自前主義否定、外注主義の一本足打法が保健医療福祉の最前線に感染危機を拡大しているか>
<保健医療福祉=ライフライン=製品は、国内供給率160%、国内消費率100%、ブラックボックスレベル設計技術商品海外輸出比率60%、一極依存ゆでガエル化回避(注1)、リスク分散多極メッシュ輸出NW、海外貿易収支黒字化寄与、国家財政黒字化寄与、福祉予算財源増加、消費税軽減、貧富格差解消、議会制自由民主主義議員内閣制日本の継続的な繁栄に寄与か>
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窪田 順生(くぼた まさき、1974年[1] - 46歳)は、日本のノンフィクションライター。
週刊ダイヤモンド、週刊現代、週刊ポスト、週刊新潮などに寄稿する[5]。企業の危機管理・メディア対応のコンサルティングもしている[5]。
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ご存じのように、中国で新型コロナの感染が拡大した2月、日本国内の大手メーカーの自動車工場が稼働を停止した。実は我々が「国産車」と呼んでいるクルマの部品の多くは中国産なのだ。
今年2月21日の日本経済新聞の「車部品輸入の3割 中国製 エンジン周辺の中核も」という記事によれば、ドアの開閉部分やブレーキペダルから、エンジンや変速機といったクルマの心臓部にまで、「MADE IN CHINA」に依存しており、日本の輸入部品のうち37%を中国に依存している。
この「中国からの部品供給が止まると、モノがつくれない」のは自動車だけにとどまらない。中国から部品が入ってこないことで、パナソニックはトイレや食洗機の新規受注を一時停止したほか、3月に発売を予定していたロボット掃除機の新機種発売も4月にずらした。キヤノンも部品調達が不安定なことを理由に、3月国内のカメラ生産を一時休止している。
日本の家電やらを外国人に見せびらかせて、「みたか! これがメイドインジャパンの底力だ!」などと自慢するテレビ番組があったが、厳密に言うと、これはかなり盛った決めゼリフになる。正しくは、「みたか! これがメイドインチャイナの部品を国内で組み立てたメイドインジャパンの底力だ!」と自慢しなくてはいけないのだ。
では、ここまで深刻な「中国依存」が進行している今の日本で、確実にやってくるコロナの第2波、第3波でマスクパニックにならないためにはどうすべきか。
不織布の生産量をあげて、内製化率を高めることはもちろん大切だが、これまで述べてきたような現実からも、いきなりそちらへシフトチェンジすることは難しい。ならば、これまで通りに中国産の部品や原材料を利用しつつ、東南アジアやその他の国からも調達できるルートを広げていくほうがよほど現実的ではないか。
つまり、中国に偏っているサプライチェーンを危機に対処できるように強化していくのだ。
●なぜ「物流軽視」したのか
このようなサプライチェーンのリスクマネジメントこそが、実はコロナとの「戦争」において最も重要だ。
著名な戦史家、マーチン・ファン・クレフェルトは、『補給戦――何が勝敗を決定するのか』(中央公論新社)の中で、「戦争という仕事の10分の9までは兵站だ」と述べている。
「兵站」とは前線の部隊に食料や武器などを供給する後方部隊のこと、要はサプライチェーンだ。クレフェルトの言葉は「戦争」の本質をついている。日本が先の戦争で負けたのもつきつめていけば、サプライチェーンの敗北だ。
旧日本軍の兵站(へいたん)は馬車が中心で、大量輸送できるトラックが少なくあまり稼働していなかった。結果、最前線の兵士たちに物資が届かなかった。事実、230万人といわれる軍の戦没者の6割以上の140万が「餓死」だったといわれている。
では、なぜ日本はそんな「物流軽視」をしてしまったのかというと、「国産」への強いこだわりが物流構築を妨げたからだ。
陸軍は早くから兵站の自動車輸送化に注目していたが、純国産での自動車開発にこだわった。
戦争が長期化した場合、国内で技術開発ができなければ連合国には勝てない。そのような考えから、自国内ですべて完結できるような自動車工業を育成していた。考え方は素晴らしいが、当時の日本の技術はその理想を実現できなかった。その結果が自動車化の遅れにつながってサプライチェーンの敗北を招いたのである。
つまり、「戦争」というシビアな現実の中で「理想」にこだわり続けたことで、すさまじい数の犠牲者を生んでしまったのだ。
●「物流軽視」は精神主義にもつながりやすい
現在のコロナ戦争にもこれは当てはまる。日本国内ですべてが完結する「国産マスク」が理想だが、現実問題としてそれで1億2000万人の日本人すべてが賄えるわけがない。「国産マスクは安心」「やはり国産じゃないと」という国産至上主義の考え方は、かつての日本の「物流軽視」を連想させる。そして、この「物流軽視」は精神主義にもつながりやすい。
当時、サプライチェーンが分断されて日本中が物資不足に陥っていた際に、日本のリーダーたちに「全国民が一丸となって節約に励み、物資動員に全力を注げ」と連呼していた。マスクが足りていなくても、医療現場が疲弊していても、「みんなががんばれば感染拡大を防げる」という今の薄気味悪いムードと丸かぶりだ。
最前線の兵士たちに物資が届かず餓死したように、最前線の医療従事者にはマスクや防護服などが届かず感染リスクにさらされている。そして、国民にはアベノマスクさえ届かない。サプライチェーンの弱さは、この国が抱えている病のひとつだ。
コロナ危機を乗り切るためにも、今こそ国をあげてサプライチェーンを強化すべきではないか。
(注1)焦点:中国依存のドイツが味わう「ゆでガエル」の恐怖
https://jp.reuters.com/article/germany-china-idJPKBN1HO07I
https://jp.reuters.com/article/germany-china-idJPKBN1HO07I
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