<通勤電車=換気・空調陸上輸送=の三密回避環境「オフピーク=一極集中
乗車回避分散乗車」運用か 京急>
2020/08/27 05:00
< 著者:橋村 季真
東洋経済 記者
三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。
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都心の品川と横浜・三浦半島方面を結ぶ京浜急行電鉄。大手私鉄で最長となる12両編成の列車が本線を時速120kmで走り抜けている。その舞台裏では、信号やポイントを自動システムに頼らず、手作業で切り替えていることで知られている。
途中駅で人身事故などの運行トラブルが発生した場合にも、ベテラン社員が列車を臨機応変に運用する「お家芸」で遅延を最小限にとどめる。新型コロナウイルスの感染拡大で通勤電車の「密」の回避が求められるなか、混雑の低減にこのお家芸が生かされている。
ベテラン社員「運転主任」とは?
京急のお家芸ともいえる手作業による信号・ポイントの切り替えや車両の増結・切り離しを担っているのが「運転主任」の肩書きを持つ社員。品川駅や金沢文庫駅のホーム上で見かける黄色いヘルメットをかぶったベテランたちだ。運転主任は経験が15年以上の運転士の上位職で、信号扱い所でのテコ操作(ポイントや信号の切り替え)やホームへの案内放送、車両運用スケジュールの作成、ホームと車庫線での車両の入れ替えなど、担当業務は多岐にわたる。
同社によると、金沢文庫駅では増結を49本、切り離しを29本、 品川駅では増結を23本、切り離しを18本実施している。増結は約2分、切り離しは約1分で完了する。短期間で済ませることができるのも、信号を手作業で切り替えている京急ならではの技だ。8両側と4両側、2人の運転主任が担当する。
運転主任の経験者は「8両のほうには乗客がいるため、連結の際に衝撃を与えないように気を遣う。逆に弱すぎると連結器が機能しないので力の加減が重要だ」と話す。雨の日はとくに慎重に作業をしているという。
〇通勤・通学客の利用が多い金沢文庫駅(横浜市金沢区)では、毎朝、到着した8両編成の上り快特・特急に4両編成を増結。輸送力を1.5倍にして横浜・品川方面へ向かわせる。
増結した4両は品川駅の到着後に切り離し、残りの8両が相互直通運転先の都営浅草線に乗り入れていく。途中の横浜駅などで上り列車を待っていると、「前4両は品川止まりです」と注意喚起のアナウンスが流れている。平日朝の金沢文庫駅での増結や、品川駅での切り離しの作業は京急ユーザーであれば見慣れた日常の光景だ。
〇品川駅と金沢文庫駅の役割は夕方以降の帰宅ラッシュ時間帯になると逆になる。横浜方面へ向かう下り列車の場合、品川駅に都営線からの列車が到着すると、後ろに空の4両を手早くつなげて出発する。増結車は金沢文庫駅で切り離す。ただし、金沢文庫駅でも帰宅ラッシュの反対方向である、品川方面の上り列車(8両)に4両を増結する列車がある。これは品川駅から12両の下り列車として折り返してくるために走らせている。
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