2011年6月から、ベルギー北部アントワープとオランダ・アムステルダム間の高速鉄道の上に、長さ約 3.4km、幅14.7m、面積5万㎡の屋根に、1万6千枚、9列の太陽光発電パネルを設置した「ソーラートンネル」 (ベルギーソーラートンネル)は、年間 330万kWh/年(約950世帯分の年間使用 電力量3474kWh/世帯)の発電電力量を 高速列車の動力や照明、信号、駅の空 調などに使っていると言われています。 ソーラートンネル区間外は通常の電源を 使 い ま す(http://www.asahi.com/eco/ TKY201107130233.html、http://www. engadget.com/2011/06/07/europes-firstsolar-powered-train-tunnel-goes-live-onbelgian-h/)。
ベルギーソーラートンネルプロジェクト を 主 導 す る、再 生 エ ネ ル ギ ー 会 社 Enfinityによると「ソーラートンネルプロ ジェクト費用は約£14 million(129.4円/ ポンド×14million=18.1億円)、また、ベ ルギー政府の標準的なFeed-In Tariff (FIT) (固定価格買い取り制度)により、 ソーラートンネルプロジェクトの販売受け取り価格は€350 per MWh (116円/ユーロ×350ユーロ=4万円/ MWh=40円 /kWh)」で あ る こ と が 述 べ ら れ て い ま す(http://www.theecologist.org/green_green_living/ out_and_about/932947/the_solar_tunnel_a_greener_future_for_our_railways.html
参照)。ベルギーソーラートンネルプロジェクトにおける年間売電収入額は1.3億円/年(=330万kWh×40円/ kWh)となり、総事業費(億円)対年間売電収入額(億円/年)比は14年(=18.1億円÷1.3億円/年)と試算 されます。
札幌市における、リチウムイオンバッテリー駆動式・架線レス低床路面電車の走行実験成果とその後の 研究開発実用化成果 (http://www.h2.dion.ne.jp/~syuchan/slrt/slrt_opinion_2007-01.html、http://bunken. rtri.or.jp/PDF/cdroms1/0004/2009/0004004941.pdf参照)を生かす、三陸沿岸の鉄道ソーラートンネルとバッ テリートラムイメージ例を図10に示します。三陸沿岸の鉄道ソーラートンネルは、三陸沿岸観光資源の一つである景観を生かす必要がありま す。トンネルから出た電車はバーテ リー駆動走行することにより、乗客 は架線・支柱等の影響を受けずに、 三陸沿岸の四季折々の開けた景色 を楽しむことが期待できます。被災 したJRの在来線八戸、山田、大船 渡、気仙沼、石巻、仙石、常磐の7 線総路線距離328.6㎞におけるソー ラートンネルの諸元を検討します。 三陸沿岸の鉄道ソーラートンネルの 屋根幅にベルギーソーラートンネル 3列タイプ太陽光発電パネル諸元を 適 用 す る と、屋 根 幅4.9m(= 14.7m÷3)が 得 ら れ ま す。屋 根 幅 4.9mはJR東日本209系電車の全幅 2.95m(http://ja.wikipedia.org/wiki/ JR%E6%9D%B1%E6%97%A5% E6%9C%AC209%E7%B3%BB% E9%9B%BB%E8%BB%8A参照)の 1.6 倍(=4.9m÷2.95m)及び 狭軌幅1.0m(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%AD%E8%BB%8C参照) の4.9倍(=4.9m÷1.0m)です。 被災したJRの在来線八戸、山田、大船渡、気仙沼、石巻、仙石、常磐の7線総路線距離328.6kmの50% に、ベルギーソーラートンネル3列タイプ太陽光発電パネル諸元を適用すると、屋根幅4.9m、屋根長さ 164km(=328㎞×0.5)ソーラートンネル屋根面積80.3万㎡(=4.9m×164,000m)から、発生電力量5,299万 kWh/年(=80.3万㎡×330万kWh/年÷5万㎡)の試算結果が得られます。
電力量料金14円/kWhとすれば (http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/shiryo/ryokin.pdf#search='http:// www.enecho.meti.go.jp/denkihp/shiryo/ryokin.pdf'参照)、年間電力量料金換算額は7.4億円(74,186万円= 5,299万 kWh×14円 /kWh)と な り、鉄 道 線 路 使 用 料 収 入72.12億 円(http://toushi.kankei.me/docs/text/ S0008H5J 参照)の10.3%(=100×7.4÷72.12)に相当します。 所要年間電力量151.0万kWh/年は、長さ約3.4km、幅14.7m、9列の太陽光発電パネル設備のベルギー ソーラートンネルプロジェクト、年間発生電力量330万kWh/年の2.2分の1(=330÷151)です。 三陸鉄道ソーラートンネル屋根幅をベルギーソーラートンネル屋根幅の3分の1とし、屋根幅4.9m(= 14.7÷3)、3列(=9列÷3)のソーラートンネルにすれば、三陸鉄道ソーラートンネル長さは4.6{=(3.4㎞÷ 2.2)×(9列÷3列)}kmになります。総事業費は8.2 億円(=18.1÷2.2)の試算となります。 更 に、長 さ4.6kmの 同 じ 規 格 ソ ー ラ ー ト ン ネ ル を 1 基 増 設 す れ ば、売 電 価 格((http:// www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/kakaku.html参照))に比例した売電収入が得られ、13年(8.2億円÷ (42円/kWh×151万kWh/年))目に総事業費は売電累積収入が同じになり、14年目から売電累積収入は総 事業費を上回ります。
Space Japan Review, No. 81, Oct. Nov. Dec. 2012 / Jan. 2013
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