nanoVNAを使ってみた。 nanoVNA本体では字が小さすぎて老人の目には無理。
そこでnanoVNA-SaverというPCソフトをダウンロードした。 GitHUBというご本家のサイトから最新バージョンのものを無料でダウンロードできる。
解凍すると.exeファイルができるから、nanoVNA本体をUSBケーブルでPCにつないで立ち上げ、.exeをクリックして実行すると、PCに黒い画面が出てからしばらくすると、PCにグラフが表示される。 nanoVNAの方の画面には変化はない。
PCで画面は大きくなるが、画面上の字は・・・やはり・・・小さい。 だが、グラフは見やすい。
Calibration: 較正(こうせい)と言われている。 要は計算する前に計測前状態を初期化しておくことに他ならない。 そうしないとVNA側では、何も繋いでいない状態(Calibration状態)と、アンテナとを繋いだ状態、を区別できず、アンテナだけの数値を計算できない。
この時、記録される初期化状態は、計測前提を作ったうえで、
1.Short状態:+ーがショート(導通)した状態
2.Open(無限大)状態:+-が解放されて導通していない状態
3.Load(50Ω)負荷状態:回路に50Ωの実抵抗を入れた状態
4.CH1のLoad(50Ω)負荷状態:CH1(ポート1)を使う場合
5.Through状態:CH0とCH1をつないだ初期状態
この初期設定のことをCalibrationと言っているようだ。 だから、どういう前提のときのCalibrationなのかを区別できるように、Save、ReCall機能がついている。(5つまで名前をつけてSaveできる、また後で読み込むこともできる)。
次に、測定対象とするアンテナを繋ぐのだが、この時、Calibration時と異なる接続(コネクタやケーブル類のこと)をすると、初期状態と測定状態の前提が狂ってしまう。 だから測定状態と同じ接続状態を作ってからCalibrationをしておかねばならない。
4エネループアンテナにはBNCオスがついているが、nanoVNAのポート側はタイプとサイズが異なり、直接には繋げない。 (SMAのオスネジと同じサイズになっている。)
つなぐためには、別売りの変換用コネクタ、普通サイズのBNCメスとVNAサイズ(SMA)のオスネジの切ってある変換コネクタが必要になるのです。 (AmazonでBMCオス+SMAオスネジ、BNCメス+SMAオスネジの各2個入り計4個で¥1000以下で売ってた)
これです。一番手前のもの;
これを装着したうえでCalibrationを実行しておかねばなりません。 ケーブル側の先端には、nanoVNA付属のオスネジ+オスネジのコネクタを取り付けておきます。 この接続用コネクタのサイズは変換コネクタについているものと同じサイズで同じ材質(真鍮)なので、等価なので、Calibrationとアンテナ接続状態で、接続条件が同じになります。 このCalibrationには、4eleloopという名前をつけて一旦Saveしておきます。 次に同じアンテナの計測をするときにはこれを読み込めば再度Calibrationする必要はありません。
では、Calibration:
1.Short: 接続コネクタ先端にShort端子を付けて実行
2.Open: 接続コネクタ先端にOpen端子を付けて実行
3.Load: 接続先端にLoad端子を付けて実行
この状態でCalibration (4eleloop)をSaveし、そのまま4.の計測に進みます。
4.計測:ケーブル先端の接続コネクタを外し、別売りの変換コネクタとをつないで、BNCメスとアンテナのBNCオスを繋ぎます。
この状態で、PCのVNA-Saverで、Sweep(計測)ボタンをおします。
Sweepボタンを押しました。
結果は、430MHZ~440MHZに渡って、VSWR=1.7くらいでした。
アンテナの調整:
VSWR、あんまりよくないね~、ということで、エレメントを縮めたり、延ばしたりしながら計測を繰り返しました。 エレメントの伸長だけでは、グラフの右端のVSWRが上がったり、左端が上がったり、するだけです。 どのエレメントを弄れば、VSWRのどの部分が上下できるか、ということが分かりました。
そして、最後の調整として、給電部の位置を前後にずらして測定してみたのです。 約20㎜後方、つまり、反射器の方に近づけました。 すると、どうでしょう。 VSWRは全体的平均的に 1.2以下に下がったのです。 ガクンと・・・ほんとか~・・・てな気持ちでした。
結局、エレメント長は参考サイトと同じ長さ、エレメント位置は、今回得た下記の位置になりました。 給電部を前後に移動できるように作っておいてよかったです。 すべてのエレメント位置は、M4ボルトを緩めると、ブーム上で前後に動かせるようにしておいたのです。
計測結果です。 430MHZ帯のいずれの周波数でも同様の安定度を示しています。 下記、nanoVNA-Saver画面を参照。
開始点:430MHZ VSWR=1.14
中間点:435MHZ VSWR=1.16
終了点:440MHZ VSWR=1.15
Smith Chart(丸いグラフ、インピーダンスの位置を表す)も、中央付近の1点=インピーダンスが50Ωとちょっとの位置を示しています。 実抵抗にプラスして誘導性の抵抗値(インピーダンス)がほんのちょっと存在するのでしょう。 これについては、どうにもできないので、このままにしておきます。
以上は4エレループアンテナをハンディー機直結で繋ぎますので、バランは不要ですが、アンテナとハンディー機の間を同軸ケーブルでつなぐ場合は、平衡ー不平衡な電流による抵抗成分(インピーダンス)を低下させるためにバラン(Balance/Unbalance)というコイルを入れたりします。 そういう場合は、そのような接続状態の下でCalibrationをしなければなりません。
このアンテナでは、上記周波数帯以外は使わないので、測定もこの範囲だけにしています。 一般的なホイップアンテナのようなものでは、もっと広い周波数範囲を見ておくべきでしょう。 下記の丸いスミスチャートというグラフでも、インピーダンスはほぼ50Ω(中央の位置)を示しているので、良い状態と言っても良いでしょう。
エレメント長:
下記表の、重なり とは、エレメント保持部で保持部の内部に入る部分の長さです。エレメント露出部の長さは、エレメント長から、重なり長を引くことで計算できます。 15㎜というのは、黒いPOMで作った保持部(単なるΦ4㎜の穴)でΦが15㎜です。 穴の内部でエレメント端が重なるので2倍になります。
放射器の5㎜は、給電部で5㎜だけエレメントを保持部に挿入するようにしてあるからです。 露出長=λ(430MHZの波長)となるように挿入長さも計算して作ってあるのです、Hi。
導波器1: 625㎜ 重なり=15㎜+15㎜ 露出部長さ=595㎜
導波器2: 678㎜ 重なり=15㎜+15㎜ 露出部長さ=648㎜
放射器: 708㎜ 重なり=5㎜+5㎜ 露出部長さ=698㎜=λ)
反射器: 749㎜ 重なり=15㎜+15㎜ 露出部長さ=719㎜
調整後のエレメント間隔:エレメント巾中心からエレメント巾中心まで
導波器1-2間: 220㎜
導波器2-放射器間: 93㎜
放射器ー反射器間: 84㎜
これでしばらく使ってみましょう。 ♪~♪
近場の交信で聞いてみましたら、結構綺麗な音で入ってきます。
ちなみに製作時に参考にした元サイズは下記URLによるものです。