先般お知らせしまたように昨年から本年2月にかけて黒潮の大蛇行と例年にない寒波の影響で和歌山県のサンゴ礁に相当数の被害が見られました。
しかし、過去の平均水温が17度ほどあっても雪の降る日もあれば寒い日が数週間続く日もあるわけで、生き残ったサンゴもあるのでは?という推測もありました。
そこで先日月末に白浜臨海浦のサンゴの様子をこの目で見にいきました。
月末で水温は17度でした。黒潮の流れが正常な年ですとすでに23度ほどあることからまだまだ寒い日が続いているわけです。
臨海浦には各種テーブル、枝、キクメイシ、シコロサンゴなどが定着していますのでどのサンゴが耐性があり、どのサンゴが脆弱なのかアクアリストとして非常に興味がありました。
(低水温に耐え切れず白化したキクメイシとおぼしきサンゴ)
(波打ち際に転がっていたサンゴ。これは死んでいます)
(白化して完全に死んだサンゴ。なにかの感染症を併発したのかも)
(生と死との運命の分かれ道。白いのは死んだサンゴ茶色いのは褐虫藻でなんとか乗り切ったサンゴ)
いつものエントリー場所から見た結果は
(全体)
・全体に干潮時1mぐらいの水深に生息の浅場のサンゴは壊滅状態。
・褐虫藻を豊富に蓄えているサンゴは死をまぬがれた。
・水温があまり変化がなく、干潮時でも2−3mの水深のある箇所のサンゴは死を免れた。
(種類別)
・岩にへばりつくキクメイシ類は全滅状態。
・エダサンゴ類が意外に善戦しており生き残ったものもかなり多い。
・優占種であるクシハダミドリイシ、エンタク、ニホンミドリイシはかなり厳しい。
(その他)
まだ水温が低いのでなんとも言えませんがソラスズメや他の小魚がほとんど見られませんでした。
カサゴ類は散見されました。まさに温帯の海域になってしまった感があります。
(大潮の干潮線からさらに2-3m沈んだところにあるサンゴは水温の変化があまりなく生き伸びた)
(褐虫藻を蓄えたサンゴは寒さを乗り切った可能性が強い)
(エンタクミドリイシ?これもやや深いところにへばりついて生き延びたサンゴ)
(枝サンゴはなぜか死んでいるものが少ないような気がした)
総合的に見ると死んだもの70%生き残ったもの30%ぐらいでしょうか?
一方で臨海浦のとなりにある塔島にはソフトコーラル群がありこちらは低水温に影響を受けず
全て元気に美しい真紅のポリプを伸ばしていました。
(搭島に多く生息するソフトコーラルのオオトゲトサカは低水温でもこのとおり非常に元気)
(オオトゲトサカとハードコーラルのコラボ。ハードコーラルの方もかなり大きくなっている)
ハードコーラルのみで見れば厳しい結果ですがサンゴはハードコーラルのみにあらず
ですのでソフトコーラルもこれから観察が必要です。
ソフトコーラルは低温には強いですが豪雨による海水の比重の変化に弱いのでこれも天候不順で
心配があります。
7月ごろになるともっとはっきりとした結果がでると思いますのでまた行ってみたいと思います。
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