瀬戸内寂聴さん「子供たちにこの国を渡して死ねない」(下)
2014年4月6日 掲載
都知事選ではマイクを握り反原発を訴えた/(C)日刊ゲンダイ
--今も大メディアは安倍政権の批判をしない。瀬戸内さんも含めた文化人の方々が脱原発で訴えても、メディアは大きく報じない。そういう怖さも感じませんか。
本当に大きな新聞はあまり書きませんね。以前、経済産業省前の原発反対のテント村に来てくれと言われて、足が悪かったので、車椅子で行ったことがありました。それまではみんな知らん顔して通っていたけど、私がいると、寂聴さんがいるってなるわけですよね。それまで無関心だった人が原発反対の字を見てくれる。それだけでも役に立ったかなと思ったんですよ。
そうしたら、報道の人が来て、「(こうやって反対していれば)再稼働しないと思いますか」って聞くんです。周りで座っている人は「しないと思う」って言いましたが、私は「するかもしれない」と言ったんです。それじゃあ、なぜ、座っているのか、と聞かれて、「もし再稼働しても歴史に残った時に誰も反対しなかったと思われるのが嫌だ。反対者がいたという証拠で座っている」と言いました。
--そこまでしないと、取材にすら来ない。これだけ地震が多い国なのに、信じられないような世相ですよね。
原発を動かせば、儲かる人がいるんです。その人たちの力が強いから、政府はその人たちと手を結ばざるを得なくなる。
■神も仏もなくて拝金主義
--命より金儲けですね。こうしたモラルダウンはいつからなんでしょうか。今の政治家が劣化したのでしょうか。
前も同じようなところはあったように思いますが、今はちょっとひどいような気がしますね。でも、そんな政治家を選んだのは庶民ですからね。戦争に負けて、日本はもっとひどくなると思ったら、すごい活力でよみがえったでしょ、日本人は。家を建て、着物を買って、その家に飾るものを欲しくなる。全部、お金ですよ。戦後くらい、拝金主義になった時代はないですね。そうやって日本人は戦争の怖さを忘れちゃったんじゃないですかね。全てはお金。そのために目に見えない心とか、神とか仏とかどうでもよくなったんですね。
--そこまでしないと、取材にすら来ない。これだけ地震が多い国なのに、信じられないような世相ですよね。
原発を動かせば、儲かる人がいるんです。その人たちの力が強いから、政府はその人たちと手を結ばざるを得なくなる。
■神も仏もなくて拝金主義
--命より金儲けですね。こうしたモラルダウンはいつからなんでしょうか。今の政治家が劣化したのでしょうか。
前も同じようなところはあったように思いますが、今はちょっとひどいような気がしますね。でも、そんな政治家を選んだのは庶民ですからね。戦争に負けて、日本はもっとひどくなると思ったら、すごい活力でよみがえったでしょ、日本人は。家を建て、着物を買って、その家に飾るものを欲しくなる。全部、お金ですよ。戦後くらい、拝金主義になった時代はないですね。そうやって日本人は戦争の怖さを忘れちゃったんじゃないですかね。全てはお金。そのために目に見えない心とか、神とか仏とかどうでもよくなったんですね。
--これだけ就職難で、正社員になれないのに、若い人にも妙な満足感があるのか、おとなしい。
なんとなく食べられて、昔より豊かに暮らしているでしょ? 国民全体が自分が底辺だと思っていないわけですよ。本当に貧乏で、困っていたら、もっと騒ぐと思う。どこかのどかなんですね。職がないのに。昔は学生が騒ぎましたよね。世界の歴史を見ても、革命を叫ぶのはいつも若い人たちだったんですよ。それが草食系とかいって、女ともできないって、そんなことばっかり。
--なぜ、そうなってしまったんでしょうか?
こっちが聞きたいですが、やっぱり教育でしょうね。その教育にも安倍さんがまた手を出そうとしている。こうして見ていくと、いいことひとつもないですね。私はすぐ死ぬからどうでもいいけど、子供たちにこのまま、この国を渡して死ねないという気持ちです、怖くて、かわいそうで。今の若い人にはしっかりと目覚めて欲しいです。自分のことじゃないみたいな顔をしていちゃダメですよ。
▽せとうち・じゃくちょう 1922年生まれ、91歳。小説家、天台宗の尼僧。東京女子大卒。代表作は「花に問え」(谷崎潤一郎賞)や「場所」(野間文芸賞)、「風景」(泉鏡花文学賞)など。「源氏物語」に関連する著作も多い。2006年文化勲章。2012年5月には経済産業省前で脱原発のハンガーストライキに参加した。
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以上で『日刊ゲンダイ』2014/04/06号からの引用終わり。
Ⅰ.私は平和ボケしていたのかそれとも最早諦め切っていたのか、瀬戸内師ほどの差し迫った危機感を抱いてこの時局を見つめてはいなかったような気がする。言ってみれば「センキョなるもので圧倒的多数を得たのであるから勝手にすれば?」といった程度のスタンスだった。
師の発言でまず驚いたのは安倍ポンの健康を回復させた絶品の妙薬には興奮剤が入っていたのではないかというサジェスチョンである。私はクスリの効用で安倍が下痢の病を克服し、その余勢を駆って息巻いているとは感じていたが、まさかそのクスリが『興奮剤入り』だったなどとは想像するだけの機転は無かった。しかし、成程そういう疑いの眼で見れば、安倍の猪突猛進型の極右路線にも納得が行くのである。興奮剤(師は『覚醒剤』とまでは言わなかったが意味するところは同じだ!)は毎日呑んでいるのだろう。そしてヤクが切れれば安倍は一気に意気消沈してげんなりし、元の木阿弥で奈落の底に落ち込んでしまうのである。本人それがわかっているからこそなお一層右傾化路線を邁進するのではないか。
党内にも党外にも安倍の暴走を止めることが出来る者は一人もいない。
公明党などは、元々日蓮さんが対元寇の関係から『護国仏教』であったことに由来するのだろうか、安倍に対してさえ「オヤビン、どうかあっしを見捨てないで下され!」と必死でしがみついている有様である。維新もみんなも「公明党なんかよりオイラを政権に混ぜてくれ♪」という『すり寄り合戦』に日々励んでいる奴らだ。民主党は既に自公となんら変わらぬ売国奴的な連中の集まりと化していると言っても必ずしも言い過ぎではないだろう。共産党・社民党(旧社会党)などはそもそもが自民と結託して現情勢を招いた張本人だ。
・・・といったところで私が今期待しているのは『支持政党なし』の無党派層で、これが実は現在自民党支持層を10%も上回る最大勢力(?)なのである。w