本家ヤースケ伝

年取ってから困ること、考えること、興味を惹かれること・・の総集編だろうか。

内戦下のイラク。(入門篇)

2006-03-10 11:20:19 | 政治
    イラク陸自、帰国後3人自殺 防衛庁「原因特定できぬ」 2006年 3月10日 (金) 07:42(朝日新聞)

 人道復興支援のためイラクに派遣された陸上自衛隊員のうち、幹部ら3人が帰国後に自殺していたことが分かった。部隊の安全確保の責任者である警備中隊長の経験者も含まれている。防衛庁は「イラク派遣に原因があるのかどうか特定できなかった」としているが、自殺だけでなく強いストレスから職場に順応できなかったり、自殺を図ったりしたケースも報告されている。防衛庁は正確な実態を把握しておらず、隊員のメンタルヘルスの見直しなど対応が急務になりそうだ。

 イラクから帰国した隊員は04年1月の派遣開始以来、8次隊までに約4500人。防衛庁は「プライバシーの関係上、明らかにできない」(人事教育局)と詳細を公表していない。

 関係者によると、3人の自殺者のうち1人は30歳代の元警備中隊長(3佐)で、昨夏、車に練炭を持ち込み一酸化炭素中毒死した。元中隊長は派遣期間中、日本に残した2人の部下が起こした不祥事や交通事故を気にかけ、帰国後も問題の処理に追われていたという。

 警備中隊長の職務は百数十人の警備要員を束ね、指揮官を支える要職。元中隊長の部隊は現地でしばしば危険にさらされ、宿営地がロケット弾などの攻撃を数回受けたほか、市街地を車両で移動中、部下の隊員が米兵から誤射されそうになったこともあった。

 元中隊長は一昨年に帰国後、地方の総監部の訓練幹部に異動。昨年あった日米共同訓練の最中に、「彼ら(米兵)と一緒にいると殺されてしまう」と騒ぎ出したこともあった。知人は「イラクでテロの巻き添えを避けるため、『米軍に近づくな』と言われていたのがトラウマになったのかもしれない」と話す。

 自衛官全体の自殺者は、約24万人のうち04年度は過去最高の94人(0.04%)、今年度は70人(0.03%、1月末現在)。派遣隊員は0.07%と2倍近い。

 派遣隊員の中で自殺未遂で入院したり、不眠症などで職場に復帰できなかったりするケースも報告され、帰国隊員を抱えるある師団では「数十人が似た症状を訴え、2人が職場復帰できていない」(幹部)という。

 複数の症例を診療した医官は「イラクでのストレスだけでなく、帰国後の異動や転勤など急激な環境変化も要因と考えられる」と指摘している。

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 以上引用終わり。

 *今日はイラク問題です。『付け焼刃』そのものですのであちこちに不正確な記述があるかも知れません。御用心下さい。w

 *サダム・フセイン派=バース党の恐怖政治の重しが取れたイラクでは今、シーア派とスンニ派の内戦が勃発して非常に危険な状態であるため、TVなどの論調は「自衛隊は早く逃げ帰って来い」というものが多いようだ。
 私もそう思う。自衛隊は彼の地へ命のやり取りをしに行ったわけではないし、まして死にに行ったわけでもないのだから、何もこんな事態になってまでブッシュに義理立てする必要は無い。
 *シーア派とスンニ派ではどう教義が違うのかわからないが、互いの聖地・聖廟を攻撃し合い、互いを殺し合う事態に至っていることは確かである。
 これもアラブ人とペルシャ人との間の民族対立が基本にあると思った方がわかり易いのかも知れないのだが、ただ、イランがペルシャ人国家で国民の大半がシーア派教徒であるのはいいとして、イラクでもアラブ民族の教義であるスンニ派を信奉する勢力は少数派で、国民の65%はシーア派である上、20%近くが少数民族クルド人だということで、彼らはフセイン時代には虐殺を含めた弾圧を受けていたとなると、話は断然ややこしくなる。そしてかつて政権の中枢には常にスンニ派がいたわけで、今いわゆるスンニ派武装勢力には旧フセイン派バース党も多数参加しており、この他にもビン・ラディンらのイスラム過激派も水を得た魚の如く今や却って公然たる活動基盤を得ているというのだから、これはもうヴェトナムを越えた『泥沼化』そのものであると言って差し支えない。

 「サダムが大量破壊兵器を保持した」というアメリカの対イラク開戦理由は既にデマゴギーであったことが明らかになっているし、ブッシュと彼を取り巻く新保守主義の連中は中東の石油を巡って大きく利害に関与していることは周知の事実である。
 戦後世界は基本的にはアメリカの思うがままに領導されて来た。係る現状を突き崩して行くためには、確かに『国連中心主義』というのも一策かも知れない。
 アメリカ政府が何をやらかしても、その責任を問える国・勢力が一つも無いというのは情けないと私は思うけど・・。

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 ご参考までに:

           《イラン、イラクの国勢》

     イラン                   イラク
     (イラン・イスラム共和国)       (イラク共和国)

首都   テヘラン                  バグダッド
主要民族 ペルシャ人                  アラブ人
言語   ペルシャ語             アラビア語
宗教 イスラム教(シーア派)他   イスラム教(スンニ派、シーア派)
指導者 ホメイニ師~ハタミ師     サダム・フセイン失脚後混迷

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 次はまた一例としてニュースの引用:

  シーア派30人以上が死亡、報復合戦の様相 イラク 2006年02月25日22時44分
(朝日新聞)
 イラク中部のシーア派聖地カルバラなどで25日、シーア派住民への攻撃が起き、シーア派を中心に30人以上の死者が出た。サーマッラのシーア派聖廟(せいびょう)爆破に対する報復としてスンニ派を中心に200人以上が犠牲になった後、スンニ派武装勢力が反撃に出たと見られる。状況は報復合戦の様相を見せ始めた。

 イラク政府は、バグダッドと周辺3州に24日出した昼間の外出禁止令を25日も延長した。カルバラでは外出禁止令が出ておらず、にぎわう市場で25日午前、車が爆発。衛星放送アルジャジーラによると、買い物客ら5人が死亡、35人が負傷した。州当局によると、遠隔操作による仕掛け爆弾で、スンニ派武装勢力によると見られる。

 同放送によると、外出禁止令が出ているディヤラ州の州都バクバでは武装集団がシーア派の民家に押し入り、家族15人を銃殺した。同州はスンニ派が多数だが、シーア派も混住している。

 治安筋によると、バグダッド南部で、焼かれた車両の中から警察の特殊部隊のメンバー14人の遺体が見つかったという。

 イラク内務省は、26日も昼間の車両通行を禁止すると決めた。ただ、この種の抑え込みが利かなくなった場合、スンニ、シーア両派の衝突がさらに激化する可能性が指摘されている。

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 もう一つニュース。

     虐待事件のアブグレイブ刑務所、米軍が閉鎖へ 2006年 3月10日 (金) 11:10(朝日新聞)

 イラク駐留米軍は9日、バグダッド郊外にあるアブグレイブ刑務所を近く閉鎖し、バグダッド市内の新施設にテロ容疑者など収容者約4500人を移送する、と発表した。同刑務所は旧フセイン政権時代、政治犯らが収容された「フセイン独裁体制」の象徴だったが、米軍管理となった政権崩壊後は、米兵による収容者の虐待事件が起き、衝撃的な写真や映像が公開されるなど、「米軍の横暴」の象徴とみなされるようになっていた。

 新しい施設は、バグダッド西部のバグダッド空港近くにある米軍基地キャンプ・クロッパー内に建設中で、2、3カ月中に移送するという。同基地には、フセイン元大統領らも収容されている。

 米軍報道官のジョンソン中佐はAP通信に「アブグレイブは攻撃にさらされ、補給が難しい。(虐待事件という)感情的な理由ではなく、安全確保が、移送の最大の理由だ」と語った。

 アブグレイブ刑務所は米軍とイラク移行政府が共同で管理しており、米軍は全管理権をイラクに返還することになる。ジョンソン中佐は「イラク側も今後、アブグレイブを使わなくなると思う」と述べた。イラクでは、アブグレイブと南部ブッカ収容所を中心に、約1万5000人がテロ容疑などで拘束されている。

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 以上、引用終わり。

 イラン・イラク戦争に関しては:ここ
http://www.special-warfare.net/data_base/101_war_data/mid_east_01/iran_iraq_01.html
 ウイキペディア『バアス党』は:ここ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B9%E5%85%9A
 朝日イラク特集は:ここ
http://www2.asahi.com/special/iraq/
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