悲しみに包まれた松尾愛和さんの告別式/(C)日刊ゲンダイ佐世保殺害 少女もシグナル…父親がすべきだった対応は?
2014年8月2日
長崎・佐世保北高1年の松尾愛和さん(15)を殺害し、逮捕された同級生のA子(16)は、実は幼稚園の頃から問題児として知られていた。
その後も何度も“危険信号”を発していた。県内でも有名な弁護士だった父親が手を差し伸べることはできなかったのか。
「A子ちゃんは幼い頃から水泳にピアノなど、毎日のように習い事に通っていました。幼稚園の時にはお絵描き教室に通っていたんですが、突然わめき出すなど落ち着きがない子で、教室の全員に避けられるようになっていた。当時から浮いた存在だったんです」(母親の知人)
A子は小学生の頃からテストは何でもほぼ満点とズバぬけて優秀だったが、小6の時に同級生の給食に塩素系漂白剤などを入れる“事件”を5回も起こしている。
「地元の教育委員をしていた母親が平謝りしたので公にはなりませんでしたが、A子は、その頃から猫を解剖するという問題行動も起こしていた。昨年秋にがんで亡くなった母親も、かなり悩んでいたそうです」(地元マスコミ関係者)
■高学歴、教育熱心、優秀な兄弟
麻布メンタルクリニックの黒岩貴氏(心理療法士)がこう言う。
「(A子のように)小動物を解剖するという残虐な行為に及んだ小中学生をこれまで20人ほどカウンセリングしましたが、不思議なほど共通しているのが、両親とも高学歴で教育熱心、優秀な兄弟がいること。常に比較され、競争心が強くなりすぎて友達付き合いがうまくできない。親から褒められた経験がないと感じていて、自分は認められていないという自己否定感が強い。そのストレスのはけ口が、自分より弱者に向かいがちです」
A子の父親は早大卒の弁護士、母親は東大卒、5歳上の兄は大学で弁護士を目指している。A子は「自分は検事になって父と兄と戦う」と話していたという。
唯一の友達といえるのが、手にかけた愛和さんだった。当てはまる要素が多すぎる。
「A子は母親の死後、すぐに再婚を決めた父親を金属バットで殴ったそうですが、自分にはいい子でいることを求めたくせに、おまえは何だという怒りが爆発したのでしょう。ここまで来ると、カウンセラーなど専門家を間に入れないと難しい。問題は家族関係にもあるので、本人ひとりだけでなく、家族全員でカウンセリングを受ける覚悟が必要です」(黒岩貴氏=前出)
警察庁キャリアOBはこう言った。
「最近の警察はDVなどにも対応し、記録を残す。家庭内のことに警察が介入する是非はともかく、110番があれば、違った展開になったかもしれません」
A子は「反社会性人格障害」ではないかという指摘もある。A子を診察した医師は事件前の6月、県の児童相談窓口に「このままでは人を殺しかねない」と連絡を入れていたが、A子の名前を伏せていたため放置され、事件は起きた。
父親は娘を持て余していたフシがあるが、愛和さんは不登校だったA子を心配し、「学校に行こう」と、ひとり暮らしのA子のマンションをたびたび訪ねていたという。大人ができたことがもっとあったはずだ。
============
以上引用終わり。
今朝のテレ朝で『反米嫌中の保守派リベラル』を自称するマルチ評論家の宮崎哲弥が、この事件は『防げた』事件であると断定していた。その論拠はと言うと、今の一般メディアの主流と全く同じ論調で「殺害した側の加害少女はシグナルを送っていた」のだから「事件の『前兆』ははっきりとあった」というものである。果たしてそうか。
事件の起きた後になって「実はこうだった・・」と「解説」やら「謎解き」やらを開陳して飯の種にするのは勝手だが、それではと「事前に」事態を察知して公言したりすれば、その論者は「預言者きどり」扱いから更には「奇人・変人」扱いされてしまうのがオチだ。宮崎にしろ評論家連中にしろ、自分がその場にいなかったからこそ「私がいれば事件は防げた」とでも言いたげな「もどき」の言動を思う存分振り撒くことが可能なのであるが、後になってわかったのならそれは「前兆」ではなくまさしく「後の祭り」なのだ。未来が見通せたらそんな楽でつまらないことはない。
2014年8月2日
長崎・佐世保北高1年の松尾愛和さん(15)を殺害し、逮捕された同級生のA子(16)は、実は幼稚園の頃から問題児として知られていた。
その後も何度も“危険信号”を発していた。県内でも有名な弁護士だった父親が手を差し伸べることはできなかったのか。
「A子ちゃんは幼い頃から水泳にピアノなど、毎日のように習い事に通っていました。幼稚園の時にはお絵描き教室に通っていたんですが、突然わめき出すなど落ち着きがない子で、教室の全員に避けられるようになっていた。当時から浮いた存在だったんです」(母親の知人)
A子は小学生の頃からテストは何でもほぼ満点とズバぬけて優秀だったが、小6の時に同級生の給食に塩素系漂白剤などを入れる“事件”を5回も起こしている。
「地元の教育委員をしていた母親が平謝りしたので公にはなりませんでしたが、A子は、その頃から猫を解剖するという問題行動も起こしていた。昨年秋にがんで亡くなった母親も、かなり悩んでいたそうです」(地元マスコミ関係者)
■高学歴、教育熱心、優秀な兄弟
麻布メンタルクリニックの黒岩貴氏(心理療法士)がこう言う。
「(A子のように)小動物を解剖するという残虐な行為に及んだ小中学生をこれまで20人ほどカウンセリングしましたが、不思議なほど共通しているのが、両親とも高学歴で教育熱心、優秀な兄弟がいること。常に比較され、競争心が強くなりすぎて友達付き合いがうまくできない。親から褒められた経験がないと感じていて、自分は認められていないという自己否定感が強い。そのストレスのはけ口が、自分より弱者に向かいがちです」
A子の父親は早大卒の弁護士、母親は東大卒、5歳上の兄は大学で弁護士を目指している。A子は「自分は検事になって父と兄と戦う」と話していたという。
唯一の友達といえるのが、手にかけた愛和さんだった。当てはまる要素が多すぎる。
「A子は母親の死後、すぐに再婚を決めた父親を金属バットで殴ったそうですが、自分にはいい子でいることを求めたくせに、おまえは何だという怒りが爆発したのでしょう。ここまで来ると、カウンセラーなど専門家を間に入れないと難しい。問題は家族関係にもあるので、本人ひとりだけでなく、家族全員でカウンセリングを受ける覚悟が必要です」(黒岩貴氏=前出)
警察庁キャリアOBはこう言った。
「最近の警察はDVなどにも対応し、記録を残す。家庭内のことに警察が介入する是非はともかく、110番があれば、違った展開になったかもしれません」
A子は「反社会性人格障害」ではないかという指摘もある。A子を診察した医師は事件前の6月、県の児童相談窓口に「このままでは人を殺しかねない」と連絡を入れていたが、A子の名前を伏せていたため放置され、事件は起きた。
父親は娘を持て余していたフシがあるが、愛和さんは不登校だったA子を心配し、「学校に行こう」と、ひとり暮らしのA子のマンションをたびたび訪ねていたという。大人ができたことがもっとあったはずだ。
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以上引用終わり。
今朝のテレ朝で『反米嫌中の保守派リベラル』を自称するマルチ評論家の宮崎哲弥が、この事件は『防げた』事件であると断定していた。その論拠はと言うと、今の一般メディアの主流と全く同じ論調で「殺害した側の加害少女はシグナルを送っていた」のだから「事件の『前兆』ははっきりとあった」というものである。果たしてそうか。
事件の起きた後になって「実はこうだった・・」と「解説」やら「謎解き」やらを開陳して飯の種にするのは勝手だが、それではと「事前に」事態を察知して公言したりすれば、その論者は「預言者きどり」扱いから更には「奇人・変人」扱いされてしまうのがオチだ。宮崎にしろ評論家連中にしろ、自分がその場にいなかったからこそ「私がいれば事件は防げた」とでも言いたげな「もどき」の言動を思う存分振り撒くことが可能なのであるが、後になってわかったのならそれは「前兆」ではなくまさしく「後の祭り」なのだ。未来が見通せたらそんな楽でつまらないことはない。