2nd Stageトラバース

50代で転職し、第二の人生スタート。
もがいて、笑って頑張るおやじをお届けします。

それいけ! バーグマン

2020-01-18 13:37:36 | 日記
お弁当はその家の様子が垣間見えることもあるので、なるべくなら、あまり他人にジロジロ見られず食べていたい。


皆でワイワイ言いながらお弁当を食べている女性グループを見たりすると羨ましいのです。





「俺の弁当なんか、ご飯にイシイのハンバーグが3つだけ。だからバーグマンと呼ばれていたんだ」


その友人は誇らしげに語っていた。


「そんな自虐ネタを人に語れるのだから、こいつは強いやつだなぁ」
そう思って笑いながら聞いていた。



ある日の昼休み、たまたま隣のクラスを通りすぎると、何やら騒がしい。


「こいつの弁当、ハンバーグが3つだけだ!」
「見ろ、見ろ! ハハハ、」
「わっ、スゲー」


クラスを覗くと“バーグマン”が弁当を抱えて逃げていた。
口には、かっこんだと思われるハンバーグとご飯が、溢れんばかりに詰め込まれていた。


「やめろよ! やめろよ!」
ご飯とハンバーグに邪魔された、声にならない声をだし、“バーグマン”は嘲て追いかける敵から逃げ惑っていた。

明らかに弁当を隠しながら逃げていた。




逃げる途上、一瞬、自分と目が合った。




“バーグマン”は逃げるように方向を変えて、ひたすらご飯とハンバーグを口に詰め込んでいる。



ハンバーグだけの弁当と傷ついた心で、彼はどんな大人になるんだろう。




地方勤務で出席できなかった同窓会の日、友人を介して携帯で、“バーグマン”と何十年ぶりで言葉をかわした。



「おっ、元気、どこに住んでるの」
当時をイメージできない声にとまどったが、名前を聞けば、間違いなく“バーグマン”だった。


“バーグマン”に聞いてみた。
「何やってんの」



「医者だよ



弁当抱えて逃げているバーグマンと、勉強しているバーグマンが頭のなかでイメージを、全速力で織り成した。


よく頑張ったな、バーグマン。