大学を卒業してから50歳になるまでずっと転勤してました。
東京生まれにもかかわらず、東京で育った年数と同じ年数を、西日本で暮らした。
その事に気づいた時、さすがに「もう東京に戻ることはないな」と思っていた。
出張で東京に来て、飛行機で地方に帰る東京生まれ。
「洒落になんねぇな」
飛行機の窓から遠ざかる東京湾を見ながらいつもそう思っていた。
地方で色々なスズキ釣りをした。
浜松での流し釣り。
岡山で穴じゃこのブッコミ釣り。
相生では秘密の堤防でエビ撒き釣り。
熊本ではとんでもなくでかいスズキを
釣った。
しかし、自分のスズキ釣りの原点は
東京湾にある、何の変哲もない電車の橋脚だ。
受験に失敗し途方に暮れていた時に
この橋脚で見た何十というスズキの群れ。
学生時代は夢中で釣った。
「ここに戻ってくるとはな」
金網フェンスで近づけないが
また、会うことができたよね。