「関西ではたこ焼きとご飯を一緒に食べるんですか」
「当たり前ですよ。何か可笑しいですか」
「たこ焼きはおやつでしょ」
「何言ってんの、失礼やなぁ。おかずです」
関西勤務が決まった時、たこ焼き定食だけは質問しないでおこうと思っていた。喧嘩になると予想できたから。
一方で、恐いもの食べたさもある。
軽い気持ちで聞いてしまい、関西人のプライドに火を付けた。
「フツーにご飯と食べます。たこ焼きプレートは一家に一台。炊飯器と一緒にありますよ」
「えっ、一家に一台ですか」
「炭水化物+炭水化物でしょ。ありえない」
「理屈とちゃいます。食べもせんのに」
「ホンマに今日いくん」
「関東人が無理して関西弁つかわんで。下手!」
「ややこしいなぁ、食べな、行こ」
営業帰りにちょうどお昼だったので
たこ焼き店に連行され、出てきたのは正真正銘のたこ焼き定食。
「わっ、お味噌汁も付いている」
「あたりまえや」
女性営業マンはボソッと言ってさっさと食べ始めた。
「うわっ、美味」
食べてびっくり。
ホントにおかずとして成立する。
「いやぁ、ご飯と合う。ソースが染みて、具がおかずになっている」
独り言のように発してしまった。
女性営業マン、ほくそ笑みつつ、
「早く関西の文化に慣れんとね」
関東に戻って来ても、夕飯にたこ焼きで、ご飯味噌汁付きを食べてます。