日本のタクシーの運賃は、需要構造や原価水準等を考慮して運輸局長が定めている全国98地区からなる運賃適用地域(運賃ブロック)ごとに、自動認可運賃が決められています。但し、タクシーの台数が需要に比べて多いなどの理由で特定地域・準特定地域に指定された地域では、自動認可運賃と同様の計算方法で設定された公定幅運賃の中から各事業者が運賃を選択し届け出る仕組みとなっており、過当競争によるダンピング(最終的にはタクシー運転手の待遇の悪化につながる)を防止しています。
地域別タクシー運賃表(一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会)
この運賃ブロックですが、当ブログでこれまで紹介してきたタクシーの営業区域とは別に設定されており、例えば
<東北運輸局管内>
青森・福島の両県は全県1運賃ブロック、岩手・宮城・秋田・山形の各県は県庁所在地を含むエリア(交通圏<宮城県のみ「仙台市」>と一致)とそれ以外の2本立て
<北陸信越運輸局管内>
富山・福井の両県は全県1運賃ブロック、新潟・長野の両県は県庁所在地を含むエリア(交通圏と一致)とそれ以外の2本立て
<中部運輸局管内>
愛知県は名古屋市を含むエリア(名古屋交通圏と一致)とそれ以外の2本立て
岐阜県は「岐阜」「飛騨」の2本立て
静岡県は「静岡」「伊豆」「熱海市泉地区(神奈川県湯河原町と一体の生活圏を形成し、市外局番も湯河原町と同じ0465)」の3本立て
三重県は「三重」「紀宝(南牟婁郡紀宝町=和歌山県新宮市と一体の生活圏を形成)」の2本立て
ただ、ユニークなのは兵庫県明石市です。営業区域では全域が「神戸市域交通圏」なのですが、運賃に関しては市内西部を流れる瀬戸川を境に二分されており、以東は「神戸・阪神間地区」・以西は「姫路・東西播地区」となっています。2023/5/1付で近畿運輸局より両地区のタクシー運賃改定が公示されましたが、
https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000294986.pdf
神戸・阪神間地区の普通車の自動認可運賃・・・初乗1.4kmまで700円、加算運賃254mごとに100円
姫路・東西播地区の普通車の自動認可運賃・・・初乗1.3kmまで700円、加算運賃250mごとに100円
となっており、平成の大合併前の自治体の境界とも異なるそう広くもない川を境に運賃が異なることになります。
ちなみに瀬戸川以西は、住所でいえば「明石市二見町の全域、および魚住町西岡・魚住町清水の各一部」となります。
瀬戸川が山陽新幹線と交差するあたりのストリートビューはこちら
この周辺を地盤とするタクシー会社「ルミナスタクシー」の場合、
本社営業所・・・瀬戸川のすぐ東側にあるので(GoogleMapはこちら)「神戸市域交通圏」かつ「神戸・阪神間地区」
明石西営業所・・・明石市二見町にあるので「神戸市域交通圏」かつ「姫路・東西播地区」
稲美営業所・・・加古郡稲美町にあるので「東播磨交通圏」かつ「姫路・東西播地区」
https://luminoustaxi.co.jp/outline.html
となります。なかなか複雑ですね・・・
そして、この地域の拠点駅であるJR神戸線土山駅は加古郡播磨町と明石市二見町にまたがりますが、タクシー乗り場は北口・南口とも播磨町側にあります。明石市域に相当する南東側にもロータリーがありますが、ここはバスがメインの乗降場で、ルミナスタクシーが明石市から委託を受けて運行するコミュニティバス「Tacoバス」が主役です。