2024/3/25付ブログ記事「神戸空港島に登場した長崎県五島列島のフェリー」の続報です。
この「フェリーありかわ」ですが、定期航路から引退して結構時間が経っていることが分かりました。
Wikipediaの「五島産業汽船」の項目で触れられていますが、もともと沖縄県の離島・伊平屋村の村営フェリー用として1995年に建造されたものを株式会社五島産業汽船が購入し、2018/10/2まで佐世保港~有川港間の航路に就航させていたものです。ただ、株式会社五島産業汽船は経営破綻により2018/10/2に高速船航路も含む全航路が突然運休となってしまい。高速船航路については元従業員が新たに立ち上げた五島産業汽船株式会社により運航が再開されたものの、旅客フェリーはそのまま廃止されています。ちなみに、西日本新聞のサイトに2018/10/30に掲載された記事によれば、この佐世保港~有川港航路は別事業者の撤退により新上五島町の要望で中古のフェリーと高速船を購入し就航させたものの、赤字がかさみ、経営破綻に陥ったきっかけとなったようです。
この船がいつまで伊平屋村営フェリーとして運航していたかの情報はWikipedia上にはありませんが、沖縄の運輸関係全般を管轄する内閣府沖縄総合事務局のサイト内に情報がありました。「フェリーいへや」の船名で1995年から活躍していましたが、一回り大きな新造船「フェリーいへやIII」が2014/4/1に就航したのに伴い引退しました。
https://www.ogb.go.jp/-/media/Files/OGB/Soumu/muribushi/back/2014/20140708/0708shigotomado04.pdf
そして、2015年に入って株式会社五島産業汽船で再起を果たしたことになります。
http://blog.livedoor.jp/vessel_space/archives/13925944.html
ただ、新天地での活躍は4年足らずに終わりました。新生・五島産業汽船株式会社には引き継がれず、そのまま5年以上も新上五島町内の港で寂しく係留されるままの日々を送っていたようです。
http://blog.livedoor.jp/vessel_space/archives/37834173.html
それが神戸港までやってきた理由は皆目わかりませんが、考えられるのは「買い手が見つかったため、中継地点である神戸港までやってきた(国内での再起であっても海外売船であっても、海事関係の産業が集積しているので何かと便利な中継場所です)」あたりでしょうか? このフェリーの仕様は、神戸港をはじめとする瀬戸内海で就航させるには似つかわしくない船ですし、観光客向けの遊覧船への改造もとても考えられません。
<4/21追記>
フェリーありかわですが、2024年3月初めに、自力航行ではなく曳航されて神戸空港島までやってきたようです。
https://nonbirikb.exblog.jp/29931920/
2024/4/21時点もそのままでした。雨中を走るポートライナーの車中から撮影。
<6/20追記>
2024/6/15時点では、神戸空港島に「フェリーありかわ」の姿はなくなっていました。どこに曳航されたのでしょう?