大阪府南東部にある人口1万5千人ほどの南河内郡河南町には、鉄道の駅がありません(大阪府内では他に隣接する千早赤阪村と北端の能勢町が該当するのみ)。したがって、公共交通はバスに依存しています。
河南町の住民向けには古くから町内と近鉄長野線の喜志駅・富田林駅とを結ぶ金剛バスの便がありましたが、町内の高齢者などの移動の便を図り、2016年2月から町内で完結するコミュニティバス・乗合タクシーの実証運行が開始され、2017年2月にそれぞれ「カナちゃんバス」「やまなみタクシー」として本格運行に移行しました。
https://www.town.kanan.osaka.jp/soshiki/somubu/somuka/gyomuannai/1/1/914.html
「やまなみタクシー」は一般的なタクシー車両を使用しており、第一交通産業グループのタクシー会社「大阪第一交通」(かつての南海タクシーを第一交通が買収したもの)が運行しています。
「カナちゃんバス」は2ルートあり、それぞれ昼間1時間間隔で運行しています。運行開始以来一般的な自家用マイクロバスを使用してきました<1乗車100円と有料ですが、有償運送の許可を得ての運行>が、2023/5/22からバリアフリー仕様の全面ラッピングバス(町内にある大阪芸術大学の学生がデザイン)に置き換えられました。
https://blog.goo.ne.jp/oua_journal/e/a4c0c06c09beffcf0f2eb18a6c67b183
「カナちゃんバス」の運行は当初からエムケイ観光バスに委託されていましたが、
https://www.town.kanan.osaka.jp/material/files/group/7/H30_1_kanshiiinkai1.pdf
運行開始から7年が経過した2023年2月、委託先が全国各地で幼稚園・学校・医療機関などの送迎バス事業を展開する「みつわコミュニティ」に変わりました。コミュニティバスの受託はこれが初めてだそうです。
https://www.mitsuba-c.jp/20230302/
もともとの委託先がエムケイ観光バスだったのは、町内に主要キャンパスがあり多くの学生が通う大阪芸術大学のスクールバス(最寄りの喜志駅からは無料、大阪梅田からは有料=2022/10/2付ブログ記事参照)を同社が一手に引き受けており、大学近くに同社の大阪南営業所が存在するというのが大きかったようです。
https://www.mk-bus.com/contact
ここにきて委託先が変わったのは、価格面からか要員面からかその他の理由か、果たして・・・
ちなみに、金剛バスは2023/12/20限り運行終了が決定しており(全国ニュースで大々的に取り上げられたのには恐れ入ります)、町内と鉄道駅の間の交通手段がどのような形で維持されるかに注目です。おそらく「カナちゃんバス」は現状のままでしょうね。
(つづく)