青森県の津軽地方一円で路線バスを運行する弘南バスは、2024/12/1に運賃改定を行います。
https://www.konanbus.com/21335.html
初乗り運賃は170円から200円に値上げされ、他の区間も概ね20%弱値上げされます。そして、弘前市の商業エリアの循環バスで政策的に運賃を「100円・150円・200円」に設定している区間は、現金乗車とICカードによる乗車とで運賃に差をつけます(現金だと一律50円値上げだが、ICカードだとそれぞれ130円・170円・210円)。
そして何よりも画期的なのは、弘前市内発着の一般路線の多くで上限運賃を500円とすることです。路線によっては現行運賃が1000円を超える区間もあり、一気に半額以下となるわけです。目的は「遠距離区間の利用促進のため」とあり、郊外部から弘前市中心部まで出向く利用者を少しでも多くする(2倍を超えれば採算面ではイーブン?)ことにより、百貨店の経営破綻など沈滞化が激しい中心街の活性化に結び付けようという試みかも。
その対象区間のうち、弘前~黒石間は弘南鉄道黒石線と、弘前~鯵ヶ沢間はJR五能線と競合します。いずれも運行ルート自体は鉄道より短絡していますが(後者は岩木山麓を延々と走ります)、両者を比較すると
弘前駅~黒石駅間=バスは「1日12往復、所要時間40分、運賃670円」、鉄道は「1日23往復、所要時間34分、運賃470円」
弘前駅~鯵ヶ沢駅間=バスは「1日3往復、所要時間1時間30分、運賃1170円」、鉄道は「1日9往復、所要時間1時間15分、運賃990円」
となり、いずれをとっても鉄道の方が上です。今回の運賃改定で、弘前駅~鯵ヶ沢駅間に関してはバスのほうがほぼ半額になるわけですが、利用状況に変化は生じるでしょうか?
なお、やはりJR五能線と競合する弘前~五所川原線は上限運賃500円の対象外となっており、全区間乗り通した場合の運賃は他路線の値上げ水準からすると1000円から1200円近くに値上げされるものと思われます(このブログ記事を書いている時点では未公表)。
https://www.konanbus.com/wordpress/wp-content/uploads/2024/04/price-50_240401.pdf
また、弘前市内を経由しない路線の場合、青森~黒石線、青森~五所川原線、五所川原~小泊線などで最高運賃が1000円を遥かに超えていますが、こちらもかなりの値上げになることでしょう。