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バスは国道9号ではなく南側(京都建築大学校、園部城跡、南丹市役所などがある)を経由します。国道9号に左折してすぐの「園部大橋」バス停で下車。かつては利用が多かったようで、国道からやや引っ込んだ場所に10人程度が並んで座れる古びたバス待合所が設置されています。標柱は4本立っています。
「天の橋立方面行」と書かれていたところに「バス待合所」の文字を上書きしたことがよくわかります。実際、1990年代後半まで旧京都交通(後述)が「京都祇園と天橋立の間を直通する快速バス」を運行しており、ここにも停車していました。ただ、全区間下道経由のため所要時間は3時間半もかかり、並行する鉄道が全区間非電化だった1980年代以前はともかく、末期には直通客はほぼおられなかったことでしょう。
すぐ近くでは、園福線のバスも渡る国道9号園部大橋の架け替え工事が行われています。目的は「通学路としての安全性を向上のための歩道の整備」「渋滞緩和のための右折レーン設置」で、2002年度に事業化されましたが20年以上経てもまだ完成していません。仮橋への切り替えは2020年12月初めで、
2022年半ば時点では新しい橋の橋脚のみが完成しており、
2024年4月時点では新しい橋の橋桁の設置が終わっているものの、その上に車線・歩道・欄干などを設置する工事はまだ始まっていません。橋本体の長さは100m強に過ぎないのですが。
ここから旧道を歩いて園部駅に戻ります(一部区間のみ広々とした都市計画道路として整備済)。高度成長期に現在の国道9号が整備されるまでは、国鉄バス園福線もこの道を通っていました。
南丹市コミュニティバス「ぐるりんバス」は、朝と夜間のごく一部の便しかこの旧道を経由しません。「カトリック前」バス停の脇の古びた民家には、本物のレトロ調の「京バス のりば」と書かれた看板が残っていました。
この「京バス」とは、京都市内の嵯峨野や大原などで路線バスを運行している「京都バス」ではなく、2004年に経営破綻した旧京都交通の通称でした。
旧京都交通は京都市内および京都府中北部(現在の自治体名でいうと亀岡市・南丹市・綾部市・福知山市・舞鶴市)で路線バスを運行していましたが、旧態依然とした経営体質に加え、並行する鉄道の電化によるスピードアップで京都~舞鶴間の都市間バスの利用が大きく減少し、ついに経営破綻に陥りました。京都市内・亀岡市内・南丹市内の路線は翌2005年に京阪グループが受け皿として設立した京阪京都交通に移管され(2024/1/17付ブログ記事参照)、舞鶴市内や福知山市内の路線は日本交通グループ<京阪神・北近畿・山陰でバス・タクシー事業を展開>が設立した新会社の現京都交通に移管されています。
ちなみに、旧京都交通の労働組合<私鉄総連加盟>の名称は「京バス労働組合」でした。組合設立時に、「京都交通労働組合」が京都市交通局の職員から構成される労働組合として既に存在していたため、通称名を組合名に採用したものです。同組合は現京阪京都交通に引き継がれ、「京阪京バス労働組合」として私鉄総連に加盟し続けています。
https://www.pru.or.jp/listview/kansai/
園部駅近くの自動車整備工場では、「ぐるりんバス」の車両が検査中でした。
(つづく)